不登校の中2息子に寄り添い続けたシニア猫、大学生になり家を出た数カ月後…… かけがえない日々に感謝があふれる
「ペットロスとの寄り添い方」第9回は猫・スコちゃんです。
多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。
愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2022年、全国47都道府県に在住する20〜69歳の男女5000人を対象に実施された「ペットに関する調査(2022年)実態編」では、「困りごと・気になる点」として「死なれるのがつらい」などの理由から「ペットロス」が上位にあがる傾向にあると発表されています。
飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。
そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。
第9回 飼い主・吉田美穂さん/猫「スコ」ちゃん
―― スコちゃんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください
吉田美穂:近所の動物病院が提携している保護施設から譲渡していただきました。猫がいることで当時不登校だった中学2年生の息子の気が紛れるかと思い、息子が選んだ猫を譲渡してもらいました。譲渡していただいたときはすでに推定10歳。保護施設では、もらわれていく後輩猫を何度も見送ってきて寂しかったと思います。
スコは息子に選ばれたことがうれしかったのか、息子に無理やり抱っこされたり、触られたりしても、「仕方ないなあ」という感じで我慢して付き合ってくれていました。息子の靴にスリスリしたり、何だかんだと息子の部屋に入り浸っていたり、夜中にオモチャをくわえて息子のベッドに置いていることもありました。
―― スコちゃんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください
吉田美穂:15歳で虹の橋を渡りました。息子が大学生になり、家を出てから数カ月後のことでした。スコの様子から覚悟はしていましたが、悲しくて悲しくて涙が止まりませんでした。でも、不登校だった息子の癒やしになってくれて、「ありがとう」と感謝の思いもいっぱいありました。
ありし日の写真や動画を見て、涙が出てもこらえて過ごしました。家族のグループトークは今でもスコのアイコンとグループ名です。
―― 現在の心境を教えてください
吉田美穂:「ペットロスが嫌だから、もう猫は飼いたくない」とは思いたくない。スコのことは忘れません。今でも感謝しかありません。
―― 伝えたいメッセージ
吉田美穂:どの子も幸せになってほしいです。頑張って優しいニンゲンを見つけてください。ニンゲンも動物さんが幸せになる努力をしないといけませんね。私もできることを頑張ります。
(了)
「ペットロス」「ペットロス症候群」になった場合、その苦しみを閉じ込めたり自身を責めたりせず、家族や仲間と共有する、生活に支障を来す場合は専門家のカウンセリングを受けるなど、焦らずに“死”を受け入れていくことが大切だといわれています。
また現在動物と暮らしている人は、「いつかは別れがくる」と理解し後悔のないよう接すること、同じ動物と暮らしている友人や仲間を見つけ、喜びや悲しみを分かち合うことが、いつかくるそのときと向き合う心身の準備へとつながるかもしれません。動物と暮らす喜びをかみしめながら、心のよりどころとなる思い出や関係を作っていきたいですね。
ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットロスとの寄り添い方」をテーマにアンケートを実施しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事など、【こちら】までお寄せください。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。
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