ジブリ「となりのトトロ」、ロンドンで世界初の舞台化、プロデューサーは久石譲 宮崎駿監督も快諾「久石さんがやるなら」
2022年10月8日から2023年1月21日まで上演予定。
宮崎駿監督のアニメーション映画「となりのトトロ」が、イギリスの演劇カンパニー「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)」で、初めて舞台化されることが決定。2022年10月からロンドンのバービカン劇場で上演予定です。
舞台化を提案したのは、映画で音楽を手掛けた作曲家の久石譲さん。宮崎監督が快諾したことから始まったプロジェクトで、久石さんはエグゼクティブ・プロデューサーを務めます。以前から同作の舞台化を熱望していたRSCは、クオリティーの高い舞台作りで知られており、シェークスピア作品以外にもミュージカル「マチルダ・ザ・ミュージカル」をはじめとする傑作を送り続けてきました。
演出は「アクナーテン」でローレンス・オリヴィエ賞を受賞するなど、数々のオペラ作品を手掛けてきたフェリム・マクダーモット。脚本は書き下ろし作品「オッペンハイマー」で知られる若手脚本家のトム・モートン=スミスが手掛けます。またフェリムが主宰するカンパニー「インプロバブル」が制作協力し、RSCと日本テレビが共同製作するとのこと。頑張れ日テレさん!
同作は1988年にアニメーション映画として公開。昭和30年代前半の日本を舞台にしたファンタジー作品で、病気の治療で病院にいる母親の近くに住むため郊外へ引っ越してきたサツキ、メイの姉妹が森で出会った不思議ないきものトトロとの交流を描く物語です。
舞台化に向けて、久石さんは「外国で舞台化すると、スペクタクルになってしまう心配があります。トトロが飛び回ったりすることがないよう、僕は言い続けています。お互いに率直に意見を言い合える、いい関係で作っています」とコメント。また、スタジオジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫さんは「宮さんは『久石さんがやるなら』と快諾してくれました」とやりとりを明かしています。
舞台「となりのトトロ」
2022年10月8日(土)〜2023年1月21日(土)
※10月8日(土)〜10月14日(金)はプレビュー期間
ロンドン・バービカン劇場で上演
エグゼクティブ・プロデューサー:久石譲
原作:宮崎駿「となりのトトロ」
音楽:久石譲
脚本:トム・モートン=スミス
演出:フェリム・マクダーモット
製作:ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー/日本テレビ
TotoroShow.com
久石譲さん(エグゼクティブ・プロデューサー/音楽)コメント
宮崎駿監督の映画「となりのトトロ」が、イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)によって舞台化されます。
演出はフェリム・マクダーモット。ミニマルミュージックの作曲家フィリップ・グラスのオペラも演出している優れた演出家で、「となりのトトロ」も大好きです。
今回のチームは、フェリムを中心に、熱気を持って、クリエイティブな努力を重ね続けています。
日本にはミュージカルや舞台を好きな人が大勢います。ところが、日本発の世界中で上演されているオリジナル舞台作品、あるいはミュージカル作品がありません。
「となりのトトロ」は世界中の人が知っている日本の作品です。もし舞台になったら、世界に出ていく最初の作品になるんじゃないか、そういう思いがあって「僕が観たい」と、宮崎さんに話したのがきっかけです。宮崎さんからは「久石さんがやるなら」と言われました。
僕は原作の映画に携わっていたので、映画を壊したくないという思いが強くあります。
最初から日本語で舞台化したら、どうしても映画と被ってくる。ならば外国でやったらどうかと考えました。
この作品に本当の意味で普遍性があるなら――僕はあると思っていますが――まったく違うカルチャーで育った人たちが違う言語でやっても、きっと世界中の人に伝わるはずです。
宮崎さんは佇まいの美しい方です。いつもシャツの一番上までボタンを締めているような宮崎さんの雰囲気は、イギリスと合う。それもあって、RSCに決まった時には本当に嬉しかったです。
外国で舞台化すると、スペクタクルになってしまう心配があります。トトロが飛び回ったりすることがないよう、僕は言い続けています。
お互いに率直に意見を言い合える、いい関係で作っています。
とても素晴らしい舞台になると思っています。
今年の秋です。楽しみにしていてください。
フェリム・マクダーモット(演出)コメント
私たちが手がけるのは、世界中で多くの人が愛する映画「となりのトトロ」です。それを美しい音楽とともに、舞台にします。
パペット、役者と、命を吹き込みます。映画で音楽を手がけた久石譲が、私たちをリードしてくれています。
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)をはじめ、パペットクリエーターのバジル・ツィスト、美術デザインのトム・パイ、トム・モートン=スミスの脚本、これらが素晴らしいコラボレーションとなって結実します。本当に楽しみにしています。
鈴木敏夫さん(スタジオジブリ・プロデューサー)コメント
宮崎駿が描いた、バス停で少女とトトロが佇む1枚の絵を見た時、
僕はこれを「映画にしたい」と思いました。
なぜなら、宮さんがこの映画を作ってくれたら、子どもの心に戻れると思ったからです。
時代は1955年。舞台は日本の田園。これは僕の少年時代の話です。
できあがった映画は、観た人がみんな子どもの心に戻れる作品になりました。
そんな「となりのトトロ」を、今度は「舞台にしたい」と言ってくれたのが、
映画で音楽を作ってくれた久石譲さんです。
宮さんは「久石さんがやるなら」と快諾してくれました。
久石さんが選んだのは、イギリスの名門、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー。
果たしてどうやってトトロと出会えるのか。
とても楽しみにしています。
ロイヤルシェイクスピアカンパニー/ Royal Shakespeare Company(RSC)
シェイクスピア生誕の地、英のストラットフォード・アポン・エイボンを拠点とする英国の代表的な演劇カンパニー。パトロンをエリザベス女王、理事長をチャールズ皇太子が務めている。
シェイクスピア作品のほか、現存の劇作家による新作の上演や、演劇プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュの共同製作したヒット作品「レ・ミゼラブル」や「マチルダ・ザ・ミュージカル」など、世界中で愛される良質な作品を産み続けている。
フェリム・マクダーモット/Phelim McDermott(演出)
1963年、イギリス・マンチェスター生まれ。「真夏の夜の夢」をはじめとしたシェイクスピア作品のほか、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場でのオペラ作品「アクナーテン」(音楽=フィリップ・グラス)、ブロードウェイミュージカル「アダムス・ファミリー」などを手掛けている。
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4月に東京で、5月に大阪で上演。