子猫を拾った高校生娘、「家を傷つけるから」大反対の母を“来客作戦”で丸めこみ…… アクシデントてんこ盛りな思い出にほっこり

「ペットロスとの寄り添い方」第10回は猫・蔵之介くんです。

» 2023年06月09日 20時30分 公開
[あだちまる子ねとらぼ]

 多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。

 愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2023年、20歳〜69歳のペットを飼っているまたは飼育経験がある391人を対象に実施された「ペットロス」に関する調査では、「約8割が『ペットロス』という言葉を見聞きしており、約4割が実際に経験している」と発表されています(サンセルモsorae調べ)。

 飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。

ペットロス 第10回は飼い主・主スさん/猫「蔵之介」くん

 そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。

第10回 飼い主・主ス(553cat)さん/猫「蔵之介」くん

―― 蔵之介くんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください

主ス:高校生のときに近所で拾いました。家族が何度か見かけていて、「拾いたいな」と思った私は猫缶を買い、次に見かけたらゲットしようと備えていました。ある日、部活に行ったはずの妹が「あの子猫がいるから捕まえて!」と大急ぎで帰ってきました。私は猫缶を持って現場へ急行し、無事子猫をゲットしました。

猫 子猫のころの蔵之介くん

 母は「畳や障子を傷つけるから」という理由で猫の飼育に大反対でした。しかし私はどうしても蔵之介を家族として迎えたかったため、来客対応中の母に「この子すごく弱ってるから病院に連れて行きたい」と言って蔵之介を見せました。

 来客の前で「捨ててこい」とは言えないだろうと考えたからです(笑)。この作戦は大成功し、蔵之介を無事迎えることができました。

蔵之介くんとの出会いをまとめた動画

 蔵之介の印象的なエピソードは「ノミ事件」です。お迎え当初の夜、ケージに入れるとニャーニャーと鳴いて全然寝てくれず、抱き上げて膝に乗せると鳴きやんだので、私は毎日蔵之介を膝に乗せ、椅子に座ったまま寝ていました。

 すると、蔵之介の体にノミがたくさん付いていたらしく、私の膝からおなかにかけて大量にノミに刺されてしまい、ひどい目にあいました(笑)。ちなみにその後、動物病院で駆虫薬をもらって解決しました。

膝に乗る猫 ノミ事件、かゆそう……!

 蔵之介の嫉妬がすごかったことも印象に残っています。蔵之介を迎えたあとに猫を拾ったのですが、別の部屋から拾った猫の鳴き声が聞こえただけで蔵之介が嘔吐!

 その後、蔵之介は怒って机の下から出てこず、ごはんも食べなくなりました(笑)。本当はその子もお迎えしたかったのですが、蔵之介がとても受け入れられそうになかったので友人に譲りました。

嫉妬する猫 甘えん坊な蔵之介くん
添い寝する猫 飼い主さんを独占したかったのかな?

―― 蔵之介くんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください

主ス:13歳で虹の橋を渡りました。最近の猫は20年くらい生きる子が多いので、まさかこんなに早くお別れがくるとは思っていませんでした。

 当時、私は実家を離れて東京で働いていたので、「蔵之介が危ない」という一報を聞いた翌日には会社に休職願いを出し、仕事を休んで看病のため帰省しました。

 最後の2週間は蔵之介とほぼずっと一緒に過ごしましたが、それでも死は受け入れがたく、葬儀の際も大泣きでした。

モフモフの猫 酸素室に入っている蔵之介くん

 仕事に復帰したあとも毎日悲しく、残業帰りに家まで泣きながら帰っていました。特に友人から「猫元気?」などと聞かれた際に「実は……」と虹の橋を渡ったことを伝えるのがとても辛かったです。お別れしてから2年半たちますが、蔵之介を失った悲しみや痛みは消えないです。

眠る猫 「蔵之介を失った悲しみや痛みは消えないです」

 「死をもって生を知る」という僧侶だった叔父の言葉には救われました。身近な存在の死は、私たちが普段意識していない「生きている」ということを教えてくれるという意味です。

 自分は生きているんだと再確認させてくれたことに感謝し、この悲しみも生きているからこそ感じられるものなのだと、悲しいと思う自分ごと受け入れることで少しだけ楽になりました。

カメラを見る猫 「死をもって生を知る」

―― 現在の心境を教えてください

主ス:今も思い出すと悲しいですし、会いたいなと思います。でも、「将来自分が生を全うしたあとにまた会えるからな」と思うことにしています。

―― 蔵之介くんに伝えたいメッセージ

主ス:くらのおかげで猫のかわいさを知り、今も3にゃんと楽しく暮らしているよ。ありがとう!

仲良しな猫たち 主スさん宅の「ココス」くん、「蓮子」ちゃん、「ネロ」くん
,

(了)

 「ペットロス」「ペットロス症候群」になった場合、その苦しみを閉じ込めたり自身を責めたりせず、家族や仲間と共有する生活に支障を来す場合は専門家のカウンセリングを受けるなど、焦らずに“死”を受け入れていくことが大切だといわれています。

 また現在動物と暮らしている人は、「いつかは別れがくる」と理解し後悔のないよう接すること、同じ動物と暮らしている友人や仲間を見つけ、喜びや悲しみを分かち合うことが、いつかくるそのときと向き合う心身の準備へとつながるかもしれません。動物と暮らす喜びをかみしめながら、心のよりどころとなる思い出や関係を作っていきたいですね。

 ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットロスとの寄り添い方」をテーマにアンケートを実施しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事など、【こちら】までお寄せください。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。

  • 「保護動物のエピソード&お写真」応募フォームはこちら
  • 「あの謎を調べて!」応募フォームはこちら

オススメ記事

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」