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最近ゲームに時間を割けないあなたへ――お手軽だからこそ布教にも最適「タイトーメモリーズ ポケット」レビュー(2/4 ページ)

以前、PS2用タイトルとして発売された「タイトーメモリーズ」が、PSP用となり新たに登場した。PSP購入層とも重なると思われるゲームだけに、収録作品や出来映えが気になるところだ。今回はアレンジ版も入っていると言うことで、オリジナル版とともに細かく見ていこう。

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 この手の作品の場合、気になるポイントがいくつか挙げられるだろう。一番重要なのが、各タイトルの移植度だ。細部に渡るまで当時を余すことなく再現しているのか? バグ技も使えるのか? など、当時やり込んだ人ほど、気にする部分だと言える。

 もう1つは、オマケの充実度合い。アーケードゲームには、テーブルに挟むインストラクションカード(遊び方の書かれた簡単な説明書)や販促用のポップ、ディップスイッチ設定が記されたマニュアルなど、いくつかの付属品がある。現在、ショップなどでゲーム基盤を購入すると、状態が良いものであればこれらが付いてくるのだが、果たして当時を再現したソフトにも収録されているのか?

 そして最後が、アレンジモードの有無だろう。原作に忠実なオリジナルモードが入っているだけでなく、今風にアレンジし遊びやすくなったモードが追加されているか否か? その完成度は? などなど。ほとんどの懐ゲータイトルでは、これら3つが焦点となってくるだろう。早速、一項目ずつ見てみよう。

もはや問題ない領域に達した移植レベル

 PS以前のパソコンも含めた家庭用ハードでは、キーワードとして“完全移植”という単語が挙げられることが多かった。その昔、ゲームセンターは夢が実現する場所で、ハードのパワーも家庭用のそれとは比較的にならないほど強力だったため、よほど古いタイトルにならない限り、完全移植は難しかった。また、PCも含めた当時の家庭用ハードは非力で、アーケードで稼働していたプログラムを変更したり、家庭用ハードに仕様をダウングレードするなどして、無理矢理動かしていた感があったことも事実。つまり、同じプログラムを同じハードで再現するのではなく、あくまでも“家庭用ハードでできる限り、アーケードの仕様をシミュレートする”という方法がとられていたといえる。当たり前ながら、プログラムが変われば敵の動きも微妙に異なるため、ゲーセンでは通用したパターンが家庭用では出来なくなることもしょっちゅう。それをごまかすために独自のアレンジを加えるなど、当時としてはさまざまな工夫が凝らされていた。

 それが変わり始めたのは、1995年ぐらいからだろうか。PCのハードがパワーアップし、これまでのようなシミュレートから、アーケードのハードを丸ごとエミュレートするという方法が取れるようになったことが、その大きな要因ではないかと思われる。これはそのまま当時の家庭用ゲーム機にも適用でき、数多くの懐ゲーがリリースされた。さらに、PSやDCなどの互換ハードがゲームセンターで稼働するようになったこともあり、もはや完全に垣根は無くなったと言えるだろう。

 そのようなタイトルの1本として登場した本作の移植度は非常に高く、当時と比べても全く遜色ない出来に仕上がっている。しかも、△ボタンを押すことで、画面の比率を3種類に変更することができるのだ。PSPを横に持った状態で遊べるコンパクト、ディスプレイの上下(縦画面のゲームならば左右)いっぱいに広がるミドル、そしてフル画面モードのフルが選べるようになっている。特に、デフォルトが縦画面表示のゲームであれば、PSPを縦に持ちミドル以上に設定すれば、まさに当時そのままの雰囲気を味わえてしまう。アーケード基板を購入するも、自宅のテレビを縦に置くことが出来ずに悲しい思いをした人でも、これならば手軽に昔を再現することができる。これぞ、PSPならではの特権と言えるだろう。


通常のコンパクトモードでは、原寸大で表示される。画面は小さいもののエッジはシャープで、操作もしやすい

ミドルモードでは、上下いっぱいに表示される。若干にじむものの、適度な大きさで見やすい

フルモードでは画面一杯に表示されるため、横画面ではつぶれたようになる。逆に、縦画面ゲームではしっくりくるように感じた。とはいえ、どのモードを選ぶかはプレーヤー次第

 ただし、コンパクト以外のサイズにすると、エッジにアンチエイリアスがかかってしまい、雰囲気が若干損なわれるのが悲しいところ。とはいえ、実画面サイズで表示するならばコンパクトしか手段はないわけだから、これは致し方のない部分だろう。フルにすると、微妙にキャラが太ったように見える場合もあるが、これもご愛敬。それよりも、PSPを縦に持つと、途端に操作性が悪くなるのには困った。特に、8方向に移動できるゲームでは顕著で、「奇々怪界」などを縦画面でプレイしているときには本当に切れそうになったほど。かといって、横画面でプレイすると雰囲気が出ないし……と、あちらをたてればこちらがたたず、になってしまった。

 しつこいようだが、本末転倒といわれようとも、PSP用外付けジョイスティックを切に願いたい。または、NGCとGBAの連携を見習って、PS2へPSPを接続できるようにしてほしいものだ。このままでは、せっかく縦画面でゲームがプレイできるとしても、操作しづらくてお話にならない。

 もう一点、ボタンはプレイヤー好みにカスタマイズが可能なのだが、なぜか連射機能が付いていないのが腑に落ちなかった。「ニュージーランドストーリー」や「奇々怪界」では、連射があるとないとでは大違いなだけに、このぐらいのサービスは入れてほしかったところ。PSPで連射するのは、さすがにしんどいので。


全ゲームともにボタンのカスタマイズが可能だが、連射にはならない。このぐらいはさりげなく入れて欲しかったところ

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