探偵 神宮寺三郎 白い影の少女
10作目はGBAで軽快プレイ
「探偵 神宮寺三郎」シリーズは遡ること1987年に,ファミコン用タイトルとして登場した。新宿を舞台に展開するハードボイルドなアドベンチャーゲームとして熱狂的なファンも多く,その後もプラットフォームを変えながら今までに9作がリリースされている。最近では過去の作品を携帯電話向けにリメイクしたものがリリースされ,新たなファンも獲得している。
前作,前々作はPS2でのリリースだったが,今回で10作目となる「探偵 神宮寺三郎 白い影の少女」はGBAでのリリースとなった。
本作は難解な事件に挑む重厚でハードな推理アドベンチャーというシリーズの特徴を活かしつつ,携帯ゲーム機ならではの軽快なプレイシステムを取り入れたものとなっている。
新宿を舞台に交錯する二つの事件
今回,ストーリーの発端となるのは二つのエピソードだ。神宮寺の大学時代の友人,哲司の告別式で彼の母親から昔の彼女に渡して欲しいと遺品を託されるエピソード。
そして神宮寺が挑む事件として今までになかったタイプの,見ると幸せに,あるいは不幸になると噂される都市伝説「ゆうちゃん」の真相。
■1話目は神宮寺の元に大学時代からの友人・哲司の訃報が飛び込んでくるところからスタート。告別式で,遺品を哲司の大学時代の彼女に渡して欲しいと頼まれるが――。
謎に包まれた殺人事件といったものではなく,得体の知れない非科学的ともいえる依頼と,情に流されるように仕方なく引き受けた依頼。確かに今までの神宮寺三郎とはいささか雰囲気を異にする。
これら二つのエピソードがストーリーの展開にどう絡むのか,それぞれは全く無関係なのか,それともどこかで繋がるのか,今から楽しみなシチュエーションだ。
GBAのプレイスタイルにあわせた新システム
携帯ゲーム機でのプレイというのは,多くの人はじっくり腰を据えて長時間プレイするというものではない。ちょっとした時間で気軽にプレイして,終わりたいときに終わらせる,というスタイルが多いはず。
これはじっくり時間をかけて推理するアドベンチャーゲームのプレイスタイルとは相容れない。
今回の「神宮寺三郎 白い影の少女」では,細かな章立てで構成され,ストーリー進行の状況に応じた数百の推理項目が用意されている。
一つの項目を推理したら次へストーリーが進む,というのではなく,それぞれの推理で出した結果に応じて“探偵ポイント”が手に入り,そのポイントが溜まることによって全体のストーリーが動きを見せるという趣向だ。
パートナーシステムで推理が苦手でも大丈夫!?
今作の大きな特徴の一つはキャラクター育成の要素が加わったという点だ。神宮寺三郎となって捜査を進める際に,そのパートナーとなる人物を自由に選ぶことができるというシステムだ。
選んだパートナーによってシナリオ自体も変化し,前述の“探偵ポイント”を振り分けることによってそのパートナー自身も成長するのだ。
■パートナーは洋子と春菜のどちらかを選ぶことが可能だ。キミならどちらを選ぶ?
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■捜査よりもドラマが大事? さすがの神宮寺もこの発言には困りモノ!?
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成長したパートナーは神宮寺三郎であるあなたが間違った推理をしたとき,あるいは捜査に行き詰まった時,正解へと繋がるヒントを与えたりしてくれるのだ。これなら推理が苦手でもストーリーを追っていくことができるはずだ。
きめ細やかなシステムが捜査をバックアップ
メインとなる推理の進行,特に人物との会話などは,単に情報のキャッチボールをすれば良いというわけではない。相手の嗜好や感情を読みとり,相手の状態にあった判断を行わなければならない。
神宮寺三郎といえば,タバコをこよなく愛する人物だ。でも,そのタバコを嫌う人もいる。そういった人の前ではタバコはひかえるといった,相手のことを考えつつ捜査を進めなければならないわけだ。
そういった推理・捜査の推移はかなり複雑になりがちで,かなり錯綜したものとなるだろう。しかも断続的にプレイをしていると,その流れを見失い安い。
しかし,今作には捜査の状況をプレイヤーが把握するために有用なシステムが多数用意されている。
まず,ストーリーの展開にあわせて自動的に状況をメモしてくれる“手帳システム”がそれだ。捜査の進行状況の確認,人物の詳細など,捜査を整理する上で大いに活用できるはずだ。
■神宮寺の行動に合わせてメモが自動的に取られる。前のプレイから時間が空いたときなどに便利だ。
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■探偵ポイントを助手に振り分ければ,さまざまな場面で神宮寺を助ける名助手に育ってくれるぞ。
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もちろん“探偵ポイント”により成長するパートナーも事件解決への重要な鍵だ。“パートナーコマンド”で会話をすることで行き詰まっていた捜査に光明がさすかもしれない。
息抜きも重要なわけで盛りだくさん
神宮寺三郎シリーズならではのシステムに“タバコシステム”がある。頭のクールダウンをするときには神宮寺三郎にもタバコを吸わせてみよう。思わぬ鍵がひらめくかもしれない。
もちろんプレイヤーのクールダウンも重要。捜査に疲れたときは「バーかすみ」で従業員の“かすみ”と“まなみ”との気の利いた会話やクイズで息抜きすることができるので,ここでちょっと脇道に逸れるのもいい。
■「探偵 神宮寺三郎」シリーズお馴染みの“バーかすみ”,“タバコ”も健在。ゲーム中に隠されたアルファベットを入力すると,神宮寺のショートストーリーも見ることができる。
あるいはゲーム中に隠されたパスワードを入力することで見ることができる,コミカルなショートストーリーやさまざまなオマケを見るのもいいだろう。
今回のGBA「探偵 神宮寺三郎 白い影の少女」は携帯ゲーム機でのプレイアビリティをとことんまで煮詰めた,気軽に楽しめるハードボイルドストーリーだ。
渋い大人のハードな世界,ちょっと味わってみてはいかがだろうか。
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