浜辺さんが“鳥肌立った”シーン
―― ナランバヤルとサーラについて、お2人がご自身とよく似ていると思うポイント、もしくは共感できるポイントは?
賀来 ないですね、うらやましいとは思いますけど。ナランバヤルみたいに……決めるときは決めたいですよね。やっぱりすごくカッコいい男なんですよ。見た目はヘラヘラしてて頼りなくみえるかもしれないけど、「すごくすてきな男だな」「僕はこんな男になれたらいいな」と思いながら演じていました。
―― 浜辺さんは?
浜辺 私も基本せっかちな方なので、おっとりしているサーラとは真逆な気がします。
唯一挙げるならばワンちゃんに向ける気持ちかな。「金の国」は豊かなこともあって、飼っているワンちゃんに豪華なご飯をあげているシーンがあって、私も自分のワンちゃんに結構いいものをあげたいと思ってしまうタイプなので(笑)。
一同 (爆笑)。
浜辺 そこはちょっと一緒だなって(笑)。「確かにおいしいものあげたくなるよね!」と共感しました。
―― ちなみにワンちゃんかネコちゃんは飼われていますか?
浜辺 (即答で)私はワンちゃんです! 最近ちょっと太ってしまったのですが、ちゃんと体重を落としました。
―― (笑)。では、ご自身が演じた以外で好きなキャラだと誰になりますか?
賀来 ジャウハラ!
浜辺 カッコよかったですよね。
賀来 木村昴さんの声もまたカッコいい。ジャウハラのような体形になりたい! 最初はちょっとイヤな感じで出てくるんですけど、後々キーパーソンとなるあたりも好きですね。
浜辺 私は犬のルクマンと猫のオドンチメグかな。サイズ感も小さくて、グッズが欲しくなる愛らしさがあって動きもかわいいですし、なかなか心くすぐられました。
ルクマンとオドンチメグは同じ声優さん(麦穂あんなさん)が演じているそうで、巧みに演じ分けられていて本当にすごかったです。
―― 本作は、背景などの絵も魅力的です。おすすめシーンはありますか?
賀来 ナランバヤルが作中で初めて「金の国」の全貌を知る場面があるんですよ。そこは結構「うぅ!」ってきました! 思わず「(本当に)金の国だ……!」と漏らすんですけど、心の底からセリフが出せたというか、圧巻のシーンですね。
浜辺 私は、フライヤーにも使われている橋の上のシーンです。Evan Callさんの素晴らしい音楽に加えて、奥行きのある絵もセリフもストーリーの流れも全部すてきで。あのシーンは最初の鳥肌ポイントだったと思います。
―― 浜辺さんが先ほど賀来さんを巡るエピソードを話してくださいましたが、アフレコ現場で他に印象的だった出来事は?
賀来 (サラディーン役の)浩史さんとアフレコをご一緒させていただいたときは、やっぱり圧倒的すぎてちょっとワーッてなりましたね。かなり興味深く濃密な会話ができたので、貴重な時間でした。
―― 演者同士として通じ合うところもあったと?
賀来 やっぱり基本は役者なんですよ。俳優も声優も役者であることに変わりはなくて、ただ表現の仕方が違うだけなんだなと、あらためて感じました。
浜辺 音響監督さんが今回すごく助けてくださって。本当に優しい方で、緊張していてあまり良いテイクを重ねられなかったときは、いったん休憩にしてブースに入ってきてお話もしてくださいました。
見習いたいところも含めて、本当にすてきな方でした。アフレコが終わった後は「あとは任せて」「こっちがうまくやるから」と伝えてくださって心強かったです。またどこかでご一緒できたらいいなと思っています。
―― 本作は、国を変えるほどの“やさしい嘘”をテーマにした物語です。お2人はうそを最後までバレないで突き通せる器用なタイプですか?
賀来 (即答で)すぐバレますね! もう速攻でバレます、ダメですね、何もできない!
浜辺 えぇ!?(笑)
賀来 僕はキレイにうそをつけていると思うんですけど、顔にもすぐ出ちゃう。
―― だとすると、賀来さんだけだったら国を変えられなかったかもしれないですね?(笑)
賀来 もちろん! 惨敗です(笑)。
浜辺 (笑)。私の場合は、うそをついたこと自体を忘れてしまうことが多い気がします。自分の中で完結させてしまうので、後で整合性がとれなくて焦ることがあるかもしれません(笑)。
賀来 なるほど!
浜辺 完璧に対応するのは無理かもしれないです。
2人が人生で体験した「奇跡」
―― 「金の国 水の国」では、主人公の2人による“やさしい嘘”の奇跡を描いています。お2人の活動で「これは奇跡だったな」と感じた瞬間は何ですか?
浜辺 私は他の選択肢を持たない状態で、高校のときに上京したのですが、そこからひどく苦労したということもなく、無事に卒業できたことが奇跡かなと思います。
映画の撮影など仕事と学業の両立でなかなか大変だったのですが、どちらも無事に完了できたことは、奇跡といえるかもしれません。
―― 当時と同じことは今もできそうですか?
浜辺 ……いける気がします!
―― すごいです。賀来さんはいかがでしょうか?
賀来 そういう意味でいうと、仕事が続いていることですね。楽しいから続けている部分もあるにしろ、こんなに長い間俳優をやっているとは思っていなかったので、すごく飽き性な自分という人間を知っているだけに奇跡なんじゃないかなと思います。
―― もし俳優でなかったとしたら、今ごろ何をやっていたと思いますか?
賀来 ずっと海外に行きたかったんですよね。世界のいろいろなところに行ってみたかったかな。
―― 行けるとしたら真っ先にどこへ?
浜辺 確かに! オススメの国を知りたいです。
賀来 住んでみたいのは、アメリカもそうなんですけど、やっぱりヨーロッパかなぁ。イタリアに少し行ったことがあるぐらいなので。
以前、ニューカレドニアの観光親善大使を務めていたんですけど、もう本当に良い場所で。また行きたいなと思っています。
―― 国の話と関連して最後に、もし「金の国」「水の国」のいずれかに住めるとしてどちらを選びますか?
賀来 うーん。(少し考えて)さっきお話しした「金の国だ……!」のシーンは、ちょっとリアルで再現してみたいな。あの景色をじかに見てみたいですね。
浜辺 私も「金の国」かなぁ。ご飯がおいしい「金の国」の方が幸せに暮らしていける気がします。「金の国」では水が貴重なんですが、その分ワインがたくさんあるので、ワインで何とかしのいでいこうと思います(笑)。
(C)岩本ナオ/小学館 (C)2023「金の国水の国」製作委員会
公開情報
・「金の国 水の国」
監督:渡邉こと乃
脚本:坪田 文
音楽:Evan Call
テーマ曲(劇中歌)アーティスト:琴音
プロデューサー:谷生俊美
原作:岩本ナオ『金の国 水の国』(小学館「フラワーコミックスαスペシャル」刊)
出演:賀来賢人(ナランバヤル)、浜辺美波(サーラ)、神谷浩史(サラディーン)、ライララ(沢城みゆき)、
木村 昴(ジャウハラ)、戸田恵子(レオポルディーネ)、茶風林(ピリパッパ)、てらそままさき(オドゥ二・オルドゥ)、銀河万丈(ラスタバン三世)
制作:マッドハウス
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