前田公輝×塩野瑛久 「実は轟が転がされていた」小田島のずるいモテテクをネタバレ解説 HiGH&LOW THE WORST Xインタビュー(2/2 ページ)
キーワードは“釣り”。
「轟は頭に固執していない」「小田島の突撃はシダケンのため」 立ち位置へのこだわりゼロは共通点
―― 前作「HiGH&LOW THE WORST」で山田裕貴さん演じる番長・村山良樹が卒業。花岡楓士雄役の川村壱馬さんのインタビューでは意識の変化を教えてくれました。いまやシリーズ出演歴が一番長いメインキャストは前田さんとなり、川村さんを座長とするなら裏座長とでもいうべきな気がしますが、撮影にあたって意識の変化はありましたか?
前田 ありがとうございます! へー、壱馬がそんなこと言っていたんですね。
うーん……でも結局それをずっと僕が意識していたら、新生鬼邪高になれない気がしていて。全日のメンバーも同じ「HiGH&LOW」の世界の一員ではあるんですけど「THE WORST」から初めて登場しているキャラクターたちばかり。その人たちから距離を取ろうとするとまた孤立しそう。前作の轟じゃないですけど変に浮いちゃいそう。それよりは波長や空気感を共有して共鳴した方が、新しい色の、鳳仙や他の学校とはまた違う鬼邪高らしさが出るんじゃないかな。
というのも前作のときはプライベートでみんなでよく飲みに行っていて、そのときの空気がすごく心地よかった。そんな関係性が垣間見えたら何よりの正解というか、見ている人たちも鬼邪高のシーンで心安らぐ、そんな境地へ行き着けるんじゃないかな。
―― みんなで焼きそばを食べるシーンはまさにでした。ところで気になるのが、村山卒業後の鬼邪高のトップは誰になるんでしょうか?
前田 せりふでは「うちの頭には影響されまくりだな」って言っているんですよ。でも一応、公式では「実力ナンバーワンは轟」と。
だから表だって“頭”として名前が出ているのは轟じゃないかな。ただ鳳仙、三校連合と内側が見えているやつらは、楓士雄が頭ってことを認識しているのでは。
轟も、自分が頭ということにそこまで固執していない。ただ鬼邪高のことを考えて、外向けにだけということで。だから楓士雄がもっと、冒頭シーンのように鈴蘭へ1人で乗り込むとか存在感が増してくれば、鬼邪高がどうとか関係なしに内にも外にも頭として楓士雄が君臨できるんだと思います。
―― 複雑なパワーバランスがあるということですね。
前田 前田としてはすっごく「行くぞテメェら」いきたかったんですけどね! 前田としては。
―― 轟バージョンは聞いてみたかった……! 一方で鳳仙も、今回はほとんどの場面に頭の佐智雄が不在でパワーバランスが前作とは少し違って見えました。いわば四天王ポジションの“小沢仁志”の4人のうち、小田島が一歩前へ出ている気がしましたが?
塩野 でも4人でいるとき、小田島が前に出ているってことは全然なかったと思いますし、僕にもそういう意識はなかった。今回たまたま小田島が楓士雄、轟と並んでそこにいたのは、僕の中でシダケン(志田健三、荒井敦史さん演)がやられたからというニュアンスが強い。そうしないとやっぱりつじつまが合わないんです。
(原作の)高橋先生と連絡をさせていただく中で、二人は幼なじみとおっしゃっていたんです。“シダケンがやられたから小田島が出る”。それは高橋先生がもともと描きたかったこと。だからもっと鳳仙の尺があって物語が描ければ、深掘りしたかったのだろうとは感じていました。
鳳仙の物語を短時間、限られたシーンだけで見せるにはと考えたとき、最後にシダケンをやったサボテン(永沼伊久也さん)にいう「隣のベッドに入れてやっから、ワビ入れてこい」ってせりふが大切になってくる。もともと台本では違う場所に入っていたけれど、カットになってしまって。でもこのせりふがないと、なぜ轟と楓士雄に並んで小田島が突撃していったかという理由付けがぶれてしまう。だからどうしても残しておきたいとノリさん(平沼紀久監督)に現場で相談して、最後の最後に入れていただきました。
―― あのせりふにそんな意味があったとは! 鳳仙らしさというと、志尊淳さん演じる佐智雄が出てきた瞬間、トップの風格というか画面が引きしまるように思えました。出演シーンはわずかでしたが、現場では会えたのでしょうか?
