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インタビュー
「ウルティマ オンライン 武刀の天地」
 
  
 既にニュースでお伝えしたように,東京・増上寺で「武刀の天地」の発表会が行われた。

 発表会のために「ウルティマ オンライン」のプロデューサー,アンソニー・カストロ氏と,リードデザイナーのジョナサン・ルクラフト氏が来日,マスコミ各社のインタビューを受けた。SBGでもインタビューを行ったのでその模様をお伝えする。

 インタビューでは,日本側の「ウルティマ オンライン」のキーマンといえる,オンライン事業部・バイスプレジデントの正田純二氏に通訳と補足をしていただいた。

 「武刀の天地」スペック・スクリーンショット集はこちら

 
 
■アンソニー・カストロ氏
 
ウルティマ オンライン プロデューサー
 
 1993年に大学時代の友人達とゲーム会社を立ち上げる。その後,よりプロフェッショナルな環境を求め,Originに入社する。オリジンでは,シングルプレイヤーゲームの「Wing Commander III」「Wing Commander IV」「Crusader」などに,QA関係で携わる。

 そして1度オリジンを退社して,ネットワーク関係のコンサルタントとしてIBMやモトローラと取引をした後,経験を生かして特にオンラインゲームのデザイナーとして業界復帰した。ウルティマオンラインのリードデザイナーを担当した後,「スター・ウォーズ ギャラクシーズ」のデザインを2年間務めた。そして現在,プロデューサーとしてウルティマ オンラインの開発を進めている。

 現在,ウルティマ オンラインの方向性を決めるキーマンは彼だ。

 
■ジョナサン・ルクラフト氏
 
ウルティマ オンライン リードデザイナー
 
 2000年6月にオリジンに入社,ウルティマ オンラインチームに加入し,「ルネッサンス・エディション」から「第3の夜明け」「ブラックソンの復讐」「正邪の大陸」と,デザイナーとして開発に携わっている(その間UXOにも関わっていたとか)。

今回の「武刀の天地」では,初めてリードデザイナーを担当する。どういうフィーチャーを入れ,どう調整してゲームに入れていくかを決める役割だ。ちなみに,チームはすばらしく機能しているので,メンバーのマネジメントはほとんど必要ないという。

 
 
SBG:昨日の発表会はお疲れ様でした。既にニュースを掲載させていただきました。

カストロ氏:発表会はどうでしたか?

SBG:お二人とも侍姿がとても貫禄があってすばらしかったですよ。

カストロ氏:どちらが似合っていてました(笑)?

SBG:うーん,カストロさんの方がより日本的に似合っていましたが,ルクラフトさんも「ラストサムライ」みたいでかっこよかったですよ。

カストロ氏:Good Answer!

SBG:さて,それでは質問ですが,「ウルティマ オンライン」が日本でこれだけ受けている理由はなんでしょうか?

カストロ氏:理由は3つあります。1つは,「ウルティマ オンライン」が世界で始めて商用のMMORPGとして開始された,クオリティの高いプロダクトだったので,最初のMMORPGファンが飛びついたということ。

 そして,しっかりとした世界感が「ここにいる」といった感覚を強く引き起こしていて,1度世界に入った人はずっと居たくなるような感じがあったというところ。

 もう1つは,アートスタイル自体がグローバル的で,日本のユーザーにも受け入れられやすかったのではと思います。テーマとして混沌と秩序,「徳の概念」という世界観も合っていたのかもしれませんね。

 誰でも,誰とでもプレイができるというコンセプトで作ってきましたので,これが世界的に受け入れてもらえる素地になっています。今回のエクスパンジョン「武刀の天地」も,特に日本向けということではなくて,世界的にこの要素が望まれていたから製作されたのです。

■「武刀の天地」のイメージイラスト。雪原に現れる“雪女”と,徳之諸島で最も恐れられるクリーチャーである“飛竜”

SBG:7年と言う長い間,プレイヤーを増やし続けていく秘訣を教えてください。

ルクラフト氏:日本に関して言えば,日本の持つコミュニティ文化がウルティマ オンラインの中に広がっていると言うことが一番大きいと思います。1つの要因としては,「家」があげられます。自分や自分のコミュニティでの近所付き合いができていますし,それを成立させるような要素がゲームシステムとして用意されています。

 また,エクスパンジョンによってゲームが周期的に拡張・強化されていくために,新規ユーザーの加入だけでなく,一度離れていたユーザーの回帰といった流れも見られます。戻ってきたときに,コミュニティがしっかりしているので,居場所がまた存在していると言うところも大きいでしょうか。7年間ずっとやっている人も結構居ますよ。

SBG:「武刀の天地」で,日本のプレイヤーは更に増える?

