200%犬派の夫妻が迎えた“性格がきつすぎる猫” 家族にだけ見せる意外な顔、心の傷を癒やしたきょうだい猫の存在に胸が熱くなる
「ペットロスとの寄り添い方」第12回は猫・姫ちゃんです。
多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。
愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2023年、20歳〜69歳のペットを飼っているまたは飼育経験がある391人を対象に実施された「ペットロス」に関する調査では、「約8割が『ペットロス』という言葉を見聞きしており、約4割が実際に経験している」と発表されています(サンセルモsorae調べ)。
飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。
そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。
第12回 飼い主・ハートさん/猫「姫」ちゃん
―― 姫ちゃんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください
ハート:200%犬派でしたが、夫婦共働きで犬は迎えられず、人生で初めて猫ちゃんを迎えることを決心。ブリーダーさんをいくつも見て回ったのちに、アビニシアンの子猫で女の子の「姫」と男の子の「殿」という2匹がわが家へやってくることになりました。
姫は「性格がきつすぎる」とのことでしたが、あまりにかわいかったので、何の抵抗もなく連れて帰りました。
姫はとても激しい性格だったため、家族以外の他人は近づけませんでした。しかし人が訪問した際は、誰が来たかを確かめないと気が済まなかったようで、姿は見せていました。
姫は小さくてかわいかったので、初めて来た人は皆、姫に触ろうとするのですが、私はいつも「その小さいほうは性格がきついので触らないでください」と説明していました。
そんな姫でしたが、私がバイオリンの練習をしているといつもやってきて、「抱っこ、抱っこ」とせがんできました。バイオリンを片手で持ちながら抱っこしたら、姫は私に頬擦り。バイオリンにも頬擦りしたかと思ったら、端を思いっきりかんで、欠いてしまいました。
姫はどこにでもくっついて回っているので、お風呂に3回落ちたことがあります。またとても食いしん坊だったので、アクシデントも多々ありました。
―― 姫ちゃんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください
ハート:13歳と数カ月で腎不全により虹の橋を渡りました。猫、特にアビシニアンやシャムは腎不全の発症の傾向が強いといわれており、姫はすでに発症していたので覚悟はしていたつもりでしたが、あまりに突然具合が悪くなったので、頭の中の整理がつきませんでした。
「こうなったらこうしよう」と繰り返し考えてはいたものの、何をどうして良いのか、どうしようもないパニックになってしまい、「ああすればよかった」「こうしなければよかった」という後悔でぶちのめされそうでした。最後、お別れのとき「絶対に言うまい」と決めていたので、「さようなら」は言いませんでした。
生活のあらゆる部分が姫とリンクしていたので、1日中思い出してしまうことになり、普通の生活に戻れませんでした。どうしようか考えあぐねた結果、「どうやって2匹が来ることになったか」「どういう出来事があったか」「終わりが来るまで」の全てを24章からなる小説に書きました。
あまりにショックが大きく、お別れしたばかりのころは殿が寄り添ってくれていることに気付けませんでした。しかし、姫を失った私の心の傷を殿が驚くほど癒やしてくれました。
―― 現在の心境を教えてください
ハート:動物と暮らすということは、言葉を話せない生き物の命に責任を持つということで、簡単ではありません。いろいろ大変なこともありました。そしていなくなったら辛くてたまりません。
しかし、言い表せないほどの多くの、楽しくて、幸せな時を過ごすことができました。24章の小説をどこかで発表できれば良いと思います。
―― 姫ちゃんに伝えたいメッセージ
ハート:うちの子になってくれてありがとう。いつかまた会おうね。本当に楽しかった。
(了)
「ペットロス」「ペットロス症候群」になった場合、その苦しみを閉じ込めたり自身を責めたりせず、家族や仲間と共有する、生活に支障を来す場合は専門家のカウンセリングを受けるなど、焦らずに“死”を受け入れていくことが大切だといわれています。
また現在動物と暮らしている人は、「いつかは別れがくる」と理解し後悔のないよう接すること、同じ動物と暮らしている友人や仲間を見つけ、喜びや悲しみを分かち合うことが、いつかくるそのときと向き合う心身の準備へとつながるかもしれません。動物と暮らす喜びをかみしめながら、心のよりどころとなる思い出や関係を作っていきたいですね。
ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットロスとの寄り添い方」をテーマにアンケートを実施しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事など、【こちら】までお寄せください。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
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