砂浜に落ちている青い生き物「カツオノエボシ」の生態や注意点をまとめた動画がYouTubeで公開され、記事執筆時点で12万4000回再生を突破しています。
※2024年3月12日15時:カツオノエボシの成長の過程について、一部追記・修正をしました
動画を投稿したYouTubeチャンネル「へんないきものチャンネル」は、生物の生態や歴史、事件などを「きつねさん」と「たぬきさん」のユーモラスな対話形式で分かりやすく解説、紹介している人気のチャンネルです。
今回のテーマは、最悪命を落としてしまう危険もある“砂浜の猛毒風船”こと「カツオノエボシ」。砂浜に落ちているカツオノエボシを“青くてきれいな袋”と見間違えて触れてしまい、刺されてしまう人が後を絶たないといいます。
カツオノエボシはクダクラゲ目カツオノエボシ科に分類される刺胞生物の仲間。烏帽子という昔の帽子に似ているため、この名が付けられたそうです。
生息地は主に太平洋、大西洋、インド洋などの海上。日本には黒潮の流れに乗って、夏ごろに本州の太平洋側にやってきます。
浮き袋の大きさは10センチほど。触手の長さは10メートルほどで、長いものでは50メートルを超えるものもあるそうです。カツオノエボシの見た目はクラゲに似ていますが、クラゲは鉢虫綱、カツオノエボシはヒドロ虫綱で別の分類です。
成長の過程も違い、クラゲが卵→プラヌラ幼生→ポリプ→ストロビラ→エフィラ→親クラゲと成長するのに対し、カツオノエボシは卵→プラヌラ幼生に成長したあと、プロトゾイドに成長。その後、プロトゾイドが集まって合体する群体生物と紹介しています。なお、新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)のトリーターは成長過程の一説として、バラバラになっていたプロトゾイドがが集まって形成された群体ではなく、「受精卵から始まり、同じ遺伝子を持つものが増えてできた群体」と解説しています。(参考記事)。
刺されると皮膚を裂かれたような激痛を感じるとのこと。刺された場所は赤くミミズ腫れになり、3日ほど発熱が続くそうです。重症化すると頭痛や吐き気、アナフィラキシーショックで命を落とすことも。
ハチなどに刺された場合のアナフィラキシーショックは「2回目に刺されると危ない」というイメージがありますが、実は1回刺されただけでも抗体が作られて重篤な症状につながることもあるとのこと。カツオノエボシの場合も1回刺されただけで命の危険に関わる可能性もゼロではないそうです。
砂浜に打ち上げられたカツオノエボシは死んでいますが、触手についている毒針は機能しており、生死に関わらず刺してくるので注意が必要です。
応急処置は早ければ早いほど症状が悪化せずに済むとのこと。万が一刺されてしまったときは海水で優しく患部を洗い流し、触手が絡みついている場合は取り除いて氷や水で冷やしましょう。またネットに出回っている情報(真水をかける、酢をかける、あたためる、砂をかけるなど)は間違っている可能性があるので、自己判断は避けてすぐに病院へ行きましょう。
対策としては、「ラッシュガードなどを身に着けて肌の露出を避ける」「クラゲ避けの日焼け止めを塗る」「ワセリンを厚めに塗る」「クラゲが大量に漂着していないか海水浴場の情報を集める」などを勧めています。
触わりたくなってしまうような見た目をしているけれど、思った以上に危険なカツオノエボシ。みなさんも気を付けて海のレジャーを楽しんでください。
YouTubeチャンネル「へんないきものチャンネル」では、他にもカツオノエボシの天敵であるアオミノウミウシや巨大花のラフレシア、「暑すぎると生き物たちはどうなるのか?」といった疑問への考察など、興味深いテーマについても紹介しています。
Twitterアカウント(@youko_rou)では動画の更新情報などを発信中。また、書籍『キモイけど実はイイヤツなんです。 怖いのに何だかかわいく思えてきちゃう生きもの図鑑』『カワイイけど実はアブナイヤツなんです。 本性を見抜け!裏の顔を持つ生きもの図鑑』が販売中です。
画像提供:YouTubeチャンネル「へんないきものチャンネル」
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