警戒心ゼロのハムスター、飼い主が泣いていると顔に近づき…… 優しく慰めてくれた日々に感謝があふれる
「ペットロスとの寄り添い方」第11回はハムスター・きなこちゃんです。
多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。
愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2022年、全国47都道府県に在住する20〜69歳の男女5000人を対象に実施された「ペットに関する調査(2022年)実態編」では、「困りごと・気になる点」として「死なれるのがつらい」などの理由から「ペットロス」が上位にあがる傾向にあると発表されています。
飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。
そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。
第11回 飼い主・ナツ(@kinakokinakosama)さん/ハムスター「きなこ」ちゃん
―― きなこちゃんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください
ナツ:仕事とプライベートで落ち込み少し鬱状態だったとき、ペットショップに立ち寄りました。そこで昼間、1匹だけ餌箱に体を突っ込んでごはんを食べていたハムスターの姿に元気づけられ、お迎えしました。
大人しくて穏やかなハムスターでした。抱っこをしたら必ず鼻をなめてきたり、泣いてると顔をなめてきました。慰めてくれていたのかは分かりませんが、私にとっては慰めになってました。
あとは、手のひらでずっと寝てくれていました。今までハムスターと暮らしてきたことはありますが、ここまで警戒心がない子は初めてでした。
―― きなこちゃんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください
ナツ:2歳で虹の橋を渡りました。突然だったので心の準備ができませんでした。ある日突然弱ってしまい、動物病院へ連れて行ったら「もう治療はできない寿命」だと言われました。
「逝かないで」と言いながら、寝ずにきなこを抱っこして過ごしました。でも少し休もうと、お気に入りのタオルにきなこをくるみ、仮眠を取って起きたら息を引き取っていました。
きなこは多分、抱っこされたまま虹の橋を渡ったら、私が立ち直れないことを分かっていたんだと思います。
きなことお別れしてから、写真を見て思い出に浸ることがあります。たくさん泣きましたが、きなこをかわいがっていたことを知る人たちやペット火葬場の方に「短い人生だったけど、きなこちゃんはこんなにかわいがってもらえて幸せだったよ」と言われました。
―― 現在の心境を教えてください
ナツ:まだ気持ちの整理はできず、会いたいし抱きしめたいです。
―― きなこちゃんに伝えたいメッセージ
ナツ:会ってくれてありがとう。うちの子になってくれてありがとう。
(了)
「ペットロス」「ペットロス症候群」になった場合、その苦しみを閉じ込めたり自身を責めたりせず、家族や仲間と共有する、生活に支障を来す場合は専門家のカウンセリングを受けるなど、焦らずに“死”を受け入れていくことが大切だといわれています。
また現在動物と暮らしている人は、「いつかは別れがくる」と理解し後悔のないよう接すること、同じ動物と暮らしている友人や仲間を見つけ、喜びや悲しみを分かち合うことが、いつかくるそのときと向き合う心身の準備へとつながるかもしれません。動物と暮らす喜びをかみしめながら、心のよりどころとなる思い出や関係を作っていきたいですね。
ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットロスとの寄り添い方」をテーマにアンケートを実施しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事など、【こちら】までお寄せください。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
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