塩野 (うれしそうに)ねー! ラストだけ会いましたね。そこで鳳仙チームがわーって集まって、みんな仲良くいろんな話をしていました。
前田 オーラスだけね。本当にみんな集まってたよね。「スケジュール縫ってんの?」「忙しいの?」ってしゃべっていた。
塩野 そう。特に志尊くんから「どうだった?」と聞かれることはなくて、信頼感があるからなのかな。特に打ち合わせをすることもなく本当に仲よく話していたところから、撮影が始まるとみんな佐智雄のところへばーっと集まっていって。
カットがかかってからも話が尽きなくて、「おかえり」ってワイワイしたり、佐智雄がいきなり沢村(葵揚さん)にむちゃぶりで話し掛けたらうまい返しが出てこなくてみんなで爆笑したり。
前田 揚くんのいじられ具合がヤバくてこっちにも影響がきてたもん。
―― 特典映像としての公開をお待ちしています……!
前田 確かに! 未公開シーンとしてぜひ。
「小田島のタンクトップは絶対わざと」 “ずるい”コンビの魅力を自己分析
―― 楓士雄役の川村壱馬さんと、天下井公平役の三山凌輝さんのインタビューでは、轟と小田島について「ずるい」という表現がありました。ずばり当人たちとして、そういわれる理由をどう分析しますか?
前田 なぜずるいか? ハッハッハッハハ!
塩野 なぜずるいか……。
前田 僕はビジュアルが結構ずるい方なのかな。みんなが作品によって衣装を変えてきた中で、僕だけほぼ何もチェンジがなく、それこそこういう殴り合いのアクション映画、青春ムービーで、僕がそういう要素を取り入れているのはつり上がった眼鏡と片耳ピアスだけ。
轟は初期のころ「見た目だけの不良は許せねぇ」みたいなことを言っているんです。「いやいやいや、めちゃめちゃピアスしているし、めちゃめちゃ眼鏡つり上がってるけど、どういうこと?」と。
どうすれば成立するのか考えたとき、思い至ったのがもともと轟はゲーム好きだったこと。自分の救いとなったゲームキャラのビジュアルに近づけたのかなと。好きだったキャラが片耳ピアスとか眼鏡をしていたことがルーツや根幹になって、戦闘スタイルになった。本当はもっとコスプレぽいこともしていたのかも。
塩野 確かに! へー!
前田 ビジュアルでいうと小田島もずるいと思いますけど。だってあれ絶対意識しているんですよ。タンクトップの肩のライン。普通に上着を着ればタンクトップのラインなんて見えないですからね。あえて片側だけを落として肌を見せるようにやってますから。計算して!
それはやっぱりずるい。見せ方が分かっているっていうのはずるいポイント。ビジュアルは大きいですよね。
塩野 はい、白状します(笑)。
―― 分かりみが深い……。個人的には眼鏡は大きいと思います。外したり戻したりするだけでおいしいのでは?
塩野 眼鏡ね。眼鏡は大きいですよね、お互い。
前田 (三山)凌輝が「なぜあの二人の眼鏡はボロボロにならないんだ」ってずっと言っていた(笑)。
塩野 僕は前作ではちゃんとレンズが取れていますから。轟の場合は特別に柔軟なやつなのかな。
前田 もう最先端技術で全てが柔和に動く。レンズまでは対応していないはずなのに(笑)、轟はお金持ちだからね。
―― だて眼鏡の可能性はあるんでしょうか?
前田 度は入っていないと僕は思っています!
「やっちゃえハイロー」 個性豊かなキャラを生んだ舞台裏
―― 以前のInstagramライブで、それぞれの役は現在のキャストが演じたからこそ今の形になったとおっしゃっていましたね。自分ならではが反映された部分はどんなところですか?
