開業57年の大変化(?) 東海道新幹線の“働く人”向け新車両「S Work車両」、早速乗って分かったこと:月刊乗り鉄話題(2021年10月版)(1/3 ページ)
東海道新幹線にビジネスパーソン向けの新車両「S Work車両」ができました。ビジネス向け? 私には関係ないや、と思った方ちょっとお待ちを。いろいろいいこともありそうですよ。
10月1日は東海道新幹線の開業記念日です。2021年で57歳。この日、東海道新幹線に大きな変化が起きました。
全ての「のぞみ」の7号車(普通車指定席)が「S Work車両」になったのです。
何それ、楽しいの? 何が違うの? どう使うの?──。今回は東海道新幹線の新たな車両「S Work車両」のポイントをじっくり解説していきます。
【S Work車両のポイント 1】座席での携帯電話通話が「許容」となる
S Work車両は、東海道新幹線へ新たに設定された「ビジネスパーソン向け」の車両です。「もっと快適」に車内で仕事を続けられるようにしました。
「アレ? 今までだって仕事はできたよ。ノートPCを使っている人は多いし、最新のN700Sは全席電源コンセント付きになったし。無料Wi-Fiサービス“Shinkansen_Free_Wi-Fi”でネットも使えるし。“もっと快適に”ってどういうこと? やっぱ移動中は仕事したくないよ」。そう思う人は多くいるかもしれません。では何が違うのでしょう。
ポイントの1つ目は「通話」です。新幹線に限らず、列車の中では「座席での携帯電話の通話はご遠慮ください」ですよね。新幹線では「通話はデッキで」と案内されます。列車の中で静かに過ごしたい人もいるからです。
S Work車両は、座席での携帯電話通話が「許容」となります。
車内でモバイルワークをする人同士なので、大声でなければ座席で電話をするのも「お互いさま」、オンライン会議に参加するのに声を出すのも「お互いさま」。ノートPCのキーをたたいて多少カタカタ鳴るのも「お互いさま」です。
もちろん限度はありますよ。他のモバイルワークをする乗客の過度な邪魔になるような行為はいけません。これは、全ての乗客ではなく「モバイルワークをしたい乗客同士で」がポイントです。
これに似た仕組みは以前からありました。「お子さま連れ専用車両」(関連記事)です。2010年に「ファミリー車両」として貸し切り列車を運行し、2021年現在は多客期の「お子さま連れ専用車両」として、定期列車の一部に設定されています。
乳幼児を連れた旅は周囲に気を遣いますよね。突然泣いたり騒いだり、オムツなどの世話も……。でも、周りのみんなが同じ立場ならば「お互いさま」で助け合いなどもあるでしょう。子連れの家族も気兼ねなく移動できます。
S Work車両は、お子さま連れ専用車両の「ビジネスパーソン版」です。仕事移動のために乗る。移動時間にPCを使いたい、携帯電話やネット会議で通話したい。そんな同じ境遇の人、同じ目的の人同士を同じ車両に集めて「お互いさま」とし、気兼ねなく過ごせるようにしましょうという趣旨です。
【S Work車両のポイント 2】「モバイルワーク支援ツール貸し出しサービス」を用意する
最新型車両のN700Sで運行する「のぞみ」のS Work車両利用者に向け、車内での仕事を支援するグッズを無料貸し出しするサービスも用意します。
例えば、となりの席からPC画面をのぞき見されないための「簡易ついたて」、膝の上にノートPCを置いて作業したい人のための「膝上クッション」、Bluetoothマウス、PC用ACアダプター、USB充電器といったPC周辺機器があります。搭載数量に限りがあるので早い者勝ちです。新横浜〜京都間で利用できます。
併せて10月1日から、東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の各駅で、モバイルバッテリーの有料レンタルサービス「ChargeSPOT」も始まりました。
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