今回は昨今一部で話題の「Tower of Fantasy(幻塔)」(公式サイト/8月11日サービス開始)について取り上げてみたいと思います。
早速ですが、一部で話題というのは何かというとその見た目。そう、幻塔というタイトルも含めて「原神」を思い出す人が大変多いのです。先日サロメ嬢のプレイ配信もあったのですが、これを見ていたフォロワーたちの「どこかで見たような……」という発言がいくつも見られました。確かにぱっと見大変似ているのですが、では実際どこまで似ているのか。今回はそのあたりに注目しつつ、幻塔とはどんなゲームなのかについて第一印象を語ってみたいと思います。なお、PC版でのプレイとなります。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
いきなりキャラメイクがあることに戸惑う
幻塔はサービス開始直前からアプリをダウンロードすることが可能で、キャラクターメイキングができるようになっていました。キャラメイク? と思って調べてようやく私は幻塔がMMORPGだと気付いたのです。てっきり原神のような基本ソロ、一部マルチプレイ可能なタイプのゲームだと思っていました。宣伝でガチャが最大○連無料といわれていたためそのような誤解をしていたのかもしれません。
肝心のキャラメイクですが、非常に細かい設定が可能です。髪形も前髪トップ後ろ髪に分かれていてバリエーションを出せたり、目や瞳のパーツも多様なものが存在。胸のサイズも大小はもちろん離したり寄せたりと自由自在。重力に逆らう不思議な揺れ方を好きなサイズで堪能できます。
もちろんそれらが面倒な人のためにプリセットも存在していますが、特筆すべきは自分で作ったキャラをアップロードしたり、他人が作ったキャラをダウンロードしたりできることでしょう。他のゲームやアニメのキャラクターを再現している人もいてなかなか楽しいです。
キャラメイクをしながら迎えた公開当日でしたが混雑でまともにプレイできず、少し遅れてのスタートとなりました。MMO故か複数のサーバに分かれているのは良いのですが、1サーバごとのキャパがかなり少ない様子。8月14日と15日にもサーバが追加されていますが、それも逐次埋まっている様子。ここについては今後のさらなる拡張が待たれるところです。
数日待ってようやく混雑が解消されゲームを開始したところ、作成済のキャラクターをすぐ使えるわけではないのでここで混乱させられます。後からキャラメイクの時間があるということはネットで調べるまで知りませんでした。ここについては何かしら明記してほしいなと思います。また、名前を入力時にサーバが満員だとキャラクターが作れず、タイムアウトで戻るまで何もすることができません。せめて最初の画面にすぐ戻れればいいのですが、しばらく虚無的な時間を過ごすことになってしまいます。
ようやくキャラクターを作ることができるとチュートリアル的なものが開始されます。謎の洞窟をさまよった結果ある人たちに拾われ、そこからようやくキャラメイクになるのですが「ひどい格好だからなんとかした方がいい」と言われてのキャラメイク。ほとんど着替えのノリなのですが、もうちょっとなんとかならなかったのでしょうか。ただ、キャラメイクは後からいつでもやり直せるため、本当に着替え的なイメージを表現しているのかもしれませんが。
ここからはどこまでがチュートリアルなのかどうなのかが曖昧なままストーリーが進むのですが、あちこちを回ってお使いを繰り返していくうちにようやくガチャが解放されます。ガチャからは武器とアバターが出てきます。
設定的には「武器を操りやすくするため使い手データとセット」らしく、武器装備=アバターに着替えるということかと思ったら違いました。武器と出てきたアバターは独立しており、自由に着替えが可能。もちろん、作ったキャラに思い入れがあるのならアバターを使わない設定もOKとなっています。
戦闘は武器を切り替えながらタイミングよくコンボを決めていく要素があるため、原神のようにキャラを切り替えての戦闘をアバターチェンジで再現するのかと思っていたのですが違いました。個人的にはやはり自分で考えたキャラクターを使って世界を冒険したいなと思いますので、ガチャから出てくるアバターの衣装を自分に着せたり、髪形パーツをキャラメイクに使えたりできるとありがたいです。
なおこのアバターたちはどこかに本体が存在しているらしく、誕生日だよとメールを送ってきたりします。ゲーム中にも本人が登場するアバターもいるそうで、そうなるとますます自分オリジナルのキャラを使いたくなるのは私だけでしょうか。
遊ぶと分かる「原神」との違い
ストーリー面についてですが、物語的にはちょっと想定外の展開があって続きが気になるものでした。できればこのサプライズ感を皆さんに味わってほしいので多くは語りませんが、冒頭で記憶喪失になった自分が一体何者なのかについても早々に語られ、その上でまた新たな謎が生まれていくので次々と話を追いかけたくなる魅力はあります。また、専用の機械を使った防衛戦や飛行ユニットに乗ったりしての派手なアクションがあったりしてゲーム的にも飽きさせない作りになっています。
