「死ぬくらいなら辞める」ができない理由 過労自殺を描いた生々しいマンガに共感の声集まる
狭まっていく視界と思考、苦しくなっていく呼吸……もう、「辞める」の選択肢は見えない。
イラストレーターのしおしおしいしおしおさんが、「昔、その気もないのにうっかり自殺しかけました。」として、過労自殺についてのマンガをTwitterに投稿し、大きな反響を呼んでいます。
マンガでは、しおしおしいしおしおさんがかつて約100時間残業して正常な判断力を失い、駅で「今一歩踏み出せば明日は会社に行かなくていい」とその気はなかったのに自殺しかけた経験を語っています。
「死ぬくらいなら辞めればいいのに」と言う人もいますが、その判断が出来ない状態になってしまう「洗脳状態」になる過程も説明。まじめな人ほどほかの道へ進む扉を閉ざしてしまい、さらに長時間労働で思考力を奪われて、視界が狭まってしまう様子を生々しく描いています。
ブラック企業で心を壊す状態について、「イジメで自殺するような子も同じ状況に陥っていると思います」としおしおしいしおしおさんは語り、この状態を「洗脳」と表現。そのような状態になってしまってからのギリギリの対処法もマンガに盛り込んでいます。
このマンガには自分も同じような体験をしたという感想が寄せられ、当事者からだけでなく、追い詰められた人のそばにいた経験からのコメントや初めて過労自殺に至る過程を理解したという声も見られました。しおしおしいしおしおさんは「(マンガと)“同じ状況”という反応が多く、辛い思いをしている方が多いこと実感しています」とコメントしています。
追加で「オマケ」として、洗脳されかかっていたときに少し目を覚まさせてくれた周囲の人の言葉も紹介。職場の先輩、母親、友人に言われた言葉を連ねながら、今苦しんでいる人たちの役に立つことを願って、自身の経験を振り返っています。
マンガの中でも「真面目な人ほどその道(分かれ道)や扉を塗りつぶしてしまいます」と描かれている通り、本人が別の道に気づけないことも多々あります。少しでも多くの人がしおしおしいしおしおさんのマンガで気づき、苦境から脱却することを願わずにはいられません。
画像提供:しおしおしいしおしおさん
(藍乃ゆめ)
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