光回線なのに100Mbpsも出ない → ケーブル変えたら爆速に 原因だった「CAT5」ケーブルとは何か業者に聞いてみた(1/2 ページ)
速度が出なくて困っている人は確認してみよう。
インターネットのケーブルを替えたら回線速度が一気に上がった――ネットの速度に困っている人であれば見逃せないツイートが、注目を集めています。速度が出ない原因となっているかもしれない「CAT5」ケーブルとは何なのか、周辺機器メーカーなどに話を聞いてみました。
このツイートを投稿したのは、YASUOKA Masahiko(@yasuoka_m)さん。光回線を契約しているにもかかわらず、100Mbpsを超えられず悩んでいたそうです。
しかし、ONU(Optical Netowork Unit:NTTやプロバイダーから送られてくる機械)とHGW(ホームゲートウェイ:ONUとPCやゲーム機の間に接続する機械、ルーターとほぼ同義)の間に使用されていたLANケーブルを別のものに交換したところ、回線速度が一気に改善。500Mbpsを超えるほどになりました。
では、いったいなぜLANケーブルを一本替えただけでここまで改善されたのでしょうか。その原因は、今まで使用していたLANケーブルが、「CAT5」(カテゴリー5)の、古いものだったことのようです。
確かに投稿されたケーブルの写真には、「CAT5」の文字が印刷されています。これらの配線はNTTが実施したものだったので気にしていなかったそうなのですが、思いがけないところで古いケーブルが混ざっていたようです。
LANケーブルにはさまざまなカテゴリーがあり、新しく、高速な通信に対応したものほどよりカテゴリーの数字が大きくなっていきます。現在は1Gbpsに対応する「CAT5e」や「CAT6」が主流で、「CAT5」は最大100Mbpsの古い規格。詳しい解説は、サンワサプライ「LANケーブルの選び方」のページで解説されています。
また、CAT5のケーブルにもさまざまな種類があり、リプライ欄の有識者たちによるとCAT5でも100Mbps未満しか速度が出ないのは遅すぎるとの意見も。もしかすると使用されている線が少ない「4芯」のものではないかと予測する声があがり、YASUOKAさんが爪の部分を確認したところ、確かに4芯のものでした。
では今回のように、古いカテゴリーのケーブルが原因となり速度が出ない事象は、よくあることなのでしょうか。さまざまな電子機器の製造を行うサンワサプライに話を聞きました。
―― なぜCAT5のケーブルでは速度が出ないのでしょうか。
サンワサプライ: CAT5規格の期間は短く、その後すぐにCAT5e規格が発表されたため、CAT5と記載があるものでもCAT5eのケーブルのものがあることを確認しています。また、CAT5と記載があるケーブルでも、構成する部材、製造加工のレベルによって、性能が異なります。
その上で、CAT5ケーブルの規格は、10/100MbpsLAN用のケーブルですが、CAT5eケーブルの規格は、1000Mbps用ケーブルですので、伝送速度に大きな差があるため今回のような事象が発生したと考えられます。
―― CAT5ケーブルが原因で速度が出ない事例はよくあるのでしょうか。
サンワサプライ: CAT5規格のケーブルで、現在販売されているものはほとんどないと思っていました。弊社では、CAT5ケーブルを販売していないので、そういった事例や問い合わせをいただいたことはありません。
―― CAT5でも8芯であればもっと速度が出るとの投稿も見受けらますが、実際どうなのでしょうか。また、なぜ4芯と8芯のものがあるのでしょうか。
サンワサプライ: 最近のスイッチ(LANスイッチ/LANハブ)では、ケーブルがCAT5の性能しかないと判断した場合に100MB以下に落として通信をする機能があると聞いています。CAT5規格は2対(4芯)で、CAT5e規格は4対(8芯)の伝送ですので、使用する機器がCAT5eの機器の場合、CAT5でも8芯であれば速度が出る場合があると考えられます。
8芯と4芯が存在した理由は、使用する銅やPVC(ポリ塩化ビニール)などの量により材料コストに差が出てくるためです。CAT5規格の期間が非常に短かったため、両方の芯数があると考えます。
―― CAT5の4芯でも速度が出ているケースも有るようです。どうしてこのような差が出るのでしょうか。
サンワサプライ:外観は同じでも、中身が異なる場合があります。コネクターの仕様(構造)・性能、ケーブル線材の仕様(AWG)・性能、加工の精度などによって、ケーブルの性能は大きく変わります。
また、スイッチによっては、ケーブルの通信性能を判断して通信速度をコントロールしているのではないのでしょうか。ただし、この件はスイッチのメーカーの方に確認してみる必要があると思います。
―― 通信ケーブルが原因で速度が出ていないことを見分ける方法はありますか。
サンワサプライ: ベンチマークテストでスピードを測定する際に、ケーブルを交換して、比較する方法が目安にはなります。正確に計測するには、専用のLANケーブルテスターで、ケーブルの性能試験(NEXT、RLなど)を行う必要があります。
―― もし家のLANケーブルがCAT5だった場合は、どのケーブルに変えればよいのでしょうか。おすすめなどありましたらご紹介ください。
サンワサプライ:一般的な使用環境の方であれば、1000Mbpsまでの伝送環境が一般的なので、CAT5e以上のケーブルといえます。
ただし、規格だけではなく、ケーブルの形状(丸型標準タイプ、細径スリムタイプ、フラットタイプ、STPタイプ、SFTPタイプ等)もありますので、そのケーブルの特性を考慮して選択することをオススメします。予算が合えば、将来的に使用もでき、伝送帯域、伝送速度に余裕のある、CAT6Aをオススメいたします。
CAT5の回線は、現在ではほぼ使われていないもののようです。ではなぜ、CAT5のLANケーブルをNTTでは使用したのでしょうか。この件について、NTTにも聞いてみました。
―― 最近ではCAT5のケーブルは一般的にほとんど使用されていないもののようですが、現在でもCAT5のケーブルを支給するケースもあるのでしょうか。
NTT:現在、CAT5でケーブル添付、敷設することはございません。現在は第6世代なのですが、2011年リリースの第4世代以降はCAT5eとなっております。
―― どのような理由で今回のケースの配線はCAT5ケーブルが使用されたと考えられますか。
NTT: 「2011年以前にフレッツをご契約いただいたお客さま」だったこと、かつLANケーブルをその当時から取替をしていないことが想定できます。
NTTの回答についてYASUOKAさんに話を聞いてみたところ、フレッツ光にしたのが2003〜4年ごろ。当時は光配線方式ではなく、マンションのためVDSL方式(下り100Mbps、上り50Mbps〜100Mbpsの接続方式)だったため、このケーブルでも問題がなかったと思われるそうです。しかし、光配線方式への切り替えを2018年ごろに行なったのですが、その際に業者がVDSLのケーブルをそのまま再利用してしまったのではないかということでした。
つまり、古くからずっとフレッツを契約しており、同じLANケーブルを使用し続けている場合に発生するやや珍しいケースだったもよう。しかし、珍しいからこそ例が少なく、原因に気付きにくい現象といえそうです。回線速度が出ず、今回のようなケースに当てはまりそうな人は、一度確認してみると良いでしょう。
画像提供:YASUOKA Masahikoさん(@yasuoka_m)
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手間がかからず高速が欲しいのですが。