誰もが将来もらうことができる(らしい)年金。でも正直、年金について分からないことが多すぎませんか……。年金についての素朴な疑問をファイナンシャルプランナー(FP)さんにねとらぼが聞いてみる不定期連載。今回は、「年金は、別に収入があるともらえないの?」です。
FPさん:酒井富士子
ファイナンシャルプランナー 経済ジャーナリスト 回遊舎代表取締役 著作に「おひとりさまの終活準備BOOK」(三笠書房)「マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門」(インプレス)他
――年金をもらいながら会社員やフリーランスとして働くことはできますか? 別の収入があると年金はもらえませんか?
酒井さん:年金を受け取りながら会社員やフリーランスとして働くことは可能です。「基礎年金」と「厚生年金」を受給しながら給料を受け取ることになりますね。この制度を「在職老齢年金制度」といいます。ちなみに、一般的には公的年金を受け取るのは65歳からです。
――ということは、働けるうちは働いただけお得ということですか……?
酒井さん:ただ、給料と厚生年金の合計が月47万円の基準額を超えてしまうと、一部または全部の支給が停止されるルールがあります。どのくらい減額されてしまうかについては、簡単な計算式で計算できますよ。(※1)
酒井さん:なお、毎月の報酬の合計には、賞与の合計を12で割った数も含まれるので注意しましょうね。
――ぐぬぬ
酒井さん:ちなみに、もし「お給料だけで生活費が足りてしまう」ような場合は「受給の繰下げ」を検討してみるのもアリですね。希望すれば年金を受け取る年齢を66歳〜75歳の範囲で遅らせることができるんです(※2)。
この制度を使うと、1カ月繰下げるごとに、受給額が0.7%もアップします。つまり1年間繰下げると8.4%、(上限の)75歳まで繰下げると84.0%増えることになります。
――ほぼ倍近いじゃないですか!
酒井さん:しかもこの増加率は一生変わりません。この繰り下げは、基礎年金と厚生年金を別々で行うこともできるんですよ。自分の老後の生活にあわせて、どちらか一方のみでも繰り下げるということも選択肢の1つとして考えると良いでしょう。(※3)
結論:年金を受け取りながら働くことは可能
昨今は「定年後もまだまだ働きたい」なんていう人も多いと思いますから、上限はあるものの年金受給とお仕事を両立できるのはうれしいですね。体力に自信があったり収入に余裕がある場合は、最大年齢まで繰り下げてみるのも手かもしれません。
(※1)基礎年金は働いていても減額されることはありません。支給停止額の計算方法は、(老齢厚生年金月額+毎月の報酬の合計額−47万円×1/2。 (※2)昭和27年(1952年)4月1日以前生まれの方(または平成29年(2017年)3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなります。 (※3)65歳以降も働いて厚生年金を納めている人が繰下げを行った場合は、支給停止されていた額を除いて繰下げ加算額を計算します
「FPさんに聞いてみた」
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