妻のことを「自分の頭の中に住み着いた妄想上の存在」だと思い込んでしまった男を描いた漫画「サイケデリック」が、非常に深い展開となっています。読んだ後に、何度も読み直したくなるはず。
半年前に結婚した「ハル」という美人でとても良くできた妻がいる……という妄想が消えず苦しむ「瀬尾栄二」。ギャンブル漬けで借金まみれだった自分に手を差し伸べてくれる人などいるはずもなく、都合のいい妄想が止まらなくなってしまったのです。
……と思っているらしいと、職場のメンタルクリニックで友人の看護師「カンナ」に話すハル。ハルと患者だった栄二は2年前に結婚したのですが、栄二の症状が突然悪化しハルのことを幻覚だと思い込み始めてしまったというのです。
妄想に苦しみながらも、仕事はちゃんとこなす栄二。休憩時間中に職場の友人「武見」へ症状の相談をしていると、ハルが弁当を届けに栄二の職場を訪れました。するとそこにいたのは、“1人で”ぶつぶつしゃべる栄二。武見こそが、妄想上の人物だったのです。
しかしその晩、「別れを切り出せば妄想は消える」という武見のアドバイスを実行してしまう栄二。ハルは「分かった」とあっさり了承し、先に寝てしまいました。これで普通に戻れると思った栄二ですが、翌朝になってもハルは目の前に現れます。妄想が消えないと、栄二は家を飛び出してしまいました。
取り乱しながら街を歩いていると、中学の同級生「ナツミ」と偶然再開する栄二。異常な様子を心配したナツミは、栄二を家に誘います。楽しそうに昔話をするナツミに、栄二が突如襲い掛かりました。自分に優しくしてくれる人、自分にとって都合の良い展開。このナツミこそ、ハルが顔を変えてまた現れた幻覚だと判断したのです。栄二はナツミの首を締め上げ――この続きは、ぜひ漫画を読んで確認してみてください。
この漫画を公開したのは、漫画家のウエマツ七司さん(@uemt_74)。月刊少年サンデー『神様、僕は気づいてしまった』で作画を担当しています。
作品提供:ウエマツ七司さん(@uemt_74)
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