ねとらぼ
2025/09/11 12:00(公開)

【新視点】張り込みの定番「牛乳」冷蔵じゃなくて大丈夫?→“常温保存できる牛乳”が救世主だった

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ロングライフ牛乳って、知ってましたか?

 牛乳というものがある。スーパーに行けば必ず並んでいる、誰もが目にしたことあるあの飲み物だ。
 イメージしてほしい、スーパーの牛乳はどのように売られているだろうか。きっと冷蔵コーナーで売られているところをイメージしたはずだ。
 しかし実は、すべての牛乳が必ずしも冷蔵保存しないといけないわけではない。「常温保存可能品」とパッケージに書かれているものは、常温で3カ月から4カ月ほど保存できる。牛乳を買い溜めしておきたい人、たとえば張り込み中の刑事にもとってもうれしい存在といえる。

 漫画やドラマでよく見る定番のシーンに憧れを抱く人は多いはずだ。それは例えば、氷も溶けるような熱い恋愛のワンシーンだったり、好きだと言えずに高校卒業が近づくアオハルな場面だったり、人それぞれに憧れるシーンを持ち合わせている。

どうも、この記事を書いている地主(刑事スタイル)です!

 刑事の張り込みも憧れるシーンの一つ。この写真の私は、もう刑事になりきっている。ホシ(被疑者)をずっと張り込んでいる。周りの刑事たちは違う人物を疑っているが、そいつは犯人でないと私は確信している。本当のホシは彼なのだ!
 私は彼をもうずっと張り込んでいる。張り込みの定番、牛乳とあんぱんを片手に。

張り込みは大変なものです!

 暑い日も寒い日もじっと目を離さず、疑いが確信に変わる瞬間をひたすら待つ。有能な刑事ならば張り込みが早く終わる、ということはない。決定的瞬間はいつ訪れるか分からない。その瞬間が来たらすぐに動き出せるよう、体力をしっかり温存しながら、忍耐強く待つしかないのだ。牛乳を片手に。

ひたすら張り込みます!
牛乳がおいしいです!

 張り込みの相棒といえるのが牛乳だ。張り込みは体力勝負でもあるから、手軽で栄養価の高い飲み物はありがたい。その滑らかな白い液体は喉を潤し、私を強くしてくれる気がする。
 毎日1本は牛乳を飲みたいので、飲みきりサイズの牛乳パックを買い込んでいる。買い込んで常備していないと落ち着かないのだ。

買い込んでいます!

 買い込んで……というところで、急に思った。スーパーの牛乳ってだいたい冷蔵で売っている。だがいま私が持っている牛乳は、張り込み場所で常温保存しているものだ。なぜ腐らないの、とふと心配になった。
 子どもの頃から、牛乳はスーパーの冷蔵コーナーで買って、家に戻るとすぐに冷蔵庫に入れていた記憶がある。でも、この牛乳は常温保存。これ大丈夫なの?

「常温保存可能品」と書いてあった!

 私が飲んでいた全ての牛乳は、パッケージに「常温保存可能品」と書いてあった。ひとまず安心したが、改めて考えてみると「そんなことできるの?」と思う。
 そして私の刑事としての勘が冴える。それぞれ牛乳メーカーは違うけれど、ある共通点が隠されていた。

全てのパックに「Tetra Pak」の文字!

 見つけてしまった。メーカーが違う牛乳だが、パックの底を見ると「Tetra Pak」という文字が共通して書かれている。私の勘では、この文字にこそ「常温保存可能品」の秘密が隠されているはずだ。捜査しなければならない、刑事として。「Tetra Pak」と「常温保存可能品」の関係性を──。

ということで、日本テトラパックに来ました!

 張り込んでいたホシのことは一旦忘れて、牛乳をなぜ常温保存できるのか知りたくて、日本テトラパック株式会社のオフィスを訪れた。先の牛乳パック裏の「Tetra Pak」は、この「日本テトラパック」のことなのだ。ここで話を聞かせてもらう。

日本テトラパックの山口弘明さんにお話を聞きます!