カストロ氏:そう思います。「武刀の天地」は題材自体が“日本風”で,家・職業・アイテムなど共感してもらえるようなものが入っています。

■忍者:忍術を極める者は,静かにすばやく,敵を黄泉に誘う

SBG:「武刀の天地」の製作にあたって,“日本風”の参考にしたものは何かありますか?

ルクラフト氏:実際にAmazonで,もの凄い数の本を買いました(笑)。Webサイトも数限りなくリサーチしましたし,「7人の侍」など,映画も何本も見ましたよ。アートディレクター自体も日本書を扱う専門の書店に行って,建築様式なども調べました。また,正田さんたち日本のウルティマ オンラインチームとも相談しています。あと,打ち合わせでお寿司を食べたりしました(ゲーム中にも“寿司”“味噌汁”がアイテムとして登場する)。

カストロ氏:日本に来ての取材もしたかったんですが,オフィス移動などもあってできませんでした。チームメンバーは来たかったと思うんですけどね(笑)。ウルティマに合うものをうまく取り込んでいこうと開発を進めてきました。

SBG:「武刀の天地」では職業が増えましたが,やはり調整は大変でしたか?

ルクラフト氏:今回今までと違って力を入れたことは,プレイヤーに長期間にわたってベータテストに参加してもらい,調整を続けたことです。最初の2週間は特に力を入れていきますし,今後もずっと調整は続けていきます。

 開発チームは2つあります。1つは拡張版の開発チーム,もう1つは「ライブチーム」と呼んでいるチームで,こちらはパッチやバグフィックス,調整をする役割です。今後「武刀の天地」はライブチームの担当になっていくことになります。

■新職業の侍と忍者。武士道(Bushidoスキル)を極めた侍だけが飛竜に騎乗できる(飛竜を飼い慣らすのは既存のTamingスキルを利用)。忍者は2人…ではなくミラーイメージ(分身の術)使用中の画像
SBG:日本のオンラインゲーム市場をどう見ておられますか?また,どうなっていくと思われますか?

カストロ氏:コンシューマーゲームもそうですが,日本には特にPCで多くのオンラインゲームがありますね。今後オンラインゲームがPCゲームの市場を引っ張っていく可能性があると思います。

それからもう1つ,次世代のコンシューマーゲーム機にもオンラインゲームが入っていくものと考えています。

 また,日本だけではないと思いますが,初期に出てきたオンラインゲーム,例えば「ウルティマ オンライン」「エバークエスト」「リネージュ」「ファイナルファンタジー」などですが,現在のオンラインゲームはまだ初期のステージにあると思います。次に来るセカンドステージは,もっと付加価値が付いたものが現れてくると思います。「ウルティマオンライン」が,その次のステージに入っていけるようにしていきたいと思います。

SBG:あっと,もうお時間ですね。最後にSOFTBANK GAMES読者にメッセージをお願いします。

カストロ氏:MMORPGが初めての人は,「ウルティマ オンライン」でオンラインゲームはどんなものかということを体験してもらいたいです。また,体験したことのある人たちには「武刀の天地」は本当にいいタイトルなので,ぜひ遊んでもらいたいです。

ルクラフト氏:私は今,初めて日本に来て,とても満喫しているのですが,「ウルティマ オンライン」に参加すると,私と同じような気分になれると思います。

SBG:ありがとうこざいました。ちなみに今回日本を観光するような時間はあるのですか?

カストロ氏:今朝1時間半ほど探検して迷子になっていました(笑)。でも今回はほとんど仕事だけです。

ルクラフト氏:いつか秋葉原などにも行ってみたいですね。

 

 いよいよ明日発売される「武刀の天地」。このインタビューで“日本風”のウルティマワールドの魅力が伝われば幸いだ。
 
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・メーカー:エレクトロニック・アーツ
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