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「イース−フェルガナの誓い−」はどのように進化したのか「イース−フェルガナの誓い−」レビュー その2(1/2 ページ)

この作品は「ワンダラーズフロムイース」(イース3)をベースにして新たに作り直されているため、登場人物、基本的なストーリー、冒険の舞台などがイース3に似通っている。では、「イース−フェルガナの誓い−」ではどのような進化を遂げたのだろうか。

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フェルガナとアドルの関係

 過去のイースシリーズをプレイしてきている人からすれば、「フェルガナの誓い」というタイトルを聞けば、ストーリー紹介や登場キャラクターを調べなくても「イース3(ワンダラーズフロムイース)の関係作品」であることはすぐに分かる。

 そして、登場人物や基本ストーリーを確認すれば、まさに“新しい”イース3であることはすぐに分かるだろう。Windows用にリファインしている「イースEternal」シリーズでも登場していない人気作品だけに、うれしい人も多いはずだ。

 元々「イース」という名前は、「イース1」と「イース2」だけに許されたタイトル。この2つの作品で古代王国イースの謎を解き明かし、新たなる一歩をアドルは踏み出しているのだから。だからこそイース3ではなく「ワンダラーズフロムイース」とタイトルになっていた。イースに関連する冒険が終わり、相棒となったドギの故郷に足を踏み入れたアドルを待ちかまえていた新たなる冒険。それがこの作品の始まりになる。

イース3で本当に実現したかったことを可能とした本作

 実際にプレイすれば分かるのだが、これはイース3とは異なる作品だ。基本ストーリーが微妙に変化しているからなどと野暮なことを言うつもりはない。タイトルを変更するほどの違いは、本当にやりたかったことの実現だ。

 当時のイースシリーズは上から見下ろした画面で、敵に対して体当たりを行うゲームだった。しかし、イース3ではシリーズ唯一の横スクロールアクション。剣を振る、ジャンプする、攻撃を避ける、などのアクションがある、たった1つのシリーズといってもよい。

 このように異色の作品でありながら、そのインパクトと楽曲の美しさ、当時としては日本初の多重スクロール実装のアクションRPGといった目新しさなども加わり、今でも最高のイースにあげる人も多い。そのイース3で本当に実現したかったことが、時代が変わったことにより実現しているのだ。

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これこそが、本来実現したかった時計塔のからくりだろう。複雑に組み合う歯車と、合わさるように仕掛けられたトラップ。過去に自分たちが想像した世界を超えるクオリティがここにある

 美しすぎる自然の中を駆け回り、高さの概念を生かして敵と戦う。3Dアクションになることでより個性を際だたせたモンスターたち。アドルの行く手をふさぐ巧妙な数々のトラップ。当時の技術力では表現しきれなかった世界が、ようやく今の時代になって実現しているのだ。

 画像の解像度。3D空間を表現するマシンパワー。そしてシリーズを重ねてきたことで蓄積された技術力。基本ストーリーの変更などは些細なことだ。しかし、この基礎部分とも言えるアクション、そして世界観の再現はタイトルを変更するに十分に値する。地中から出現する敵キャラクターや、バレスタイン城の仕掛けなどを見ていると「これがやりたかったんだろうな」と心から感じる。

 最近のユーザーであればこのゲームを、イース6の進化版と評価するかもしれないが、過去の作品を貧弱なパソコンやスーパーファミコンでプレイしてきた世代は違う楽しみを見つけることができる。思い出しながらプレイしても良いが、その美しく彩られた思い出を超える作品になっていることに驚いて欲しい。

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スーパーファミコン版イース3(トンキンハウス)
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こちらは「イース−フェルガナの誓い−」。これを見れば、リファイン作品であるとは言えないだろう。昔の舞台かもしれないが、その新鮮さと再現度は目を見張る
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スーパーファミコン版イース3(トンキンハウス)
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こちらは「イース−フェルガナの誓い−」。高低差と罠のように潜む敵キャラクターの個性が際だつ。世界だけではなく、敵キャラクターまで生まれ変わったかのようだ
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スーパーファミコン版イース3(トンキンハウス)
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こちらは「イース−フェルガナの誓い−」。地中から登場する敵は本来、罠でもある。それがばれないように潜んでいるのが今作の特徴。昔のように簡単には発見できない

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