もはや当時の出来事を知る者も少なく，この忌まわしい戦いの記憶は，人々の心から消えさっていた……。

　創世紀戦争で皇帝「黒太子」を失ったゲイシル帝国とダークアーマー連合は，その広大な領土を支えきれなくなり崩壊。

　強大な勢力を誇っていたゲイシル帝国は小国に分裂し，帝国の領地は復興したシルバーアロー勢力によって分割統治された。

　一時はシルバーアロー連合により強力に結束した連合だったが，ある時，東方航路から突如侵攻してきたテュル帝国により再び瓦解してしまう。

　そして東方の混乱に呼応するかのように，帝国自治領でも領主同士の権力争いが表面化し，再び暗黒の時代へと突入していったのだ。

　そんな中，旧帝都ゲイシルの領主の息子シラノ・バーンスタインは，新興宗教「帝国主神教」の枢機卿チェザレ・ボルジアの娘，メルセデスと婚約を決めた。

　しかし，誰もが祝福してくれるはずだった結婚式の当日，シラノは突然悪魔崇拝の罪で逮捕されてしまう。

“生きては出られない”と呼ばれるインフェルノ監獄で，過酷な獄中生活を強いられるシラノ。

　ある日彼は，ふとしたことから「創世戦争」を生き残った暗黒神デイモスに出会う。

　そこでシラノは，帝国主神教が異端として禁じるものこそが真実であること，そしてアンタリア全土を手中にせんと野望に燃えるチェザレによって濡れ衣を着せられたことを知る。

　こうして，幽閉生活14年目を迎えたある日。

　帝国革命軍の襲撃によってインフェルノ監獄から解放されたシラノは，自分を陥れたものたちに復讐を果たすべく，長い旅の第一歩を踏み出す。

その先に待つ運命とは……？