小林プロデューサー×羽住監督のバイオ対談 空白の2006年描く、“サスペンス”としての「バイオハザード」とは(2/3 ページ)
25周年を迎えた「バイオハザード」が初の連続CGドラマに挑戦。
3DCGアニメに実写映画の手法を
――3DCGだからこそできたなと思う描写はありますか?
羽住: 自分自身が3DCGアニメ業界で育った人間ではないので、そこをうまく使いこなせない部分はありますが、一番の狙いはライブ感を大事にしたかったので、3DCGアニメの良さを120%使おうというよりは、実写の手法を持ち込んで実写映画を見ているような感覚を味わってもらえるようなアプローチをしました。3DCGアニメの限界がどこにあるのかと感じるところまで自分がいっていなかったので、まだいろいろやりようがあるだろうなとは思います。
実写映画のときもCGを使ったカットはあるので、そのときにも意識していることではありますが、なんでもできてしまうからこそ、なんでもやってしまうと温度差が出てきてしまいます。そのため、CGカットがあったとしても極力、実写と同じようなアプローチで作っています。今回は全編3DCGですが、同様の手法を持ち込みました。
――キャラクターの動きにも影響はあったのでしょうか?
羽住: レオンは結構実写でできないことをやっていますよね。一応小林さんからは、“レオンはトム・クルーズが演じているキャラクターがやることはやれると思って大丈夫”と伺っていました(笑)。
小林: 実写映画でトム・クルーズがやるアクションは、レオンもできますよということですね。
――実写映画をこれまでやられてきた羽住監督は、「バイオハザード」をはじめとしたフォトリアルな作品をどうご覧になっていましたか?
羽住: ちょっと気になっていたのは、カメラが入れないところに入っているなとは見ていて思っていました。もちろん、CGだからこそ見たことのない映像が見られるのでそこが魅力ではありますが、今回はドラマでサスペンス要素もあったので、実際にホワイトハウスで撮影した場合にどうなるのか、ここにカメラは入れないだろうなということを意識しました。
3DCGアニメはいろいろな面白さがあるとは思いますが、多分それを自分がやるとかなわないというか、普段から3DCGアニメの面白さを引き出すような発想をしていないので、やらない方がいい思いがありました。
――では、羽住監督の作品に近い仕上がりになっているのでしょうか?
羽住: 全くそうですね。スタッフの方もCGのスタッフですけど、実写でやっていくようなアプローチにするため手持ちのカメラで撮影するなど、最初の時点で相談しました。当初はスタッフの方の肩書を見ても、誰が何をやる人なのか分からなかったところはありますが……。
小林: CGクリエイターの肩書は分からないですよね(笑)。
羽住: ライティングはどの方と話せばいいのだろうという……。初めてづくしではありましたが、最終的にはみんなの良さが出たクオリティーに仕上がりました。すごいですよね。
――「バイオハザード」の世界観も保たれているのですね。
羽住: 仕上がりはきちんと「バイオハザード」の世界の一部になっていました。それはよかったですね。舞台が日本ではなくて、キャラクターも日本人ではない、これまでの自分の作品にはない要素だったので何か違うものを見ている感覚でしたが、そもそも「バイオハザード」はルールが明確にあって、歴史もしっかりある作品ですので、初めての自分が加わっても踏み外さないよう、小林さんやスタッフ含め、「バイオハザード」を理解している方たちがサポートしてくれました。
――小林さんから何か注文などはされたのでしょうか?
小林: 25年という「バイオハザード」の歴史の中で、ここの時間軸を描いてほしいということや、レオンとクレアがやっていいことと、やってはいけないことなど、制約がある上で監督にお預けしたので、本当の意味での自由ではありませんが、枠の中で自由にやっていただきました。
ゲームクリエイターとしてCGを実写に近づけるアプローチしている僕ら側からすると、実写の手法を持ち込んでいただいたことはありがたいです。全てのスタッフがとは言いませんが、実写を撮影しているスタッフではないので、そこまでカメラの置き方に気を遣っていない場合もあります。監督が加わったことによって、そこがしっかり守れて、より実写を見ている感覚に近づいた気がします。
1話で登場する大統領の部屋って引きの映像から入るじゃないですか。ゲームクリエイターだと、恐らく寄った映像になってしまうんですよ。テーブルとかソファも含めた、部屋全体を見せるところから入るのは、実写の監督さんならではだなと感じました。
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