3Dプリンターで作られたオリジナルのスプーンが、通勤やトレーニング、育児など、さまざまな場面で役立ちそうです。漏斗(じょうご)の機能が付いていて、インスタントコーヒーや粉ミルク、プロテインの粉を、こぼさずにペットボトルへ入れてドリンクを作れるのです。
製作したのはX(Twitter)ユーザーの蒼(@blaues)さん。小さな漏斗に柄が付いたようなそのスプーンには、握りを押すと底が抜ける仕掛けが施されています。
使用する際は、まず粉をすくってペットボトルの口にセット。あとは握りを押すだけで、粉をこぼすことなく中へ入れられます。シェイクでしっかり粉を溶かせるし、洗い物も減らせるし、これはいい……!
最初はインスタントコーヒー向けに製作されたものですが、リプライで「粉ミルクやプロテインにも使えるのでは?」といった提案があり、蒼さんは大型化にトライ。その後も設計を見直し、ワンプッシュで落とせる粉の量を増やした改良版を完成させています。
Xでは「これは賢い」「育児中に欲しかった」「スポーツドリンク作りの苦労が解消できそう」「介護用にトロミをつけるのにもよさそう」と大好評。編集部は蒼さんに、製作の背景など詳しい話を聞きました。
―― このスプーンを作ろうと思ったきっかけを教えてください
蒼さん 時間がなくて、ペットボトルでお手軽にインスタントコーヒーを作って飲みたいときに、漏斗で粉を入れるのが面倒くさく、以前から「インスタント」の意味が薄いと思っていました。そこで、ワンアクションで粉をこぼさず入れられるコーヒースプーンがあると便利だなーと思ったのがきっかけです。
―― 製作にはどんなツールを使っていますか
蒼さん 設計にはAutodeskのCADソフト「123D Design」、出力にはFlashforgeの3Dプリンター、「Adventurer3」を使っています。加えて、造形後はバネに相当する部分をライターであぶり、樹脂を柔らかくして角度を微調整しています。
―― 製作時にこだわった部分をお聞かせください
蒼さん 隙間などに粉が入り込んだり残ったりしないよう、なるべく単純な構造になるように設計しています。インスタントコーヒー用は粉がサラサラなのですぐに完成したのですが、プロテインは粉同士がくっついて詰まりやすく、製作が難航しました。片栗粉をイメージしていただければ分かりやすいかと思います。
プロテイン用はモデルを改変しては3D印刷と試作を繰り返し、最終的にモデルのナンバリングは100を超えました。粉が落ちない問題に対しては解決策として、ワンプッシュするごとに粉が下へ押し込まれるようなギミックを追加しています。
ただ、うちには2種類プロテインがあったのですが、それぞれで粉の落ちやすさが全然違いました。皆様のコメントで育児や介護、筋トレへの需要がかなりあると分かったので、各メーカーが自社の粉に合わせてこのようなスプーンを作ってくれたら、助かる人がたくさんいるのではと感じています。
蒼さんは、ニコニコ動画では「AO」名義で、ニコニコ技術部として活動中。手作りのビブラスラップ(ハンバーグ師匠が鳴らすやつ)や、初音ミクのライブ等に使える「光るネギ」など、ユニークな作品を公開しています。
画像提供:蒼(@blaues)さん
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