実数a,bが「a^2+b^2=2(a+b)」を満たすとき、「a^3+b^3」の取りうる値の範囲を求めよ シンプルなのにめちゃくちゃ難しい…… 難関大学レベルの数学に挑戦!(8/8 ページ)
数学は奥が深い。
対称式だけの形に与式を変形してみる
a+b,abは対称式(2つ以上の文字を入れ替えても成立する式)といいます。今回のような対称式が使えそうな問題では、まずは式を対称式だけの形に変形してみましょう。
a3+b3は「(a+b)3-3ab(a+b)」と変形できます。そこで、s=a+b,t=abとおくと、a3+b3=s3-3stとなります。
また、「2ab=(a+b)2−(a2+b2)」であり、条件から「a2+b2=2(a+b)」なので、「2t=s2−2s」が成り立つことから、「t=1/2s2−s」が導けます。
よって、a3+b3は「s3-3st=s3-3s(1/2s2−s)=−1/2s3+3s2」とsの3次関数の形で表すことが可能です。
あとは、sの範囲を出し、3次関数の取りうる範囲を求めればよいということになります。
対称式→解と係数の関係!
対称式を見たら、2次方程式の解と係数の関係を思い出すようにしましょう。
解と係数の関係とは、2次方程式「ax2+bx+c=0」に対して、その解をα,βとすると「α+β=−b/a,αβ=c/a」を満たすというものです。このことは2次方程式の解の公式(関連記事)を知っていれば簡単に確認できます。
解の公式から、2つの解α,βの組み合わせは、「(−b+√b2−4ac)/2a」「(−b−√b2−4ac)/2a」となるので、以下の計算が成り立つというわけですね。
- α+β=(−b−b)/2a=−b/a
- αβ={b2−(b2−4ac)}/4a2=c/a
よって、今回はa+b=s,ab=tとおくことで、解と係数の関係の逆を利用して、a,bを解とする2次方程式「x2−sx+t=0」が導けます。条件よりa,bは実数なので、この2次方程式は実数解を持つことになりますから、判別式を利用することでsの範囲を求めることができるのです。
なお、判別式とは2次方程式の解の公式「x=(−b±√b2−4ac)/2a」(関連記事)の「√b2−4ac」に着目したもの。Dが0以上であれば、方程式は実数解を持ちますが、Dが0より小さい場合には「√b2−4ac」は虚数になり、方程式は実数解を持ちません。
今回は実数解をもつので「D≧0」であり、「t=1/2s2−s」より判別式は「D=s2−4t=(1/2s2−s)=−s2+4s=−s(s−4)」となるので、求めるsの範囲は「−s(s−4)≧0」すなわち「s(s−4)≦0」から、0≦s≦4となります。
3次関数の取りうる範囲を求める
最後に、3次関数「f(s)=−1/2s3+3s2」の取りうる範囲を求めましょう。これを微分すると、「f'(s)=−3/2s2+6s==−3/2s(s−4)」となりますが、実数条件を求めた際、s(s−4)≦0ということを確認したので、f'(s)≧0になると分かります。
よって、f(s)は0≦s≦4の範囲において単調増加となるので、s=0のときの値が最小値でs=4のときの値が最大値となります。よって、3次関数f(s)の範囲は、f(0)≦f(s)≦f(4)すなわち、0≦f(s)≦16となるので、求める範囲は「0≦a3+b3≦16」です。
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