 日本テトラパックってなんだ! なんなんだ!

 スウェーデンで創業し、スイスのローザンヌに本社を置く会社です。さまざまな食品や飲料に使われる紙パックをはじめ、紙パックへ充填する機械や食品加工処理用の機器を各企業に提供しています!

 日本にはいつから? いつからなんだ!

 1962年からです!

 そんな前からか! 前からなのか!

 いつもその話し方なんですか?

 いや、刑事って設定の、やめどころがわからなくて……。

 設定は一旦やめます?

 一旦、そういうことで。

サングラスはアイデンティティなので、外さず続けます

 刑事時代に飲んでいた牛乳に「常温保存可能品」って書いてあったんです。これって本当に常温保存してもいいんですか?

 可能です、製造してから3カ月から4カ月ぐらい問題なく常温で保存できます。

 昨今、夏がとにかく暑いじゃないですか? それでも問題ないんですか?

 問題ないです、変わりなく常温保存可能です。

 なんで常温保存できるんですか? 謎の成分とかを入れているとか?

 入っていないです! 普通の冷蔵の牛乳と成分は全く一緒です!

 なんでそんなことできるんだ! 

 刑事が戻ってきた! まずひとつは、充填前の殺菌温度が異なります。要冷蔵の牛乳より少し高い温度で数秒間加熱処理することで、滅菌されています。

 それはさっきの会社の説明で言っていた「加工処理」ってやつですか?

 そうです。紙パックに充填する前には、熱処理や、ホモゲナイザーと呼ばれる均質化の処理が必要になるんですが、そういった加工処理用の機械も弊社は提供しています。

 殺菌温度の違いによって常温保存が可能になるんですか?

 それだけではなく、充填する紙パックも特別に設計されています。こうした常温保存が可能な紙パックは「ロングライフ紙パック」といいます。そして、このロングライフ紙パックに充填された常温保存可能な牛乳を「ロングライフ牛乳」と呼んでいます!

常温で長期保存を可能にする、ロングライフ紙パックの構造

 ロングライフ紙パックは、外部の光や酸素を遮断するために設計された6層構造であることが大きな特徴です。紙パックにはいくつか種類があり、それぞれ構成が異なる場合がありますが、このロングライフ紙パックは、紙やポリエチレン、そしてアルミ箔を含む6層で構成されており、これによって内容物の鮮度や品質を長期間保つことができます。

こんなに薄いのに、6枚の層が重なってできている!

 そして滅菌やロングライフ紙パックだけではなく、充填する環境も大切です。私たちが提供している充填機は、食品を無菌環境で充填する特殊な機械になります。滅菌されたものを、滅菌された容器に、無菌の環境下で充填するということで、長期保存が効く牛乳となります!

 「中身の牛乳を滅菌処理」「6層構造のロングライフ紙パック」「無菌環境での充填」……この3つが常温保存可能な牛乳のひみつなんですね!

 環境に配慮した取り組みとして、ごみを減らすための「4R」という考え方があります。テトラパックでは「4R」の推進に向け、ロングライフ紙パックの一部の層に植物由来(サトウキビ由来)のポリエチレンを使用し、再生可能資源の割合を高めた商品も販売しています。

 「4R」……「リズム」「R&B」「リサイタル」「リニューアブル」?

 1つ目から違いますが、奇跡的に4つ目は正解です! 「リデュース」「リユース」「リサイクル」「リニューアブル」です。「リデュース」=ごみを減らす、「リユース」=くり返し使う、「リサイクル」=資源として再利用する、「リニューアブル」=再生可能な資源を使う、という4つの行動を指します。

 常識ですよね!

 はい!

 いつからあるんですか、ロングライフ牛乳って?

 日本では1970年ごろから流通しています。

 えっ、そんな前から!

