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新旧「ひだ」乗り比べ! 魅惑のレア列車「大阪ひだ」に乗って分かった昭和ディーゼルカーの魅力月刊乗り鉄話題(2022年7月版 後編)(3/5 ページ)

キハ85系、いつまで残るのかな? 「新穂高ロープウェイ」もひぇぇ……! なのでおすすめです。

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1日1往復、高山〜大阪を直通するレア列車「通称:大阪ひだ」でキハ85系の魅力も再確認

 高山駅15時33分発大阪行きの「ひだ36号」。この列車に狙って乗る理由は、「あらためてキハ85系に乗り、HC85系と比べてみたい」「1日1本の大阪直通に乗りたい」「前面展望車に乗りたい」からです。

 車両は、新しいハイブリッド車・HC85系ではなく、旧型のディーゼルカー「キハ85系」です。

 キハ85系には過去に何度も乗っています。しかし、直後に乗れば新しいHC85系の改良ポイントを認識できます。前回「HC85系はキハ85系に比べて揺れが少ない」などと書いた部分は、この翌日のキハ85系の体験が元になっています。

キハ85系。30年以上も前の車両とは思えないカッコ良さ
キハ85系。30年以上も前の車両とは思えないカッコ良さ

 JR東海の特急「ひだ」は、基本的に名古屋〜岐阜〜高山〜富山を結ぶ列車です。しかし「1日1往復」だけ、大阪〜岐阜〜高山を走る列車があります。

 これは昭和30年代から大阪〜高山間を結んでいた準急列車の伝統を引き継ぐ列車です。東海道新幹線が開通しても生き残り、国鉄が分割民営化され、米原駅に境界(関連記事)ができてもなお生き残ります。そして1996年に特急「ひだ」になりました。「ひだ」は基本的に名古屋発着なので、大阪発着のひだは非公式ながら「大阪ひだ」と呼ばれます。

 JRの都市間連絡は基本的に新幹線と特急列車の乗継ぎとなります。大阪〜高山間は、新大阪〜米原、あるいは名古屋まで新幹線、そこから「ひだ」に乗り換えるところです。それでも「大阪ひだ」が生き残っている理由を推測すると、「やっぱり直通が便利」「新幹線が岐阜駅を通らないため、大阪〜岐阜間を結ぶ役割がある」からでしょう。

特急「ひだ」の運行区間
特急「ひだ」の運行区間(地理院地図を加工)。岐阜〜大阪間は「飛騨路フリーきっぷ」の範囲外。今回は別途乗車券と自由席特急券を買って乗った

 2016年まで、名古屋〜長野間の特急「しなの」も1往復だけ大阪〜名古屋間を直通していました。通称「大阪しなの」でした。2022年現在は全ての列車が名古屋〜長野間になりました。

 そうなると大阪ひだも「いつまで残るかな」と思います。全て新車に交替すると終わってしまうかもしれません。JR東海は今のところ廃止を想定してはいないようですけれども、なくなる前に乗っておきたい歴史を感じる列車です。

 鉄道ファン的な視点ではもう1つ、大阪ひだは「新垂井線」を走る貴重な列車でもあります。新垂井線は東海道本線の支線で、大垣〜関ヶ原間にあります。この区間は大阪方面へ向かって上り勾配が大きかったため、蒸気機関車の貨物列車、優等列車のために勾配の緩やかな迂回ルートが作られました。これが新垂井線です。

新垂井線のルート
東海道線を迂回する新垂井線のルート。現在は貨物列車と特急列車しか走らないレア区間(地理院地図を加工)

 新垂井線には、かつて普通列車も走り、新垂井駅もありました。2022年現在は貨物列車と特急列車だけが使っています。金沢〜名古屋間の特急列車「しらさぎ」8本、「大阪ひだ」1本、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」1本だけです。このうち日中を走り、景色を楽しめる列車は「しらさぎ」6本と「大阪ひだ」1本だけ。レアな列車といえます。

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