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インタビュー
オンラインゲームの未来を変える!
孫泰蔵氏独占インタビュー
「ギガビービー」というキャッチフレーズとともに上戸彩が颯爽と登場するテレビCMが流れ始めたYahoo! BB。

 ギガクラスの光ファイバーサービスをラインナップを加え,ソフトバンク・グループはブロードバンド時代をさらに強力に推進していっているが, その中の鍵と言える「ゲーム関連事業」はどう関わっていくつもりなのか?

 先日,コーエーと電撃的な提携発表をした仕掛け人,孫泰蔵氏への直撃インタビューから,今後のビジョンを伺ってみた。

孫泰蔵(そん たいぞう)氏
孫泰蔵氏プロフィール

 1972年9月29日生まれ(32歳)。佐賀県出身。ソフトバンク・グループ代表・孫正義氏の実弟。

 1996年に東京大学在学中に,国内最大アクセスを誇る検索サイトYahoo! JAPANの立ち上げに際し,コンテンツ開発のリーダーとしてプロジェクトを統括。

 有名なヤフーオークションなどの設計も担当した。

 その後,韓国でMMO RPGのすごさを目にし,ガンホー・オンライン・エンターテインメント社などの設立と経営に参加。2004年からCESAオンラインコミュニティ特別委員会副委員長。

 ビー・ビー・サーブ代表取締役としてグループを挙げてブロードバンド時代の仕掛け人として日々邁進している。

 生涯の「夢」は,「現実世界とは別に違う人生や生活を楽しめる世界,空間を創り出し,世の中の「たくさんの機会損失」を別の世界でなくし,世界中の人が新しいチャンスに恵まれるようにしたい。

そんな新しい世界とエンターテイメントを作ってみたいと語る。

Yahoo! BBならば高速回線が実現できる
電撃的なコーエーとの提携において,家庭用ゲームソフトの数少ないミリオンタイトルが,Yahoo! BB独占という形でPCオンラインゲーム化されることが決まった。

■その経緯と,今後の壮大なビジョンについて,教えてもらえますか?

孫泰蔵氏孫泰蔵(以下,泰蔵)今回のお話は,元々,コーエーさんとうちのどちらが切り出したというわけでもなくて,たまたま(コーエーの)襟川(恵子)会長と最高顧問(シブサワコウ氏),それと私と兄の(孫)正義とで会食をしていた時に話が出たんですね。

「何か面白いことをやりたいですね」「御社のタイトルといえば『真・三國無双』ですよね」「いや,実はうちもそれでオンラインはやりたいんだけど,実現するのがすごく難しくて」といった感じの話で。

 コーエーさんは,ちょうどそのとき「信長の野望オンライン」で,本格的にオンラインゲームに取り組んでいらっしゃったんですが,技術的に(「真・三國無双」のような)タクティカルアクションをオンラインで実現するというのは,かなり難しい部分があったんですね。やはり「爽快感」こそ大事なゲームですから。

 すると兄の(孫)正義が「うちのYahoo! BBの回線は,スピードについてはすごく自信があるから,その中に特別なネットワークを用意してもいいよ」と言い出しまして(笑)。

 で,両社の技術開発陣で実際に地域分布図を見ながら検証してみたんですね。

 すると,Yahoo! BBでならば,50ミリ/sec(1/20秒)がなんとか確保できるとわかったんです。

 これは現状のADSLでの話ですから,今度始まったYahoo! BB光だと,さらに高速化はできるはずです。Yahoo! BBは単一のISPでやっている(※インターネット接続業者もYahoo! BBだけで運営され,回線も運営している)点も,他社ではありえない「絶好の条件」が揃っているんですね。

■壮大な計画のベースには,Yahoo! BBの強固なネットワークが必須となっている。
コーエーが「虎の子」のタイトルを出せた理由
■コーエーさんのタイトルの中で「真・三國無双」を選んだ理由というのは?

泰蔵:今まで,例えばメジャーなタイトルといえば,「FF」や「みんGOL」「信長の野望」と,順次オンラインゲーム化がされてきていましたが,じゃあ次のメジャータイトルは?と言えばアクションゲームNo.1の販売実績を持つ「真・三國無双」というのが大きくあったんですね。

 また,ゲームとしてもこれをオンラインMMO化するとすごく面白いものになるんじゃないか?というアイデアの膨らみの部分も大きかったです。

とはいえ,「真・三國無双」と言えば,コーエーさんとしても,まさに「虎の子」のタイトル。そのへんについて拒否反応などはなかったのでしょうか?