塩野 僕が言うとアレですけど、他の作品だとそこまでやらない。実は全体的にどのキャラクターも、台本の時点ではめちゃめちゃ特徴があるせりふの言い回しばかりじゃないんです。でも「HiGH&LOW」の世界感と、この人数があって……「やっちゃえ」っていう、ほんとただそれだけ。
前田 CMみたいな言い方するね。
塩野 やっちゃえですね(笑)。やっちゃえハイロー。
たぶん俺まで目が届かないだろう、わざわざ「もっとこうで!」と全員に細かく目配りできる規模じゃないよ、と。しかも物語の中心は他にいるので、そうじゃないやつにまで目を向けていられないかなと好きにやらせてもらっていました。
―― それを許すだけの土壌があって、さらに自分で育ててきたという感覚でしょうか。
塩野 そんな偉そうなもんじゃないですけど。せっかくだったら、しかも鳳仙の制服を着せてもらっているわけですから、そこへのリスペクトを見せたい。ただ出て終わりっていうのはいやだと思っていたので、「どうせやるんだったら」という気持ちはありましたね。
―― これから2回目以降を見に行くファンへ、ここを見てほしいというポイントを教えてください。
塩野 ほぼ全部だから、あんまりいうと角が立ちそう。結構変えに変えまくってます。思った以上に長かったアドリブ。全身骨折とかもそうだし、「信じるか信じないかはあなた次第」とかも突然出た。
前田 本番で変えたり。リアルで二度見しそうになったもん。
塩野 あと鳳仙で「おまえらシダケンどこにいるか知ってるか」というせりふも、最初は「シダケン見た?」くらい軽いせりふだった。でも小田島っぽいのってなんだろうと考えたら、「昨日シダケンのこと最後に見たよーって人〜? みんな挙手〜」とお遊戯会っぽい言い回しに。台本のままでしゃべっていることの方が少ないかもしれないですね、僕に関しては。
でもアピールしたいのは、他の作品では、そんなことを、そんなにしません! これだけは言いたいです。他の監督さんや脚本家さんに「こいつやだ、使いたくないな」っていわれたくないので(笑)。
前田 危ないね! ふるいに残りたいもんね。
塩野 他ではしないです!
―― 太字にしておきます。
前田 僕は反対に、全く変えていないんですけど、アクションシーンってぱっと見は全部一発オッケーに見えるし、違和感がないと思うんです。でも本当は何日かけたかなってくらいの長さで撮影しています。朝8時開始とかあったんですよ。朝の8時からバッチバチのアクションやるって。それこそ僕、轟の無双シーンは朝8時から撮ってます。寝起きで。
2時間前くらいに起きてストレッチして、身体を起こして。睡眠時間も結構ないし、コロナ禍の影響でスケジュールも過密というのももちろんあるんですけど、最終的にそれが疲弊している感じにつながっている。「このシーンは何時に取ったんだろう」と考えてみてください。
塩野 公輝くんの場合、鬼邪高の砕けたシーンとか、轟は参加していないですけど、あの空気が生まれたのは公輝くんがいたからじゃないかなって思いますけどね。
(泰志役の佐藤)流司くん、公輝くんが悪ふざけして、それにみんなが笑って、というのが始まりで、みんなこうして仲を深めていったのかなって。
前田 (照れながら)えー! そういう空気感があってあのシーンができていったのかなって感じはするかも。
あと今回は応援上映でもしゃべれないから、ペンライトとかいろんな計らいがあるんですけど、副音声コメンタリー上映をやるんですよ。映画を見ながら壱馬と北ちゃん(司役、吉野北人さん)と凌輝と一緒に裏話をしていく。僕はMCをやらせてもらっていて、現場を思い出しながら。つい見入っちゃって沈黙とかもあるんですけど……。
塩野 リアルですよね。
前田 そう、より一緒に見ている感覚になる。「ちょっとうるせぇな」「いま推しが出ているんだから、あなたの声いらない」ってときは切れるのでチェックしてみてください!
『HiGH&LOW THE WORST X (クロス)』
企画プロデュース:EXILE HIRO
総監督:二宮"NINO"大輔 監督:平沼紀久 アクション監督:鈴村正樹
原案・キャラクター設定:高橋ヒロシ(※「高」は、はしごだか) 脚本:増本庄一郎 渡辺啓 平沼紀久 音楽:中野雄太
企画制作:HI-AX 製作著作:『HiGH&LOW』製作委員会 配給:松竹
公開中
出演
【鬼邪高校】川村壱馬、吉野北人、佐藤流司、神尾楓珠、福山康平、龍、鈴木昂秀、うえきやサトシ、中島健/森崎ウィン/前田公輝
【瀬ノ門工業高校】中本悠太(NCT)、三山凌輝(RYOKI)、永沼伊久也、比嘉涼樹
【鎌坂高校】藤原樹、岡宏明
【江罵羅商業高校】長谷川慎、陣、今村謙斗
【鳳仙学園】志尊淳(特別出演)、塩野瑛久、葵揚、小柳心、荒井敦史、堀夏喜、坂口涼太郎
【鈴蘭男子高校】三上ヘンリー大智 板垣瑞生 時任勇気 八木勇征 木村慧人 高橋祐理
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「なんでなんだよCLAMPさん!!」とツッコミたくなる異色コラボのようで、もともと4人はハイロー好きを公言していました。