 1968年には、ロングライフ牛乳が南極観測船に積まれていた記録もあるんです。その後、1970年代から本格的に普及し始めました。実は、皆さんがあまり意識していないだけで、ロングライフ牛乳は昔からずっと身近に存在しているんです

 スーパーで売っているのは冷蔵の牛乳が圧倒的に多いですよね。常温保存できて賞味期限が長いと便利だから、もっと広まってもいいのに。

大サイズのロングライフ牛乳は、飲食店でよく使われている

 一般家庭向けに流通しているものの多くはそうですね。でも、カフェや飲食店で使用する業務用牛乳ではロングライフ牛乳が使われていることが多いです! 要冷蔵だと賞味期限が短くて管理が大変ですし、冷蔵庫内の場所も多くとってしまいますから。

 なるほど! つまり我々は知らない間に、ロングライフ牛乳にはお世話になっていたと。

 意識していなくても、実はロングライフ牛乳やロングライフ紙パックの飲み物を飲んでいた……という場面が、実は皆さんあるんじゃないかと思います。

 ロングライフ牛乳って、世界でも流通しているんですか?

 日本以外のヨーロッパや東南アジアでは、ロングライフ牛乳の比率が非常に高く、国によっては80%、90%、あるいはほぼ100%を占めるところもあります。たとえば、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、中国といった国々では、ロングライフ牛乳が主流であり「牛乳=常温保存」という認識が一般的です。一方、日本やアメリカでは、冷蔵牛乳の比率が高い状況です。

海外ではロングライフ牛乳が主流、つまり「牛乳=常温保存」という国も多い

 日本は物流網が発達しているから、冷蔵でも大丈夫……ということなんですか?

 そうですね。でも、ロングライフ牛乳にはこれからの日本が抱える社会的な課題を解決するポテンシャルもあると思っているんです。

 どういうことですか?

 物流の観点では、人手不足やエネルギーコストの高騰が目立っていて、常温長期保存できる牛乳はそのニーズにフィットするはずです。また賞味期限切れによる廃棄、フードロスを防げるといったメリットもあります。

 賞味期限が長い牛乳、常温でストックできるって、一般家庭にとってもすごくいいですよね。料理とかにも使いますし!

 はい! 飲食店だけではなく、家庭でのストックとしても役立つと思います。「ローリングストック」として、定期的にまとめ買いで備蓄しつつ消費もしていく、というのもありですね。牛乳ってすごく栄養価が高いので、災害備蓄の観点でも非常に良いアイテムです。

 牛乳、張り込みにも欠かせないですから!

 よく考えてみると、ロングライフ紙パックを使った商品って、もしかして世の中にめちゃくちゃたくさんあるってことですか?

 そうなんです! たとえば、豆乳は9割9分は常温保存OKなロングライフ紙パックで販売されていますね。

 豆乳が常温で売られている風景って、見慣れてしまってました! 豆乳でできることは牛乳でもできるってことだったんですね。

 他にもさまざまな飲み物、あとは食べ物も、ロングライフ紙パックで販売されています。

実はめっちゃあるんです、ロングライフ紙パック

 これ全部、ロングライフ紙パックを使った商品ですか? めちゃくちゃあるし、見覚えのある商品も多い!

 これはほんの一部です! このコーヒーは、製造後16カ月保存できます。

 お茶、野菜ジュース、豆乳、プロテイン! 実は「ロングライフ紙パック」だらけだったんですね。

16カ月保存できるコーヒー、すご!

 コーヒー、ジュース、水、豆腐! ……豆腐!?

 ロングライフ紙パックに入っているので「ロングライフ豆腐」ですね。

 健康で長生きできる豆腐みたいな名前だ!

常温で買い置きできる、ロングライフ豆腐!

 どれも基本的にはロングライフ牛乳と同じ技術です。殺菌して6層構造のロングライフ紙パックを使い、無菌状態で充填します!

