PSPシステムソフトウェア バージョン2.00の新機能を試す:ついにPSPでネットアクセスが可能に(3/3 ページ)
7月27日に登場した、PSPの最新ファームウェア「システムソフトウェア バージョン2.00」。このバージョンでついにPSPにブラウザ機能が追加された。また、それ以外にも、動画機能や音楽機能などが機能アップし、さらに使いやすく進化した。
動作はややもっさり
さて、このブラウザ機能だが、実際に使ってみるとやや動作がもっさりしているという印象だ。例えば、ITmedia Gamesのホームページにアクセスした場合、完全にページが表示されるまでに30秒以上かかってしまう。また、アクセス中はカーソル操作もままならず、かなりストレスがたまってしまう。
しかし、タブ機能を活用すればその点もかなり緩和される。アクセス途中は別タブに切り替えて別のページにアクセスする、といった使い方をすれば、もっさりした動作もある程度は解消可能。
ただし、それも完全とは言えないようだ。なぜなら、ITmedia Gamesのホームページから別ページを別タブで表示させようとしたら、アクセス途中で「メモリ不足です」という表示が出てストップしてしまったからだ。設定メニューからキャッシュ容量を最大の2048Kバイトに設定してみても、その問題は解消されなかった。まあ、もともとITmediaのホームページ自体が容量が大きく重いので仕方がないかもしれないが、ちょっと気になる部分ではある。
とはいえ、全体的には十分満足できる。いろいろなページにアクセスしてみたが、どこもほぼ問題なくアクセス可能だった。暗号化されたページへのアクセスも問題なく、ショッピングサイトなども利用可能だった。個人的には、銀行のオンラインバンキングページへのアクセスが不可能だった点がやや残念だが、これはサイト側でアクセスするブラウザをチェックして、対応外のブラウザをシャットアウトしているのが原因であり、PSPのブラウザの問題ではない。
また、Flashに未対応な点もやや残念。Flashに対応していれば、Webで公開されているFlashを利用したゲームも楽しめることになるため、この点を考慮して未対応としたのかもしれない。しかし、PSPのブラウザ機能のベースとなっているACCESSのNetFront向けとしてFlash Playerも存在しているので、将来的には対応してもらいたいところだ。
MPEG4 AVC(H.264)形式の動画ファイルやATRAC3 plu形式の音楽ファイルをサポート
システムソフトウェア バージョン2.00では、ブラウザ機能だけが追加されたわけではない。ほかにもさまざまな機能が追加されている。
まず、ネットワーク機能の設定で、「AOSS」や「らくらく無線スタート」という無線LANの自動設定機能が追加されている。これは、「ワイプアウトピュア」などで用意されていたものと同等の機能で、対応した無線LANアクセスポイントを利用している場合には、無線LANの各種設定を、ボタンを押すだけなど、とても簡単な手順で行えるようになる。また、暗号化形式としてWPA-PSK(TKIP)もサポートされ、高度な暗号化を施した無線LANネットワークにもアクセス可能となった。
動画再生機能では、MPEG4 AVC(H.264)形式の動画ファイルがサポートされた。この動画形式はUMB VIDEOで採用されているものだが、メモリースティック Duo/PRO Duo内にMPEG4 AVC形式の動画ファイルを保存し、ホームメニューのビデオ機能から再生できるようになった。
これに合わせて「PortableTV」(P-TV)というPSP向けの動画配信サービスも開始された(関連記事参照)。P-TVでは、PSP向けにMPEG4 AVC形式の動画ファイルを配信し、PSPにダウンロードすることで視聴可能となっている。
PSPのシステムソフトウェアバージョンアップに合わせて開始された、PSP向けの動画配信サービス「PortableTV」。So-net会員なら即利用可能、So-net会員以外でも、無料の会員登録をすれば利用可能となる
ただし、PSPからは直接ダウンロードできず、PSPをUSBケーブルを利用してPCに接続した状態で、PCからP-TVにアクセスしてファイルをダウンロードする必要がある。どうせならPSPで直接ダウンロードして楽しめればいいのだが、この点は将来サポートされることになるだろう。
ダウンロードした動画ファイルは、PC側に転送して再生することも可能なのだが、動画ファイル自体がPSP側での表示を前提に作られている(PSPの液晶ディスプレイで全画面表示させることを前提としたアスペクト比になっている)だけでなく、PSPに直接ダウンロードするしかできないため、PC側での活用はあまり考えなくていいだろう。
動画機能自体も、A-B間リピート機能や音声切り替え機能など、機能が向上している。
また、音楽機能では、メモリースティック PRO Duoに、ATRAC3 plus形式の音楽ファイルをダウンロードして再生できるようになった。ただし、転送には「SonicStage バージョン3.2」が必要で、メモリースティック Duoへの転送は不可能だ。
さらに、AAC形式とWAVE形式の音楽ファイルもあらたにサポートしている。AAC形式の音楽ファイルといえば、アップルコンピュータのポータブルプレーヤー「iPod」でサポートされている音楽ファイル形式としておなじみだが、iPod用の音楽ツールである「iTunes」で作成したAAC形式のファイルは直接利用できないようだ。
実際に試してみたところ、そのままファイルを転送してもPSP側では認識されない。しかし、ファイルの拡張子を「.m4a」から「.mp4」に変更してみたところ、PSP側でファイルが認識され再生が可能だった。
現在AAC形式の音楽ファイルを活用しているのは、おそらくiPodを利用しているユーザーが大多数を占めると考えていいだろう。となると、AAC形式の音楽ファイルをサポートしておいて、iPodで利用されている、.m4aの拡張子を持つAAC形式の音楽ファイルをはじくというのは残念だ。ユーザー(特にiPodも持っているというユーザー)からすれば、やはり対応してもらいたいというのが本音だろう。今後の対応を期待したい。
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