最近ゲームに時間を割けないあなたへ――お手軽だからこそ布教にも最適：「タイトーメモリーズ ポケット」レビュー（4/4 ページ）

以前、PS2用タイトルとして発売された「タイトーメモリーズ」が、PSP用となり新たに登場した。PSP購入層とも重なると思われるゲームだけに、収録作品や出来映えが気になるところだ。今回はアレンジ版も入っていると言うことで、オリジナル版とともに細かく見ていこう。

[篠崎薫，ITmedia]

　「影の伝説2005」も、見た目が大きく変わっている。主人公の影はポリゴンになり、やたらと行動が細かくなった。また、オリジナル版では方向キーの上でジャンプだったのが、アレンジ版では○ボタンに変更されている。灯籠などを破壊するとアイテムが出現し、取ればゲーム進行が有利になることもあるのだ。その他の部分はあまり変わっておらず、微妙な難易度も健在。なお、さらわれる姫も綺麗になっているので、オリジナル版の貧弱なグラフィックでは萌えないという人は要注目……かもしれない。

刀で灯籠を破壊すると、アイテムが出現する。しかし、どれもが有効に機能するというわけではなかったり。なお、敵の吐く炎は残り火にも当たり判定があるので、完全に消えるまで動かないように

やたらとリアルになったキャラ。特に、影はより艶めかしく（？）なったので、これなら萌えられる人もいるかも？

　個人的に、完成度が一番気になったのが「キャメルトライ2005」だ。元々、アーケードではパドルで操作するゲームにもかかわらず、タイトーメモリーズでは方向キーかアナログスティックでコースを回転させるため、思うようにタイムが延びない。もちろん、ボールがコースの壁に張り付いて移動するような救済策も入っているようだが、それでも操作しづらいことに代わりはない。アレンジ版では、その辺りを考慮したコースになっているのかと思ったら、距離が長くなり意地悪くなっているだけに感じられたのだ。

　オリジナル版を遊び倒した人間としては、クリアするたびにタイムが縮まるワクワク感を、アレンジ版からくみ取ることは申し訳ないができなかった。また、コースをクリアするごとにロードが入るのも頭痛の種。期待が大きかった分、個人的には落胆の度合いも大きかった。ただし、アイテムなどの新要素が入っているので、オリジナル版とは違った楽しみ方があるのは○といえる。

ゴールまで1分以上かかるコースもあるので、途中で集中力が途切れてしまうとアウト

鉄球アイテムを取れば、固い壁も簡単に壊せるようになる。これはこれでなかなか面白い

布教に最適。ゲームシェアリングで、1本丸ごと渡せる

　PSP版オリジナルの機能として、ゲームシェアリングを使ったゲーム配布がある。タイトーメモリーズポケットに収録されているオリジナル版から1本を選んで、相手に送信できるのだ。もちろん、相手が本作を持っていなくてもOKなので、お試しで遊んでみたいという人や懐ゲーに敏感な友人がいたら、早速送信してあげよう。1本もらうだけで、長期間遊べるはずだ。しかも、バッテリが切れるかホームに戻らない限り、いつまでもプレイし放題。とはいえ、そこまで遊べば必ず欲しくなるだろうから、その時はすかさず買いに行かせよう（笑）。

当然ながら、難しい設定は何も必要ない。本作を買わせたい相手に、面白そうなタイトルを送信してあげれば、仲間が増えるかも

手軽に縦画面で遊べる、貴重なタイトルになりそう

　アレンジモードの難易度にばらつきがあると感じたり、新規タイトルが1本だけなど、若干マイナス面が目立つものの、手軽に縦画面で遊べるというのは、他の機種では実現できない特徴だろう。オリジナルの雰囲気を大事にしたいけれど、自宅のテレビを縦に置くわけにはいかないという人には、強くお勧めしたい作品だ。これまでにない、オリジナルそのままに縦画面でプレイできるというのは、懐ゲーをプレイする上での大きなアドバンテージになるだろう。

　また、通勤や通学途中に少しだけプレイなどというスタイルが取れるだけでなく、途中でスリープさせて帰りに続きを遊ぶということも出来る。時間の融通が利くので、人によっては手放せない1本になるかもしれない。

タイトーメモリーズ ポケット
対応機種	PSP
メーカー	タイトー
ジャンル	バラエティゲーム集
発売日	2006年1月5日
価格	5040円（税込）

(C)TAITO CORP.1979-2005