美しい装丁と手軽なボリューム 角川文庫から“100分で読める”名作、「読みやすさ追求」の新シリーズはなぜ生まれたか(2/4 ページ)
角川文庫編集部に誕生の経緯やこだわりを聞きました。
装丁のこだわり
SNSでは装丁の美しさも好評。カバーにはウィーンと京都で活躍したデザイナー、上野リチさんの作品を起用しています。
角川文庫編集部ではこれまで、てぬぐいブランド「かまわぬ」や、マスキングテープ「mt」とコラボしたカバー、漫画『文豪ストレイドッグス』コラボカバーを採用した名作も刊行しており、「普段はあまり名作に手が伸びない層にも届けられているという実感」があるとしています。
こういったことから、新シリーズは統一感のある、コレクションしたくなるようなものにしたいという思いがあったといいます。同編集部が装丁デザイナーの大武久貴さんと鈴木久美さんに相談したところ、上野リチさんの作品が提案されたとのこと。
「男女、年齢問わず手に取りやすく、親しみやすいシリーズになったと思います。タイトル回りの囲みが描く曲線にはクラシックな感じもあり、金のつや消し箔押しと相まって非常に美しい装丁になりました」(角川文庫編集部)
また読みやすさを追求するため、本文の文字や行間以外にも工夫が。注釈のある作品の場合、ページ数の都合もあり注釈の文字は小さくなりがちでした。今回のシリーズでは本文と同じ文字の大きさになっており、地味ながらも読みやすくなったポイントとして挙げられています。
特に人気は『黒猫亭事件』
ラインアップは角川文庫のなかから定番の古典名作から現代の作家まで、10冊バラエティ豊かに選定。まんべんなく売れており、中でも横溝正史の『黒猫亭事件』は「これまでの横溝作品のイメージから離れた意外性のある見た目が印象的だったのか、10冊のなかでもよく売れています」(角川文庫編集部)とのこと。購入者は男女比がほぼ半々、男性は40代、女性は20代が多いと同編集部は述べています。
最後に、今後の展開について聞きました。
「今後は24年の秋以降の刊行を目指して企画しておりますので、どうぞご期待ください!」(角川文庫編集部)
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