 牛乳も、ロングライフ紙パックに充填すれば他の飲み物と同じように長期保存できる。充填方法とパッケージの違いだったんですね。

 一応、ロングライフ紙パックで扱っている食品の中では牛乳が一番賞味期限は短くて、大体3カ月から4カ月という長さではあります。

 それでも、普通の牛乳の賞味期限に比べたら、全然長いです!!

 ロングライフ牛乳はもちろん、ロングライフ紙パックを使った商品は便利だし……いろいろな社会問題も解決しているし……すごいですね。

 世界中の人々が栄養価の高い食品を、安全に、そしてどこでも手に入れられるようにすること──それがテトラパックの創業当初からのビジョンです。

世界中の人々の食生活を「ロングライフ紙パック」で支えている、テトラパック

 日本では流通が発達しており、さまざまなものが手に入りやすいため、ピンと来ないかもしれません。ですが海外の険しい山岳地帯のように冷蔵トラックが簡単に入れない地域や、手に入る食品が限られている地域、さらには災害時に物流が途絶えてしまう地域もあります。そうした場所でも、常温で保存できる製品であれば届けやすくなります。栄養価の高い食品を、これまで届けられなかった人々にまで届ける──それこそが、ロングライフという技術が生まれた大きな理由なのです。

 すばらしい!

 長期保存できるというのは缶やペットボトルにも言えますが、キャップ付きのロングライフ紙パックは特に「キャップが開けやすい」というのもメリットだと思います。

こういう蓋のやつ、開けやすいですよね

 それめちゃくちゃわかります! 一番わかります! 一日の仕事終わりに野菜ジュースを飲んでリフレッシュすることがあるんです。「Tetra Pak」と書かれた紙パックだったのでロングライフ紙パックを使った商品だと思うんですが、これって開けやすくて神だなと感動していたんです。一日仕事をした後なのでへとへとなんです、満身創痍。握力もないし、繊細な動きもできない。でも、ジュースは飲みたい。そんな時に、このキャップが本当に開けやすい! 少しの力で開く! もちろん閉めやすい! 閉める時にカチッって音がするので、本当に閉まっているのかな、と心配になることもない。これに前から感動していたんですよ、本当にありがとうございます!

 今日一番の熱量! ちなみに、フタのついている面が斜めになっている形状の紙パックがありますよね。これは深くパックを倒さなくても、少し傾けるだけでコップに注げるようにという工夫なんです。

 最高じゃないですか!

このように斜度があるところに蓋があるものは、より注ぎやすい!

 最後に、常温保存できるロングライフ紙パックとそうではない紙パックの見分け方ってあるんですか?

 ロングライフ牛乳の場合、パッケージの表面に「常温保存可能品」と書いてあります。また、保存方法の欄に「要冷蔵」と書かれていないことも確認の目安です。代わりに「直射日光や高温多湿を避けて保存してください」といった表記があれば、常温で保存できる商品です。

 なるほど、見てから買います! 

冷蔵コーナーで売られている場合もある

 あまりにも「牛乳=冷蔵」というイメージが浸透しすぎているため、常温保存ができるのに冷蔵コーナーで売られていることもあるんです……なのでよく見てみてください。ロングライフ牛乳なら、未開封であれば購入後に常温保存していただいてもまったく大丈夫です。

 そんなパターンもあるんですか! これからもっと、ロングライフ牛乳の知名度が上がっていったらいいですね。


 日本テトラパックで話を聞いた後、私はまた張り込みに戻った。今回の捜査を通じて、牛乳が常温保存できる理由がわかった。理由がわかってから飲むロングライフ牛乳はさらにおいしく感じた。安心感というか、日本テトラパックの自信が感じられる。

 ロングライフ紙パックを使ったロングライフ牛乳などが、いろいろな社会問題を解決する一つの答えになると思う。そのためにも私もホシを上げなければ。ロングライフ牛乳が未来の星であることを私は確信したのだった。 

ロングライフ紙パックやロングライフ牛乳に、これからもっと注目したい!

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提供:日本テトラパック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2025年9月30日