遊撃士(ブレイサー)。
それは民間人の安全と地域の平和を守ることを第一の目的とし,魔獣退治・犯罪防止に従事する者たちのことである。
特定の国家に帰属することなく中立的な立場から活動する遊撃士は,幼い子供たちの憧れの職業でもあった。
リベール王国ロレントの街近くに暮らし,遊撃士の父を持つ少女エステルもまた,遊撃士への憧れからその道を志した者の1人だ。
彼女は,兄弟同然に育ってきたヨシュアとともに遊撃士を目指して,日々修行に明け暮れていた。
ある日,エステルの父カシウスの元に一通の手紙が届く。手紙を読んだカシウスは急用ができたと言ってエステルとヨシュアの2人を置いて旅立ってしまう。
準遊撃士(遊撃士見習い)となっていた2人は,カシウスが引き受けるはずだった遊撃士としての仕事を代わりに引き受けることになった。
この時代。
人々の生活は導力器(オーブメント)と呼ばれる技術によって支えられていた。
50年前の導力革命によってもたらされた導力器は,飛行船をはじめとするさまざまな技術に応用され,人々の生活を飛躍的に豊かにしていった。
その一方で,多くの国々は導力器を用いた兵器の開発にしのぎを削り,覇権を狙う国々の思惑が交錯する中,大陸は混迷の様相を見せていた。
そんな時代にあって,列強のはざまで誇りある独立を保つ小国リベール。
そのリベールを舞台に,主人公エステルと彼女を取り巻くさまざまな人々との人間ドラマが展開し,エステルは遊撃士として,人間として大きく成長していく。
新たな世界,新たな人々を通して描かれる,拓かれし時代の物語。
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