ここまで既に何度も原神という単語を出してしまっていますが、見た目以外にそんなに似ているのでしょうか? ぱっと見はもちろん「似てるーッ!」となってしまいます。とくにキャラメイクを終わった後外に出て高いところから広い世界を眺めると現れるゲームタイトル。これ原神で見たしなんなら「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下BotW)」でも見た気がする! となります。
操作系については先に「混乱する」と書いた通りよく似ていますが、全く同一というわけではないのがさらなる混乱を招きます。
例えば、原神は左クリックが攻撃で右クリックがダッシュ。幻塔は左クリックが攻撃で右クリックが回避。原神のダッシュは前に移動し、幻塔の回避は後ろに一瞬飛びのきます。そのため、戦闘時に「間合いを詰めたい」と思っているのに後ろに飛びのいて「違うそうじゃない!」となってしまうことが多々ありました。
今使っている武器は「スキルでシールドを付与」「攻撃長押しで柱を立てる」「立てた柱は周囲に継続ダメージ」というもの。原神をプレイしていた人はシールドを使う某岩神様を思い出す武器となっていますが、操作感はかなり異なるものでした。他にも左クリック押しっぱなしで敵に次々と弾をたたき込む射撃アクションは、操作感と爽快感も含めて原神にはないものです。
移動手段については特に大きな違いを感じます。ダッシュに体力を要求する原神より移動速度が早く、さらに乗り物での高速移動も可能。原神の風の翼に当たる滑空装置としてジェットパックが存在しています。原神の風の翼は基本的には高いところから飛び降りるだけなのですが、ジェットパックなのでちゃんと上空へ自力で飛び上がって滑空できます。当然崖から飛んで滑空にも使えるのですが、ジャンプ→ジャンプボタンで翼を展開する原神に比べ、ジェットパックのデフォルトキーバインドが「2」のためスペース→2と押さないと空中滑空できません。結果、ジャンプしてとっさにジェットパックを開けず地面に激突することが多々あります。この辺、BotWのジャンプ→パラセール展開と同じような操作系をそのまま採用した原神の開き直りっぷりを評価したいと思います。
操作感という点に置いては「ゲームを終了する」ボタンがどこにあるのか分からなかったりする点をはじめとした各種操作の分かりにくさもなんとかして欲しいところです。キャラメイクのやり直しができるボタンも最初どこから行けるのか分かりませんでした。ESCでメニューを開いて設定から「ゲームを終了する」を選ぶなんて想像できる人はなかなかいないと思います。
今のところ一番分かりやすい違いは武器の操作感と乗り物の存在かなと思います。見た目で「似ている!」となってしまうのは原神が出たころ「BotWのパクリ」と散々言われたのを思い出します。プレイしてみる原神ともBotWとも見た目ほどには似ていないというのが私の印象です。そもそもBotWにはやりこみ要素はあってもデイリークエストとか周回アイテム回収ハクスラ要素とかないですからね。
原神のやりこみ要素である装備品=聖遺物集めですが、幻塔にも同様の「ボリション」という装備品があるそうで。2点セット装備と4点セット装備で効果を発揮すると聞いてそれ原神の聖遺物じゃん! となっています。なおガチャ石にも2種類あり、恒常SSRを引ける石と限定SSRを引ける石が別々に設定されているあたりも原神と同じです。武器にはレベルが存在していて経験値を要求されたり、限界突破するために属性ごとの素材が要求されたりします。……見た目とかシステムは似てるけど手触りは違うんです。ホントなんです信じてください!
「ゲームの「模倣」や「類似」はどこまで許されるのか(関連記事)」というのはなかなか難しい問題なのですが、幻塔については見た目はともかくストーリーや操作感から実際遊んでみるとそこまで似ていないという印象を受けました。
操作系についてはいっそ原神を丸パクリしてくれれば楽だったのにと思うほど微妙な差異が手触りとして引っ掛かります。似ている部分よりも気になるのは、先にも書いた各種操作の分かりづらさやシステムのエラー。サーバの混雑の関係か、たまにキャラクタープリセットがダウンロードできなくなることもありますし、ストーリーを追いかけていても表示されているセリフ通りのボイスが出てこなかったりします。こういう気になる問題が解決されればさらに楽しく遊べるのではないでしょうか。
ストーリーは気になるものの、これ以上遊ぶゲームを増やせるのか悩ましいところなので他のゲームが落ち着いたころにぼちぼち進めてみようかと思います。そのころにはシステム的な問題点が解決していると信じて。
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