アクションと格闘ゲームの絶妙なブレンド。アクション派の秋はこれでキマリ!:「アーバンレイン」レビュー(3/5 ページ)
正義なき街に乗り込んだ1人の男。待ち受ける幾多の強敵に対する武器は、己の拳のみ。「鉄拳」、「ソウルキャリバー」の制作陣が作り出した、エキサイティングでクールな世界。シンプルなシステムが生み出す、ホットな駆け引きがプレーヤーを魅了する。
基本は「打撃」、「回避」、「投げ」の3すくみ
ゲーム性の根幹は非常にシンプルだ。そのキモは「打撃」、「回避」、「投げ」という3つの主要コマンドがジャンケンのように3すくみになっていること。打撃は回避に弱く、回避は投げに弱く、投げは打撃に弱い。言い換えると、敵が打撃できたら回避し、回避に来たら投げ、投げにきたら打撃を繰り出せ、ということになる。
打撃、回避、投げの上位に位置づけられるのが、必殺技となる「スペシャルアーツ」だ。ゲーム中では“SPA”と表示される。ダメージを与えたり、逆に受けたり、敵の攻撃をかわしたりするとゲージが溜まっていき、一定以上で使用可能になる。
SPAは打撃、回避、投げに優先する。例えば敵が投げにきたとき、完全に捕まえられる前にSPAを入力すれば、敵の行動をキャンセルできるだけでなく、相手にダメージを与えることもできる。これをきっかけに形勢が逆転することも珍しくない。
SPAに対抗できるのはSPAだけ。ここで忘れてはならないのが、ダメージを受けるとSPAゲージが溜まるというルール。連打を打ち込むタイプの発動時間が長いSPAを敵に命中させると、その途中でSPAゲージが溜まり、相手にSPA発動の機会が生まれる。無闇にSPAを放つと、手痛い反撃を誘発する恐れが出てくる、というわけだ。
打撃、回避、投げの各行動を上手く行ってSPAゲージを溜め、相手を追い詰めたら、SPAでトドメを刺す。これが基本の行動パターンとなる。3すくみ状態での読みと、そしてSPAの使用タイミング。ルールはシンプルだが、それゆえに深い。
多人数が入り乱れることで生まれる新たなゲーム性
ただ、これまで述べたことは、格闘ゲームがもともと持っていたゲーム性でもある。鉄拳シリーズのファンなら、3すくみの読みなど珍しくもないと思うかもしれない。だが、そこに“多人数が入り乱れて戦う”という要素が加わると、様相は一気に変わってくる。
ほとんどのミッションは、複数での戦いとなる。前述の通り、プレーヤーサイドは序盤に限ってはブラッドひとりだが、敵はよほどの強敵以外、つねに複数。1対3とか1対4とかでの戦いが多くなる。
例えば、ふたりに同時に襲いかかられ、片方が打撃、片方が投げにきたら、どうすればいいのか。SPAゲージが切れていたら、打つ手がなくなってしまう。すなわち、そうした状況を作ってしまうこと自体が、本作ではミスとなるのだ。側面や背中にも目を向ける意識がないと勝てない。原則として敵が前方にいる格闘ゲームとの違いがここにある。
敵が1対1なら楽勝のザコでも、連携されると意外に手強い。数で劣る戦いをする場合、なるべく1人の敵を集中的に狙うのが戦闘の原則だが、現実にはターゲットが複数いる以上、そう簡単にはいかない。だから、勝つためにはプレイヤーの戦術が必要になる。
すべての敵を同時に見据え、そのうちから狙うべき目標を判断し、迅速に攻撃を加えて次の状況に備える。たとえ大ダメージを与える方法に熟達していたとしても、その攻撃中に横から殴られれば意味がない。これは、1対1の戦いを前提にした格闘ゲームとはまったく違うゲーム性だ。
とはいえ、キャラクターひとりひとりは、本格的な格闘ゲームに匹敵する行動パターンを持っている。とてもアクションゲームという枠内に収まるほどの、パターン化された行動バリエーションではない。アーバンレインが多人数格闘アクションというジャンルで呼称するしかない理由がここにあるのだ。
パートナーとの連携で強敵に挑め
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