オンラインコミュニティを活用した総合エンターテインメントビジネスをガンホーは目指す:ガンホー森下社長インタビュー(2/4 ページ)
「グランディアオンライン」や「北斗の拳オンライン(仮)」と、新しいタイトルを続々と発表するガンホー・オンライン・エンターテイメント。今後の展開について、同社社長、森下一喜氏に話を聞いてみた。
――今後もガンホーはオンラインゲームビジネスに集中していくのだと思うのですが、現在発売されているコンシューマー系のゲームでも、「うちならオンライン化して楽しいゲームを作れる」というタイトルもあるのではないですか?
森下 ゲームのオンライン化というコンセプトを持っている開発会社で、しかも優秀なコンテンツがあり、自分たちの資本政策上のポリシーとしても合致しているならば、その可能性はあるでしょう。もちろん、経済合理性の観点からも見なければいけませんが。そして先ほども述べたように、ビジョンが一致できるのであれば、積極的に提携を図っていきたいとは思います。
また、オンラインゲームにフォーカスしているとは言っていますが、我々の目指しているのは「オンラインのコミュニティを活用した総合エンターテイメントビジネス」です。ゲームにかかわらず、エンターテインメントという分野を構成する要素は、ほかにもたくさんあります。このビジョンを素早く実現するためには、さまざまな展開を図らなければならないでしょう。
ただし、このビジョンからずれたことには手を出すつもりはありません。加えて、最初に事業ありき、です。キャピタルゲインを求めているわけではないのです。結果論としてキャピタルゲインが付いてくることもありますが、まずはビジョンが大事であって、その上で、事業的なシナジーを実現できることが大事ですね。
ジー・モードにしても、カジュアルゲームではNo.1ですし、我々は(時間のかかる)RPGが主なタイトルとなっていますが、5分程度で遊べる携帯マーケットも大事です。そういったゲームを開発していくことも必要でしょう。その中での具体的なビジョンが一致したので提携、となったわけです。
――オンラインゲームは、どうしても時間が取られてしまいますし、ユーザーが限られてしまいます。その意味もあって、カジュアルゲームを取り込む方向にも進まれたのでしょうか。
森下 確かにわたしも時間がないですが、エミル・クロニクル・オンライン(ECO)にしても時間を見つけてはプレイして、「キャラクターの動きがおかしい。これじゃ“ムーンウォーク”になってるよ」と、うちの岩田(注:コンテンツ開発部マネージャー岩田容賢氏。ECOの開発担当)を呼んでは修正させています。キャラクターの動き1つだけのことに対しても、何回も呼び出しました(笑)。
また、ユーザーの観点から見れば、携帯電話には簡単にできるゲームなどの楽しいコンテンツはいっぱいあるし、加えて携帯電話というものは、もうすでに身近なツールになっていますよね。
携帯事業については昔から「参入しないんですか?」と言われてきましたが、「当然視野に入れています」と答えていました。オンラインゲームを遊んでいるユーザーでも、時間がないときには、たとえば携帯電話で自分の状況を確認したり、キャラクターを育てられれば、オンラインでいっぱい遊べるユーザーと、あまり差がつかないようにできるかもしれません。こうしてシームレスにプレイできればいいですよね。
その点は、ジー・モードとの提携によって実現できる部分ですし、今後はガンホーとしても、新事業の方ではカジュアルゲームを含む、オンラインゲームの総合サイトを作っていこうと考えています。
また、自社だけではできない部分を、他社と連携することによってスピードアップさせることが大事です。自社だけでは少ししか進まないが、ジー・モードと組むことによって、目的をキャッチアップできるスピードが速くできるわけです。ジー・モードも、NTTドコモの会員だけでも100万人を抱えていますし、ガンホーにも100万人以上のユーザーがいます。このポテンシャルをあわせれば、まさに“ロケットスタート”を切れるわけです。
――グランディアオンラインでも、携帯電話との連携を考えている、と宮路武さんがおっしゃってましたね。
森下 そうです。携帯との連携も含めて考えていくことになります。加えて、総合的な観点から見ると、カジュアルゲームに対しての1つのアプローチとしての携帯電話というプラットフォームは大事ですし、ゲームアーツとしては、出口としてはコンシューマー系のコンソールも考えているでしょう。
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