「イース−フェルガナの誓い−」はどのように進化したのか:「イース−フェルガナの誓い−」レビュー その2(2/2 ページ)
この作品は「ワンダラーズフロムイース」(イース3)をベースにして新たに作り直されているため、登場人物、基本的なストーリー、冒険の舞台などがイース3に似通っている。では、「イース−フェルガナの誓い−」ではどのような進化を遂げたのだろうか。
本当のマニアならここに注目だ
イース3が人気なのは、アクションゲームとしての側面が他のイースシリーズよりも強いことだけではない。未だに語りぐさになっているBGMの存在を忘れてはいけない。リファインと言えば、最近の音源に合わせて多少のアレンジを加える程度だと思われがちだが、メーカーはこのゲームの注目度の高さとその理由をわかっている。なんと、フルアレンジでありながらも、世界観の統一まで果たしている。
メインメロディやコードなどは全く同じなのだが、ストリングス主体のオーケストラアレンジを採用している。日本ファルコムのWebサイトでデモムービーを見た人であれば分かるが、最も人気の高いバレスタイン城の曲などはその特徴を端的に示している。
実際にはこの曲は、フェルガナの誓いのなかでは例外的で、プログレッシブ系のバンドを意識しているのだが、ストリングスに対しての力の入れ方はよくでている。最終局面に近いこの場面では、緊張感と疾走感、焦燥感をあおるためにエレキギターをメインとしてゲームの雰囲気を盛り上げている。
このほか、陽光が差し込むマップ移動画面では、バイオリンを基調とした美しい旋律。夕日差し込むイルバーンズの遺跡ではスパニッシュギターのはかなげな旋律を背に、アドルは古代遺跡の奥地に進んでゆく。過去の焼き直しでは決してない音源へのこだわり。単純なアレンジとは一線を画した出来を心から楽しむのが、昔からイースをプレイしている人間だけに許される特権になる。
イースをめぐる大人の楽しみ
これまで「イース−フェルガナの誓い−」を紹介してきたが、今作はイースを昔から楽しんでいる人にこそお勧めしたい。「もうイースは十分堪能した」と口にする人もいるかもしれない。そういった人こそ楽しめるのがこの作品だ。
過去の思い出とリンクする新しい舞台。新しいアクション。そして懐かしさをオーバーラップさせながらも驚きと雰囲気を与えてくれる楽曲。ワンダラーズフロムイースというタイトルを知らない世代ではもったいない。知っているからこそ遊んでもらいたいのだ。
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