「ガイドが嘘しか言わない」という、前代未聞のガイドツアー「嘘のツアー」がSNSで「逆転の発想」「企画が天才すぎ」と注目を集め、満員になり増便となる人気になっています。ツアーを開催する「マニアなツアー」の代表にお話を聞きました。
「すべての説明が嘘です」
「嘘のツアー」は3月〜7月に実施予定のガイドツアー。浅草の有名観光エリアを歩きながらガイドするウォーキングツアーなのですが、「すべての説明が嘘です。観光情報や歴史にまつわるお話し、街のトリビアをもっともらしくガイドしますが、嘘をつきます」と公式noteには書かれています。
ツアーのポイントとして、フェイクニュースも多いなか、すべて嘘と分かっているので検証不要で安心して情報を受け取れる点が挙げられています。言われてみれば確かに……。
そんな斬新な内容から、告知されるとメディアにも紹介され、申し込み多数で急きょ増便が決定。大幅に増便した後も300人近くが申し込んで3月分が満員になり、4月以降にさらなる枠が設定されました。
嘘しか言わないツアーのアイデアはどこから来たのか、反響についてどう感じているのか、「マニアなツアー」の代表で、「嘘のツアー」のガイドを務める松澤茂信さんにお話をうかがいました。
反響に「嘘みたいな話」
嘘のツアーの着想の背景について、もともと「マニアなツアー」では、いろいろなマニアや専門家の方と町を歩いて、マニアの視点で解説してもらうガイドツアーを実施しており、普通に町を歩いているときにはあまり目につかないものがマニアの解説を聞くと見えてくる、と松澤さんは語ります。
「新しいものが見えるという意味では(嘘のツアーも)同じかな」(松澤さん)。「嘘という名目でみんなで創作をするというか、クリエイティブをするみたいなイメージ」でツアーを行おうと思ったそうです。3月31日にエイプリルフールにかけて開催しよういう意図もあったといいます。
満員で増枠という人気ぶりに、松澤さんは「嘘みたいな話だと思った」と驚きを語ってくれました。もともとは1便だけ、参加者10人ほどで開催するつもりで、この売れ行きは予測していなかったとのこと。まだ開催していないツアーが評判を呼び、申し込みが多く来ている、そのこと自体が嘘みたいだ、と松澤さん。
現在嘘のツアーは7月まで枠が設定されています。松澤さんにその後の開催について聞いたところ、そのまま長く続けていきたいと答えてくれました。またツアーの開催地については、浅草はもともと歴史の解説をする“本当”のガイドツアーなどほかのツアーもよく行っている場所で慣れているため選んだそうですが、要望があればほかの場所での開催もやぶさかではないそうです。
「マニアなツアー」は、ほかにも「銭湯の開店準備して一番風呂に入るツアー」「一歩も動かないツアー」などマニアックなツアーを多数開催しています。嘘でないツアーも独特の発想が満載です。
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