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オンラインコミュニティを活用した総合エンターテインメントビジネスをガンホーは目指すガンホー森下社長インタビュー(3/4 ページ)

「グランディアオンライン」や「北斗の拳オンライン(仮)」と、新しいタイトルを続々と発表するガンホー・オンライン・エンターテイメント。今後の展開について、同社社長、森下一喜氏に話を聞いてみた。

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――出口を広げるという点では、ECOの「シアター」というのはおもしろいシステムだと思うのですが、今後の展開はどのようになるのでしょう。

森下 シアターに関してはテスト的な側面が強いですね。ただし映像配信や音楽配信など、オンラインコミュニティの中で、さまざまなビジネスを展開できるのではないかと考えていました。

 実はこれまでも“テスト”的要素としていろいろ行っているんですよ。皆さんにはプロモーションと見えていると思うんですが。今年の1月にドラマを作りました。これをWebサイトでも放送しましたが。これも実はテスト要素の1つだったんです。実際にテレビドラマを作って、ビジネス的にどのような展開が考えられるか検討するためというのがありました。

 もちろんプロモーションや、ガンホーのユーザーサービスとしての側面もありますが、それに加えて、ドラマを作ることによって蓄積されるノウハウもあるわけです。うちの担当も「ノウハウがだいぶ分かったので、またやらせてください」と言っています。

 このように、シアターでは自主制作の番組を流すこともできるでしょうし、ゲームの中でコマーシャル的な、予告編集を流すこともできますし、何かの発表をすることにも使えるでしょうね。ただし、これまでのような「1対n」で流しっぱなしではなく、バーチャルリアリティのように、来ているお客さん自身の反応も見えるのがシアターの利点です。ドラマの公開録画のように「観覧希望」を募ることもできますよね。

 シアターについてはさまざまな展開を考え、ユーザーの反応を見ていかなければなりませんが、将来的にはこうしたコンテンツを提供することで、1500円のビジネスではなく、付加価値を提供した形での、プラスαの利益を得ることができればと思っています。これは、今後のオンラインゲームビジネスでは重要になってくるでしょう。このため、先駆けて、ECOの中にシアターを実装するわけです。

 木谷さん(注:ブロッコリー会長 木谷高明氏)からも、アニメの配信などをやりたいんだ、という話を聞いて、それは絶対やるべきです、となり実現したわけです。ブロッコリーのTV番組を放送できればブロッコリーファンも集まってきますし、ECOの放送番組を流して、生放送で実際に見ながらいろいろ楽しんだりするのもおもしろいですよね。将来的にビジネスモデルとして確立できれば、プラスαのコンテンツとして有用だと思います。

――今後もガンホーが行うプロモーションは、注意しなければなりませんね。今度は何をやるんだ、みたいな(笑)。

森下 そうですね(笑)。ドラマを始めるときにも、ビジネス的なテスト、という点を念頭に置いて作っていました。社内的には本当にプロモーション効果があるのか? という意見もありましたが、テストとしての意味がありますので、損をしているとは考えていません。「なんでガンホーがドラマ作ってるんだ?」「何をやってるんだ?」とは言われましたが(笑)。

――ところでRondoについて、東京ゲームショウ2005で発表される予定はあったのですか?

森下 いえ、その予定は全くありませんでした。今回はグランディアオンラインについての正式名称発表とコンセプトの公開、そして「北斗の拳オンライン(仮)」について、きちっと開発をしますと表明することは、予定となっていました。

 グランディアオンラインについては、“グランディアのオンライン版”と言うことはユーザーの皆さんも分かっていたとは思いますが、それがいわゆる「グランディア4」になるのか、全く新しいものになるのかが分からず、気になっていたと思うんです。そこで今回は“原点回帰”であり、グランディアに出てくる創世記の神話の部分を描くこと、グランディアの少し前の世界を描くことを発表しました。それに加えて、グランディアで明かされていない謎があるんですが、そこも解き明かしていけるようなゲームを考えています。

 グランディアも、さまざまな新しい“挑戦”を経てできあがったゲームです。そしてコンセプトとしてキーになってくるのは“冒険”ですね。グランディアの中にある人間賛歌ですとか、冒険といったコンセプトを、どのようにオンラインのコミュニティの中で表現するのかが大事です。これを実現するために、企画や開発に携わっているメンバーも、いわば“冒険”をしている最中です。最初に宮路洋一さんと話し合ったときにも、「グランディア魂ってなんだろうね」と語り合いました。その中でも原点回帰という気持ちが生まれてきたわけです。

――北斗の拳については、アニメ制作にはかかわっているのですか?

森下 いえ、関係ありません。今回は映像をお借りして、発表会に使わせていただいただけです。

――また、今回のTGSでユーザーが気になっていることのもう1つは、「ラグナロクオンライン2」だと思うんです。こちらについてはいかがでしょうか。グラビティの発表会にも社長は登場されましたし。

森下 基本的には、今回のラグナロクオンライン2に関しては、ガンホーからオファーしている話ではないので、我々の方からコメントすることはないんです。とは言っても、協力関係についてはもっと強化して、お互いのシナジーを発揮していこう、ということは考えています。これまでの状況から関係が変化することはありません。

 ポジティブな意味合いで、お互いが密接な関係を築いていくことは考えていますが、当社のブースでラグナロクオンライン2のプロモーションビデオを流したのも、お互いブースが隣同士でしたし、知らない間柄ではないから、です。いろいろな憶測はあるかもしれませんが、マーケティング協力という形でPVを流したわけです。今後は我々がどういった形で協力関係を広げるかという点については、協議している最中です。

――孫泰蔵会長がグラビティの株式を取得したことで、これまでよりグラビティとの関係が強くなった、ということはあるのでしょうか。

森下 この件についてはまだ時間が経過していないので、これからお互いが協議していくことになると思います。ただしガンホーはガンホーであって、経営と資本は分離して、独立性を保っているパブリックカンパニーですし、グラビティについても同様だと思います。我々は我々の戦略で進んでいますし、グラビティももっと成長しなければいけないでしょうし。その中で、お互いが協力できることがあれば、事業ベースで協力し合うことはもちろんあります。なんと言っても、すでにラグナロクオンラインで協力し合っているわけですから。変わることは何もないと思います。それ以上でもそれ以下でもないですね。

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