「プリキュア5世代」の20歳の娘は「オトナプリキュア」をどう見たのか? 聞いてみた:サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)
20歳の娘に「オトナプリキュア」の感想を聞いてみました。
「大人=お酒」なの?
―― 5人の元プリキュアが集まってお酒飲むシーンが多く描かれているよね。
娘 というか、みんなの掛け合い? が当時のままで楽しい。そうそう、こんな感じだった! って一気に思い出した感じ。なんというか「会話のリズム」がプリキュア5っぽい。やっぱり会話はリズムよね。内容よりもリズムがそれっぽい。ああ、プリキュア5の会話だ!って感じ。
あと、「オトナ=お酒」なのかな、やっぱり。なんか大人になる=お酒を飲むってのが私にはあんまりピンとこないというか。
これ思ったんだけど、最近は、大人が子どもっぽくなってきて、子どもも大人っぽくなってきたので、大人と子どもを分ける描写が「お酒を飲む」しかなくなってるんじゃないのかなあ。
なんというか私もそうだけど子どものころのままの精神状態で大学生になっている感じがあるし、全然変わっていないし、じゃあ「オトナ」である表現ってなに? ってなったときに、お酒が飲める、タバコが吸える、ってことでしかオトナを表現できなくなってきているのかな。大人イコールお酒っていう記号というか。
―― なんか難しいことこと考えるようになってて、父はびっくりしている。
「おとなは大変」はウンザリ
―― ストーリー的にはどんな感じ? 結構重めのお話がつづくけど。
娘 そう。気になったのは「大人はつらい」が多いことかなあ……。
経営危機のお父さんが酒におぼれてたり、離婚したりとか、親の都合で転校せざるを得ない子どもとか、小説が書けないこまちさんとか、ミルキィローズが秘書やっている会社でも急なサービス残業とか嫌みを言う上司とか、たくさん出てきたじゃん。
これから社会に出ていかないといけない私のような人間には、そんな「社会人はつらいー」じゃなくてさ、もっと「大人って楽しい!」みたいなお話が見たいかな。どっちかというと。先行き暗くなるようなお話はやめてーって感じ? 私たちはこれからそこに向かうんだぞー、みたいな。
プリキュアはきらきらぴかぴかした思い出しかないから「大人はつらいー」が続くとウンザリしちゃうわけで。プリキュアでそういうのはいいかなって。でも「大人」だからそういう描写になっちゃうのも仕方ないのかな……。この「仕方がない」って思考がダメなんだろうけどね。
あとさ、謎の敵(ベル)の「時間は停められない、戻せない でも変えたい」って、ポジティブに受け取ればのぞみちゃんたちと言ってること同じじゃない? 何かこの辺りがストーリーのキーになる気がする。
変身シーンがかっこいい
―― 2話の後半でのぞみ先生がキュアドリームに変身したね。
娘 そうそう! やっぱりキュアドリームに変身したの、めっちゃ良かったよね! あれ!
わ〜〜!! 何歳になってもやっぱりプリキュアの変身シーンは胸がどきどきして画面がきらきらする! そうだよね、大いなる希望の力だもんね キュアドリーム!
子どものころに憧れのお姉さんだったキュアドリーム、私の方が年上になっちゃっても、やっぱり「憧れのお姉さん」なんだよね。あの姿は何歳になっても「憧れのお姉さん」なんだよ。キラッキラでかわいい。
私、てっきりこのアニメは変身とかなくてプリキュア5のオトナの日常みたいなのを描くのかなって思ってたから変身したときはびっくりした。
―― 「変身シーン」もあのころのままだったしね。
娘 これみるとやっぱりいろいろ思い出すなあ……。プリキュアってけっこう怖くて、怖いシーンになるとテレビのある部屋から逃げて見ないようにしていた記憶あるんだけど、それで変身シーンの音楽が聞こえると「もう安心だ!」ってなってテレビの前に戻って見ていたことを思い出したよ。
―― そうだった。そうだった。布団に潜り込んでた。
娘 正直、当時はストーリーとかもよくわかっていなかった部分もあるのだけど、とにかくカッコよく動いて、怖い敵を倒して、それがプリキュアなんだって思ってた。
―― 大人の姿じゃなくて「当時の中学生の姿」で変身したこと、どう思う?
娘 中学生の姿のままで変身したってことは、えーと、つまりこれは「大人では解決できない問題も、当時の“まっすぐで無敵だった思い”に戻れば、不条理にも立ち向かえる」みたいなことを表しているのかな?
でもねー。まだ怖いよ。のぞみちゃんがシャドウの攻撃から目を覚ましたとき、そうこなくっちゃ! ってなったのだけど、でも「オトナプリキュア」って言うくらいだから、この先、子どものような純粋な夢と希望の力ではどうにもならないような大きな絶望と理不尽が、この先も待ってるんじゃないかなって考えちゃった……。
でも違うよね。プリキュアが伝えたいのは、「オトナってそういうものだから……」なんていう妥協じゃないよね。最後は明るくハッピーで終わってほしいな、って思う。
あとね。何といってもミルキィローズが変身するのが楽しみーー!!
やっぱりプリキュアはキラキラでステキ
―― 「オトナプリキュア」1話、2話を通しで見て、最終的にどんな感想になった?
娘 正直いうとね、見る前は怖かった。プリキュアという、きらきらぴかぴかした楽しい思い出が、大人という要素で汚されてしまうのではないかと不安だったし、そりゃあみんなの未来の姿はステキだったけど、未来の姿を1つに確定することって良いことなのかな、って思ってた。
でもね! 2話で変身してからは、やっぱりプリキュアはプリキュアだ! ってなった。年齢とか関係なくて、プリキュアはプリキュアだったんだよね。
「時間は戻せないけど、あのころのまっすぐな思いがあれば、大人になっても不条理に立ち向かえる」ってことが言いたいのかもだけど、それもオトナのプリキュアっぽくて良きよ。
そういう「プリキュアのメッセージ性」みたいなものって、正直子どものころはよくわかっていなかったけど、なんかボンヤリ覚えていたものが「オトナプリキュア」でもう一度目覚めた感じ? 「大いなる希望の力」は無意識下に、いつのまにか私を含めたたくさんの人たちに希望を与えていたんじゃないのかなあ。
この先どうなるのかわからないけど、プリキュアはやっぱりかわいくてキラキラで、無条件に強くて、いつまでも憧れのお姉さんでいてほしい。かわいいものはかわいい。それで良いのよ。だってプリキュアかわいいもん。
頑張ってくれて、ありがとう
―― せっかくだし「映画プリキュアオールスターズF」も見にいく? 78人のプリキュアが大集合するし、ミルキィローズもけっこう衝撃的なことになるのよ。最近は「応援上映」みたいなのもあって大人も「プリキュアがんばれー」って応援できるのよ。
娘 えーでも。最近思うんだけどさ。子どものころは、映画で「プリキュアがんばれー」って応援してたじゃん。
子どものころはそれで良かったのかもしれないけど、この年になるとそれはちょっとそれは違うんじゃないかと思うんよね。
だってプリキュアっていつも頑張ってたじゃん。めっちゃ頑張ってるじゃん。めっちゃ頑張っている人に「がんばれ」って言うのは違うと思うんだよね。だって、もう頑張ってるんだもん。
―― じゃあ、何て言うの?
娘 えーと、ね。「のぞみちゃん、あなたの頑張っている姿に励まされました。のぞみちゃんがずっと頑張ってくれたから、今の私があるのだと思います。ありがとう」って言う。
―― 何か……オトナになったな。娘よ。
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プリキュア20周年おめでとうございます。