「神の使い」として、地元住民や観光客に親しまれる奈良公園のシカ。しかし、そんなシカの身体には、感染症などを引き起こす可能性がある「マダニ」がついているという投稿が話題になっています。奈良を訪れた際には、シカとどう接すればいいのでしょうか。奈良でシカの保護活動をする愛護団体に話を聞きました。
奈良公園を中心に生息する野生のシカは国の天然記念物に指定されています。シカの保護活動を行う一般財団法人奈良の鹿愛護会の調査によると、奈良公園に生息するシカは2022年度で1182頭。そのうち204頭がオス、747頭がメス、231頭が小鹿です。
奈良公園にはシカ目当てに国内外から多くの人が訪れ、観光客がシカに鹿せんべいをあげる光景はおなじみのものになっています。しかし、そんな奈良公園のシカについて、Twitter上ではこんな投稿が拡散されています。
「奈良公園の鹿に注意!体中にマダニを大量くっ付けてます!!!しかもその状態でこちらに近寄って頭を擦ってきます!!可愛いので触っちゃうんですが、冗談抜きで想像の100倍はマダニくっ付けてるので注意してください!!!鹿を触るということは、マダニを触ると同義だと思った方が良いです!!!」
投稿者のえねるさん(@enelusan)は、実際にシカの身体にマダニがついた写真を投稿しています。投稿を見たユーザーからは「知らんかったわ」「そんな状況なの?」などと驚きの声が聞かれました。
厚労省の公式サイトでは、病原体を持ったマダニなどに刺されると「ダニ媒介感染症」を引き起こす可能性があるとして、「草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です」と、マダニ対策を行うよう呼び掛けています。
愛護団体は接し方に「注意」を呼びかけ
奈良のシカとマダニの関係は、どうなっているのでしょうか。ねとらぼ編集部は6月27日、「奈良の鹿愛護会」のメンバーで、獣医師の丸子理恵さんに話を聞きました。丸子さんによると、そもそも奈良のシカは自然の中を動き回る「野生動物」であることから、マダニが身体につくリスクがあるといいます。
また、市場には犬猫用や家畜の牛用のダニ予防薬が流通している一方で、全国的に頭数が限られるシカ向けの予防薬は流通しておらず。愛護会では過去に牛用の薬をシカに投与したことがあったものの、目立った効果はみられなかったといいます。なお、奈良では、人通りの多い都市部よりも、山の近辺に生息するシカの方がマダニの数が多い傾向があるとしています。
丸子さんは「みなさんは『シカにマダニがついている』とびっくりするかもしれませんが、そもそも『野生動物の身体にはマダニがいる』と認識する方がいいかと思います」と、シカと接する側の意識が重要だとします。鹿せんべいをあげる際などは、どうしてもシカとの距離が近くになりがちですが、「長時間直接なでたり、抱き着いたりすることはやめた方がいいかと思います」としました。
また、奈良公園事務所の担当者は27日の取材に「シカについたマダニに関する注意喚起はしていない」としつつ、園内では野生のシカとの接し方に注意するよう呼びかける案内などを設置しているとしました。
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