ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

機械式時計を“工作機械から”自作するニコニコ技術部ぶっちぎりの職人が話題に どうやって技術を身に付けたのか聞いてみた(2/3 ページ)

ソフトもハードも全部1人で完結。

advertisement

―― 時計作りを始めたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

したーじゅ: 単純に何かものづくりをしたかったというのがきっかけです。学生時代は工作機械などは持っていなかったので、大したものは作れませんでしたが、社会人になり自分でお金が稼げるようになったら、そのお金で工作機械を購入してものづくりをしようと決めていました。

 学生時代も多少はものづくりをしていたのですが、実際に生活の中で使えないものを作ってもすぐに捨てていたので、生活の中で使えるものが作りたいと思っていました。そこで、自分が欲しい機械式時計がなかったため、難易度的にもやりがいがありそうだと思い腕時計を作ることにしました。

―― ソフトとハードの両方を扱える技術はどこで身につけたものなのでしょうか。

したーじゅ: 本業は機械設計で、大学は機械工学科を出ているので一般の人よりは知識はあったと思います。ただ、実際にものが作れるほどの知識はなかったので、技術が必要になったらその都度調べて手を動かして、技術が身につくまでやり続けただけです。

―― 今までに製作した時計や工作機械の製作時間はそれぞれどの程度でしょうか。

したーじゅ: 腕時計は最初に作ったものが3カ月程度でした。それ以降に作った腕時計は新しいことをいろいろ試しながら作っているので、大体1年程度かけて1本作っています。CNCフライス盤は実働だと4カ月程度、時計旋盤は実働2カ月程度だと思います。

最初の腕時計。この時は3カ月程の製作期間だったようです

 

 

―― 時計の製作で特にこだわっているポイントはどこでしょうか。

したーじゅ: 1つは自分が欲しいと思える時計を作ることです。

 2つ目は部品1つ1つをきっちり作ることです。部品単体で美しいと思えるものを作ればそれを組み合わせた完成品はいいものになると考えているので、部品1つ1つをこだわってきっちり作っています。

 3つ目は既存の製品の模倣にならないようにすることです。私の作った時計は既存のものと原理は同じですが、制作方法や細かい部分では違うところが多いと思います。理由としては、模倣にならないように既存の時計はできるだけ分解して中身を見ないようにしているので、既存の時計の細かいところがどうなっているか私が知らないからです。模倣で作成しても、面白くないですからね。

―― 製作のための機械を自作するのは非常に珍しいと思うのですが、実用的なものが作れる算段の上での製作だったのでしょうか、ダメでもともとだったのでしょうか。

したーじゅ: 工作機械の自作は確実に作れる自信があって作っています。今回作った工作機械は初めての設計でうまくいきましたが、うまくいかなかった場合も修正してどうにかしていたと思います。


 なんとスキルの多くが、独学によるものでした。世の中には、信じられない技術を自力で身に付けてしまう人がいるものなのですね。いずれ販売される予定の自作時計がどれほどの精度になるのか、楽しみです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る