泰蔵:元々コーエーさん自身,パソコンソフトのメーカーさんとしてずっとやってきていたメーカーさんでしたから,PCに関してはまったく抵抗はない。むしろPCゲームについてのノウハウは,たくさんありますからね。

 それと最高顧問(シブサワコウ氏)自身も,「自分たちが最後にやりたい世界というのは,オンラインによって実現されていくんだ」という強い想いがありまして(笑)。

 コーエーさん自身,全社を挙げて今後はオンラインをやっていくんだと思っておられたことも大きかったですね。それに合わせて,ブロードバンド自体が非常に普及をしてきていて,すでに1400万世帯がブロードバンド化していたという点も大きくありました。

 この数はマーケット規模的にも十分魅力的なものですからね。そして,そんな夢に対して,技術バックボーン的な部分で,ソフトバンク・グループのYahoo! BBが,それらをかなえられるパフォーマンスを持っていたというのも大きいと思います。

※画面は開発中のものです。

 今回の「真・三國無双BB(仮称)」は,ゲームとして見ても,1人プレイならば「対戦型戦闘」が楽しめるだけでなく,「PSO・u棡C里茲Δ蕗・溶的な遊び,そしてMMO的な遊びができるように設計をしてありまして,1本のゲームで,シングルからマッシブまで楽しめる。まさに「究極の遊び」が楽しめるように考えてあるんです。

 まだ企画はいろいろと詰めている段階ですが,このへんもぜひお楽しみにしていてほしいですね。

「イノベーションのジレンマ」日本でオンラインゲームが今までブレイクしなかった理由とは?
■ところで,日本のオンラインゲーム市場がまだまだこれから……と言われていますが,その理由としてはいったい何が挙げられますか?

孫泰蔵氏泰蔵:大きな部分としては,日本のゲーム市場の特殊な環境があると思います。

 「イノベーションのジレンマ」という言葉があるんですが,何か非常に大きく普及してしまったものがそこにある場合,次のパラダイムへの進化が遅れる……という経済原則があるんですね。

 アメリカの場合,元々PCゲームの市場は大きくあったんですが,イギリスや日本では「ゲーム」と言えば,家庭用のゲーム機がまず最初にすごく強く普及してしまった経緯がある。

 そのために,次の段階(PCオンラインゲーム)に移行できていない……というのがあるんだと思います。

 ですから,こうした状況の時には,誰かがリスクを負ってでも,エポックメイキング的なタイトルを市場に投入しなければ,新たな市場を大きくすることはできないんだと思います。

 今回,コーエーさんと私たちソフトバンク・グループは,そうした未開拓のフロンティアに挑戦したんだと思っています。

韓国の市場規模は日本の10倍中国はなんと日本の100倍!
シャンダ ■ちなみに,海外と日本は市場規模的にどれくらいの差が?

泰蔵:日本だとオンラインゲームの人口は全部でも数百万人ですが,韓国だと最大規模のユーザー数を誇るネットマーブル社だけで2300万人,中国だとシャンダで2.4億人ですよね。まさに1ケタずつ違う(笑)。

 日本のオンラインゲーム市場は,本当にこれからですね。

今後も大物タイトル,斬新なタイトルには積極的に出資・企画開発もしていく!
■今後もまだまだ大物タイトルがこうした形で出てきそうな予感もしますが?

泰蔵:そうですね(笑)。今回は,コーエーさんと「真・三國無双BB(仮称)」を発表させていただきましたが,現在も水面下では,いろいろなメーカーさん,優秀なクリエイターさんらとお話は進めさせていただいています。

 そのためにいろいろなプランをご用意差し上げていますし,ぜひ投資したい!というタイトルには,こちらで投資スキームもご用意しています。

 もちろん面倒な課金まわりやサーバー運営なども当社で準備できますので,ぜひ我こそは日本のゲームを変えてやるんだ!という方は,門戸を叩いてきてほしいですね。

ナンバー8は投資案件&企画推進を積極的に展開!
 今回の「真・三國無双BB(仮称)」プロジェクトを機に,孫泰蔵氏が立ち上げたチームが「ナンバーエイト」というチームだ。  

 「これはラグビーのポジションからとった名前で,攻撃と守備の要となるポジションでもあるんですね。

 ナンバーエイトの強さがチームの強さにもなる。私たちは企画立案から共同開発に至るまで,積極的に参加していくチームということで,この名前を付けました」とは孫泰蔵氏。

 これは!というタイトルについてはソフトバンク・グループとして開発資金投資をおおいに検討するという。

 オンラインゲームのネックとなる保守運営まわりについても,バックアップをしてくれる。課金まわりについてのポータル的な役割もすべて用意されているので安心だ。

 もちろん,課金決済,サーバー運用など,すでに開発中のタイトルも相談には乗ってくれるそうだ。

 Yahoo! BBでブロードバンドビジネスを展開しているソフトバンク・グループだけに,事業シナジーを生かしたプロモーション展開も期待できる。

 開発支援だけでなく宣伝力もあるわけだ。今後「ナンバー8」はブランド化し,企画展開をしていく予定だ。

NUMBER 8
今回の「真・三國無双BB(仮称)」のように投資共同開発,企画立案,運営に至るまで展開していくタイトルにはこの「ナンバー8(エイト)」のロゴが付けられるという。

今後も有望なタイトルが続々とここから飛び出してきそうだ。

 

 

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