筋肉痛が遅れてやってくるのは歳のせい――行楽シーズンの後、さまざまな場所で聞かれる言葉です。しかし、科学的には、筋肉痛が出る時期は年齢ではなく、基本的に運動強度と運動不足との兼ね合いだといわれます。なんというか、知りたくなかった事実。
運動強度とは、平たくいえば“運動のきつさ”のことです。例えば、のんびり散歩をするときと全力疾走をするときでは、同じ移動距離でも筋肉への負荷や心拍数が大きく異なります。
一般的な筋肉痛は、主に筋肉の細かな損傷を治すときに起こり、運動の数時間から数日後に出てきます。痛みが生じるまでにタイムラグがあるのは、運動で傷ついた筋肉を治すために炎症反応が起き、そのとき作られる刺激物質によって痛みを感じるためです。また、激しい運動では筋肉の損傷も多くなり、早く修復しようとするため比較的すぐに筋肉痛が生じますが、軽い運動では筋肉の損傷が少なく、修復の過程もゆっくりであるため、筋肉痛の出現が遅れます。
加えて、運動不足の人は、そもそも筋肉の損傷がたくさん起こるような激しい動作は行わなくなっています。一方で、普段あまり動かないことにより、ちょっとした運動でも筋肉の修復が必要な上、修復作業にも時間がかかります。……率直にいえば、運動不足の人が慣れない運動をすると筋肉痛が遅れてやってくる、というわけです。
なんだか耳の痛い情報ですが、筋肉痛の遅れが歳のせいでないのなら、生活方法の見直しによって大人世代もまだまだ元気に動けるということかも。そう思うと、日々の運動へのモチベーションが少し上がる気がします。
監修:今井厚(いまい・あつし)
中部学院大学スポーツ健康科学部講師。体幹トレーニングやスポーツ動作時の筋活動や体幹コントロールに関する研究を実施。
書籍(共著)「スポーツ障害 予防と治療のための体幹モーターコントロール」「腰痛の病態別運動療法」。
著:近藤仁美(こんどう・ひとみ)
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。日本テレビ系「高校生クイズ」「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」など、各種媒体に問題を提供する。クイズの世界大会「World Quizzing Championships」では、日本人初・唯一の問題作成者を務める。
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