ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

クラファンも胸熱! 大井川鐵道が修繕するSL「C56形135号機」、一体どんな機関車なの?月刊乗り鉄話題(2022年10月版-2)(1/2 ページ)

公園のシンボルになっていた機関車を「再び走らせる」、そんな胸熱ストーリーをどうぞ。

advertisement

(前回に戻る)

 大井川鐵道が蒸気機関車「C56形135号機」を復活させるために挑む「1億円クラウドファンディング」。前回は、鉄道ファンならばぜひチェックしておきたいクラウドファンディングの面白もの・アイデアものの「返礼品」を見てきました。今回は、機関車修繕前の様子とともに、そもそもこの「C56形135号機」はどんな機関車なのか、そしてその先は何を? を解説します。

大井川鐵道が行う「SL修復」クラウドファンディングプロジェクト。目標は1億円
大井川鐵道が行う「SL修復」クラウドファンディングプロジェクト。目標額は1億円
修繕されるSL「C56形135号機」の機関車本体。間近で見るとやっぱり大迫力だが、ボイラーに大穴も空いている。これを修繕して走らせられると判断ができるところが大井川鐵道の技術力 別体の炭水車 他社も含めて「SL修繕」を行うための新たな修理工場も建設中 修繕前のC56形135号機 SLの修繕は、大井川鐵道にとって若手・次の世代へ蒸気機関車の復元技術を継承するという目的もある

修繕されるSL「C56形135号機」はどんな機関車だった?

 大井川鐵道が修繕し、新たに走らせるというSL「C56形135号機」はどんな機関車なのでしょう。

修繕されるSL「C56形135号機」の機関車本体。間近で見るとやっぱり大迫力だが、ボイラーに大穴も空いている。これを修繕して走らせられると判断ができるところが大井川鐵道の技術力
公開された修繕前の「C56形135号機」機関車本体。間近で見るとやっぱり大迫力。でも、ボロボロでボイラーに大穴も空いている。これを修繕して走らせられると判断ができるところが大井川鐵道の技術力

 C56形は1935(昭和10)年に誕生した形式です。機関車本体の後ろに、石炭と水を蓄える「炭水車」を組み合わせて走ります。長距離運行が可能な小型機関車です。

 小型機関車と言えば、大井川鐵道や東武鉄道、真岡鐵道で「C11形」「C12形」などが活躍しています。これらは機関車の本体に石炭と水を積む形式で、その機関車の設計を元に炭水車を追加しました。従って、C11形を既に運用する大井川鐵道にとって扱いやすい形式と言えます。

 ちなみに大井川鐵道は過去に「C56形44号機」も運行していました。こちらは戦時中にタイへ送られ、戦後放置されたままだったのを大井川鐵道が引き取り、動態復元したものです。大井川鐵道にとって「C56形」の復元整備も経験済みというわけです。

別体の炭水車
別体の炭水車。側面を斜めに切り欠いたデザインは、後進運転時に運転席から進行方向を視認しやすくするため。前回クイズにした「ヘンだな」の正解は、「炭水車の前後が逆」だったのでした。クレーンで降ろしたときにたまたまこうなったとのこと。もちろん修理時は元の向きになる

 C56形135号機は1938(昭和13)年製で、広島県、島根県、鳥取県、宮崎県、鹿児島県で活躍し、1974年に引退しました。

 その後、国鉄から兵庫県の滝野町(現在の加東市)に貸与され、滝野文化会館で展示。後に播磨中央公園に移設され、長い間公園のシンボルとして飾られました。しかし晩年はメンテナンスが行われず、だんだん老朽化していきました。「放置して破損すれば危険」という判断で加東市は撤去する方針とします。

 「貸与品」なので持ち主は国鉄で、資産の引き継ぎ手はJR西日本になります。しかし、JR西日本にとっても「今さら返されても……」となります。引き取り手がなければ解体すると報じられました。そこで大井川鐵道が引き取りを申し出ました。

 「現地で確認したところ、動かせるだろうと。もし動かせないとしても、部品取り用として他の機関車の延命に使えそうだと思い、引き取りを決めました」(大井川鐵道)。

 大井川鐵道と東海汽缶の技術力があれば「復元できる」。このSLは解体ではなく、「再び走る」見込みが立ったのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る