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スピンオフ最新刊ではまさかの“ほぼ主役” 「ガルパン」逸見エリカのまっすぐすぎる青春あのキャラに花束を

しょんぼりシーン多い子だけど、頑張りやさんなんです。

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謎の超人気、逸見エリカ

 「ガールズ&パンツァー(以下・ガルパン)」の中で、とりわけ愛され方の異常なキャラクターが逸見エリカ

 所属は黒森峰女学園。熊本にあり、ドイツ戦車を用いる、主人公・西住みほが元いた学校。姉の西住まほのいる名門校です。今はまほの元で副隊長をやっています。


「ガルパン」逸見エリカ 「リボンの武者」版・逸見エリカ。「だわ」とか「わよ」を強調する言葉遣いが特徴的。めっちゃかわいい(4巻100ページ)

 劇場版以降彼女の人気は、ネット上でうなぎのぼり。「不憫(ふびん)キャラ」やら「催眠ハンバーグ」やら「ドクターフィッシュに好かれる」やら「ゴスロリ」やら「ネットサーフィン」やら「ワニ」やら、どこまで公式でどこから二次創作なのか分からない、極めて混沌とした属性のキャラとして話題になり続けています。

 TVアニメと劇場版では出番そんなにないです。しかし公式スピンオフコミック「ガールズ&パンツァー フェイズエリカ」で、隊長でもない彼女が大抜擢(てき)され、ファンは騒然となりました。



逸見エリカってどんな子?

 アニメでのエリカは、ガルパンとしては珍しいヒールとして登場します。西住みほが黒森峰から転校し、戦車道をやめたいと言っていたのに対して、煽りに煽ったのがエリカ。試合でも煽る煽る。

 しかし劇場版では、すっかりしょんぼりキャラに。みほに文句を言うというキャラ付けは変わらないのですが、彼女が発言するとまほが全部否定。あからさまに悲しい顔をするのを何度も繰り返したため、不憫さがひときわ目立つキャラになりました。

 そもそも、彼女まほのこと大好きなんですよ。まほのために全力を尽くしているんですよ。でもでも、まほは妹のみほのことしか見ていない。みほとは確執が抜けず。

 かくして、不憫キャラとしてエリカは愛されまくるように。後にドラマCD3巻のパッケージでは、かみつき続けていたみほと手を振り合う仲になりました。よかった……!


「ガルパン」逸見エリカ 右上に注目。よかったねエリカ


逸見エリカは思春期

 ガルパン派生作品「リボンの武者」の4・5巻は、逸見エリカのことをかなり深く掘り下げています。特に5巻ではほぼ主役。


「ガルパン」逸見エリカ 「かっこいいエリカ」が見られます(5巻41ページ)

 西住まほは、西住流という戦車道の家元の娘。才能あふれる子です。彼女の元で副隊長を務めるエリカ、すごいですよ。確かに元副隊長はみほだったけど、入れ替わりとはいえ抜擢されているわけですから、みんなに実力を認められている。

 「リボンの武者」はタンカスロンという、乱入OKなほどのルール無用の軽戦車対決を描いた作品。礼節を守る戦車道とは全く別物です。よりえげつなく、蹂躙(じゅうりん)した方が勝ち。もちろん戦車道連盟非公認。黒森峰も参戦することになり、そのリーダーがエリカです。


「ガルパン」逸見エリカ そもそも真面目。黒森峰のためならなんでもする(4巻91ページ)

 まほはマイペースなので、戦闘と妹のこと以外はわりとマイペース。一方でエリカは、常に「黒森峰は」と言い続けます。

 TV版では執拗にみほのことを責め立てる彼女。それは黒森峰が今まで優勝し続け、みほのことがあって昨年は負けたことへのこだわりでした。

 みほが嫌いなわけじゃない。勝ちたかったんですよ。ものすごく。コミカライズ版「ガールズ&パンツァー」で、全国大会のあとに心の内を吐露します。

 「ここまで引っ張ってきていただいた西住隊長と……一緒に優勝したかったんです!」

 ボロボロと涙を流す彼女のこと、誰も責められないと思うんだ。まほも彼女を高く評価し「それでこそ次の黒森峰の主将だな……」と言っています。

 彼女の人気の一つは、思春期少女の青春がはっきり見えるところ。戦車道はスポーツです。嫉妬もするでしょう。涙も流すでしょう。憤りもするでしょう。彼女はその感情の振れ幅がとりわけ大きい。


「ガルパン」逸見エリカ 彼女の青春は、西住流戦車道。自分の全てを、戦いにかけてます(5巻8ページ)

