鈴木さんと富永さんのバトルは「最初からお願いした」―― 令和によみがえる「お笑いマンガ道場」初代Pと放送作家が語るお化け番組の裏側(5/5 ページ)
「富永さんに『楽しいね』って言われたときに、ひょっとしたら当たるのかもなと思った」。
―― マンガ道場を始めたころはどんな思い出がありますか?
大岩:スタートするときはけっこう切羽詰まってたけど、スタートしてからはすごいみんな一生懸命だったよね。それは感じたね。スタートして1年2年なんてのは。やってて楽しかったんじゃないかな。番組を作ることが。気の合う仲間と楽しくできるなっていう。
澤田:最初に笑いが発生して、なんとなくスタジオの雰囲気がいいわけですよ。控室も大部屋でみんな一緒になって、偉そうな人もいないし、こっちも全然若い。僕は当時入社7年目で29歳だったし。年上も2人くらいしかいなかったですね。最高でも30代とか。みんな若いから雰囲気がいいですよね。それが全国でも放送されるようになるんだけど、みんな全国の反応を知らないから。演者は東京で何か言われたりするだろうから、全国でヒットしているという実感があったかもしれない。最初ブッキングも大変だったんですよ。どんな番組か分からないから。演者の皆さんの理解は、東京でも放送するようになってから全然雰囲気が変わりましたね。
大岩:僕一回富永さんのお宅にお邪魔したことがあるんですよ。なんで呼ばれたのか全く覚えてないんだけど、そのときにボソッと「この番組楽しいよね」って言ってくれたんですよ。それは覚えている。だけど「実は大変なんだよな〜」とも言ってました。「でも楽しいね」って言われたときに、これはひょっとしたら当たるのかもなと思いました。
澤田:描いているマンガの枚数が半端じゃないんで、マンガ界の相場で1枚いくらで考えたら本来ものすごいギャラになるんですよ。それでも楽しかったっていうことは、やっぱり雰囲気が良かったんでしょうね。
大岩:そうなんだよ〜。今回復活するマンガ道場でも、鈴木・富永っていう対立関係はやっぱ目玉だから作らないといけないということで、くっきー!さんが入ったりしてくれて、まあ、その形になるかどうかはやってみないと分からないんだけど、そのキャスティングをするときに、鈴木・富永に代わる今のマンガ家さんをイメージするじゃない? それでいろいろ候補が上がる、それで当たるじゃん? そうするとさ、まさに今澤田さんが言った、マンガ1枚いくら? なんですよ。もちろん当時もそうなんですけど、それで今回は何人も断られたんです。その点って、実はこの番組が始まる当時はまったく考えてなかったんです。よく考えてみたら、1枚いくらでとんでもない人たちなんですよ、鈴木・富永、この両先生って。実はものすごくぜいたくな番組なんですよね。とんでもない枚数をさ、よくやったよね、よく考えてみたら(笑)。
澤田:こっちは全然考えてなかったけど、後々考えてみると、そういやなあ……ってなりますね。だから朝早く起きて、名古屋まで来て収録するって水森亜土ちゃんだけじゃなく、みんなやっぱり嫌なんだなあって(笑)。何も考えてなかった。でも名古屋のCBCでは(東芝日曜劇場のころ、基幹局も制作)、東京の役者がみんな1週間名古屋に来て、缶詰になって1週間番組を作ってると。スケジュール的にはありえない。ギャラもあるし。でもそのときの濃縮度が楽しいんだとあとから聞いて、面白いもの、自分たちが納得するものをやってると、普段のプラスマイナスではないものが出来上がるんだなと思いますね。
大岩:今分かった。すごいぜいたくな番組だったということが。ほんとに。枚数だけで言っても相当だもんね。週刊誌とかでもせいぜい2ページとかだよ。そら当たるわな。
澤田:だんちゃんのもそうだし、女の子が描いたかわいいマンガもあるしね。やっぱり番組のリズムとしてクスクスもあっていいわけで、それぞれに役割があるんですよね。
大岩:なんか今後聞かれたら、そう言おう。
澤田:われわれだけではもう昔のことは話さないから、こういうときに話しながら整理がつくっていうね。
大岩:そうそうそう。しかしなんで富永先生の家に行ったんだっけなあ……。
澤田:まあ、覚えていないこといっぱいありますよね。
大岩:ただでさえ記憶力悪いんだから。
復活! 令和もお笑いマンガ道場
中京テレビ 9月26日午後4:25〜5:30
※「hulu」で9月27日12:00から見逃し配信
※中京テレビ公式チャンネル(YouTube:https://www.youtube.com/c/ChukyoTV)で事前配信中 18日からは第3回が配信
出演/柏村武昭 磯貝初奈(中京テレビアナウンサー) 【回答者】車だん吉 島本和彦 くっきー!(野性爆弾) 土屋伸之(ナイツ) 足立梨花
1976〜1994年に放送された『お笑いマンガ道場』(中京テレビ)が令和の時代に復活。当時のセットを再現した中で、お題に沿って回答者たちがマンガを披露し、その面白さを競う。柏村、車の往年のやりとりのみならず、“令和“の回答者たちのマンガの完成度は見ものだ。
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