「バイト先に庵野秀明来てやばい」ENEOS店員が投稿 著名人の来店漏らす“バイトテロ”はいかに防げるのか(2/3 ページ)
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一さんが対策を解説。
著名人の来店漏らすバイトテロはいかに防げるのか
企業側はこのような問題にどういった対策ができるだろうか。とりわけアルバイト従業員を多く抱える業種(飲食業や宿泊業など)では、そのリスクは高く、対策に苦慮しているところも多いだろう。
まず社内ポリシーの策定は欠かせない。明確なガイドラインやポリシーを策定し、それを役職関係なく、従業員全員に周知することが肝要だ。これには、SNSの使用、プライバシー保護、顧客との対話方法、行動規範などが含まれる。
しかし、このようなポリシーは中々浸透しづらく、また周知してもすぐに忘れられがちだ。そこで、定期的に研修・教育を実施することが必要になる。ポイントは「定期的に」の部分で、忘れないように定着させること。研修内容には、プライバシー保護やSNSの適切な利用方法だけでなく、いざ問題が起こった場合にどのような影響が出るかも含めるのがなお良い。
いざ問題が発生したときに、すぐに検知をし、情報が社内で共有される体制を構築していくことも、リスクマネジメント上は重要になる。検知システムを導入するなどで素早く問題を把握し、上司や他部門にすぐに共有されるような体制作りが求められる。
投稿する前に「考える」時間を設けることが大切
著名人の情報を気軽に投稿した人に待ち受ける未来は明るくない。前述の通り、内定取り消しというケースが発生しているし、解雇されている事例も多い。それで何か企業に損害をもたらした場合、損害賠償を請求されるおそれもある。
自分だってどのホテルに行ったのか、どの飲食店に行ったのかといった情報は、いちいち公にされたくないはずだ。他者を尊重し、自分のやられて嫌なことはしない……。つまり、例え著名人の情報であっても、決して興奮に身を任せてすぐに投稿しないという心がけが大切だ。
もう1つ、このような炎上が発生すると、問題を起こした投稿者が強烈にバッシングされることがある。「悪いことをしたのだから、サンドバッグになるのが当然」と考えている人もいるかもしれないが、個人情報を特定して拡散したり、誹謗中傷をしたりすれば罪に問われる可能性もある。
SNSが普及して、誰もが気軽に世界中に向けて発信することが可能になった。あまりにそれが自然な行為になったために、「考える」時間が減ってしまったのかもしれない。投稿する前に一歩立ち止まり、読み返して考える時間を設ける。そして、個人情報や誹謗中傷は投稿しない。ひとりひとりがそのように心がけることが、誰もが発信者になった「人類総メディア時代」には欠かせない。
(文: 山口真一 編集:上代瑠偉)
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