 西住姉妹といい、ダージリン、カチューシャ、島田愛里寿等々……まわりが天才すぎるんだもん。魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する世界ですよ戦車道。

 逸見エリカは努力に努力を重ね、歯を食いしばって、敗北も経験して、それでも天才まほの背中を追いかけ続けてきた。まほが卒業しみほが転校したとなったら、自分がそこにたたねばいけない。

 「努力」「次期隊長としての荷」の描写を一身に背負い、心理描写されているのがエリカ。高校生の部活動での苦しみ、喜び、悔しさ、成長を体現しているキャラクターです。



全力を出す逸見エリカ

 タンカスロンでの隊長になったエリカ。「リボンの武者」は劇場版の大学選抜チームとの戦いをへた後の話なので、だいぶ彼女成長しています。みほとの確執もきちんと乗り越え、今は「どう強くあるべきか」を明確なビジョンで持っています。

 こうなった彼女は、強いよ。


「ガルパン」逸見エリカ 牙をむいた逸見エリカは、怖いぞ(5巻33ページ)

 もっともビッグマウスなのは変わっていませんが、それも努力の末だと考えると、納得もできます。実際彼女の指揮は、あざやかです。

 今までの黒森峰は、砲力と防御力の高い、重厚な戦術に特化していました。しかし今回はII号F型軽戦車による、機動戦術。全員の戦い方をがらっと変えるのはあまりにも難しい。

 黒森峰初の試みを、彼女はこなします。「撃てば必中、守りは堅く、進む姿は乱れない。鉄の掟、鋼の心。それが我ら西住流!」西住流の力を絶対的に信じ、戦術を身につけ、鋼の心を身につけたエリカ。しょんぼりしていた彼女は過去です。かつてはまほが完璧だったからあまりやることが無かったかもしれないけど、今は彼女が決めて、仲間を信じ、動く時だ。



みなを信じ、戦車道を守る逸見エリカ

 彼女はストリートファイトさながらなんでもありのタンカスロンでも、きっちり「戦車道」で戦うのが本当にステキ。

 主人公であるムカデさんチームは、ガソリンをまいて辺り一面の枯れ草を燃やし、挙げ句の果てに近隣の民家に火を放つという、鬼のような行動に出ます。ギャラリーが火に囲まれて逃げ出したため、エリカたちは戦車で動きが取れなくなる。そこで彼女は、自分たちの戦車にギャラリーを乗せる選択をしました。


「ガルパン」逸見エリカ とっさの判断でギャラリーを戦車に乗せる。この姿こそが新生黒森峰。みほが仲間を助けた以前の試合と、ちょっとした対比になってます(5巻74ページ)

 別に「ギャラリーを救わなきゃ!」という思いはありません。試合ではベストだと思っただけ。しかしこれが、彼女を一歩成長させる大切な体験になります。ギャラリーが、彼女に感謝を述べたのです。


「ガルパン」逸見エリカ 感謝されることにあまり慣れていません。誠実な彼女は、これからどんどん愛されると思う(5巻117ページ)

 彼女の身体に、「道」としての戦車道が身についている。だからギャラリーを乗せた。もっと横暴だって取れたはず。その内側から出る人柄に、ギャラリーはひかれた。必然です。みほがTV版で、仲間を救うために試合中戦車から降りたのと対になっているようにも見えます。

 どうしてもまほ・みほのことばかり追って、黒森峰にこだわっていた彼女は、自分の良いところに気付きそこねていました。彼女のプライドは「黒森峰のプライド」で、自分のプライドではない。でもそこが彼女のいいところ。黒森峰の仲間への信頼感が半端じゃないのです。

 加えて、ちゃかされてばかりいますが、相手チームもちゃんと彼女の実力は認めてます。


「ガルパン」逸見エリカ 目標がしっかりしていて、上昇志向の子。きっと強い隊長になるはず(5巻150ページ)

 試合のあとのエリカは、ほんと青春しています。頑張ったよ! あの姿を見たら、応援したくもなるよ!

 「リボンの武者」のキャラ設定とアニメ版の設定は必ずしもイコールではないです。しかし4巻5巻でものっすごく掘り下げられているエリカ描写はぜひ見て欲しい。

 多くの人に愛される要素いっぱいある子。願わくば彼女と黒森峰に、一度くらいは作中での勝利を。猛る彼女が、満面の笑みになるのが見たいんだ。


(C)Takeshi Nogami , Takaaki Suzuki
(C)GIRLS und PANZER Projekt


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