今だからこそ振り返る「モンスターハンター」――家庭用初の本格オンラインアクションはこうして生まれた:「モンスターハンター2(ドス)」発売記念インタビュー(2/2 ページ)
独自の生態系を持つ強大なモンスターが住む世界で、いちハンターとしての生活を送るハンティングアクション「モンスターハンター」。このたび、プロデューサーを務める田中剛氏に、最新作「モンスターハンター2(ドス)」を含めたシリーズについてのさまざまな話をうかがうことができた。
最新作MH2について聞いてみた
―― では、次に最新作MH2の内容についてお聞きしたいと思います。これまでとの大きな違いとして、ただモンスターを狩るのではなく、昼夜といった1日の流れや、季節を導入したことが挙がると思いますが、こちらを導入した経緯は?
田中 昼夜、季節の概念はもともとMHで入れたいと考えていました。普通に考えれば昼夜は必要で、それがあるなら季節だってある。ただ、当時はゲーム自体が完全に組み上がっていない状況でしたので、スタッフから“入れられるなら入れたいですよ!”とか怒られてしまって(笑)。
だから、どうして入れたというよりも、もともと入れる予定ではいたということになります。そういった意味でMH2は原点回帰。MHでやりたかったこと、世界観の広さや大きさを考えて、もう一回構築することを目的としています。だからこそ純粋進化のMH2なんですよ。昼夜や季節はみんながほしいと思っていたはずの要素でしょうし、それは僕らもちゃんと考えてますよ、という表れのひとつになります。
―― 武器も新しいものが加わっています。
田中 太刀、ガンランス、弓、狩猟笛ですね。もともと、大剣系として太刀、ハンマー系として狩猟笛、ランス系としてガンランス、ボウガン系として弓といった感じで、もうひとつづつ系統を増やしたいという考えがありました。実は弓という案自体はMHの時にすでにあったんですよ。ただ当時は、“自分の何倍もの大きさのモンスターに対して弓を射るよりは、ボウガンのほうが見栄えも良くて、ズドンッ!っていく感じで良いんじゃないか”という意見がありました。だからと言って、弓が悪いと言っているわけじゃないんですけど、最初に見た時のインパクトなどを考えて、飛び道具はボウガンでいきましょうとなったんです。
太刀は見ての通り長い武器で、流れるように切り刻むことができます。狩猟笛はちょっと違っていて、藤岡が企画会議の時に“クエスト中に音を使いたい”と言い出したのがきっかけで生まれた武器です。音=笛だね、となったんですけど、僕と企画マンとしては魔法みたいな気がして最初は反対でした。ただ、藤岡の中ではしっかりとイメージが固まっていたようで、“こうすんねん”と議論を交わしていくうちに、ハンマーの系統として笛ハンマー(狩猟笛)に行き着いたんです。
弓は先ほども言ったようにMHの時から案はありましたし、もう一度最初から考察した結果、モーションとかも良くできたので入れることに決めました。ガンランスはランス系の派生として見た目も派手なものになります。
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―― 武器の系統をひとつづつ増やしたいと考えていたとのことですが、ほかに案はなかったのでしょうか?
田中 今回は2005年の2月に行った合宿で決まった構想通りに作っています。MH2は発売も2006年3月までにと決めていました。スケジュールと内容はすべて合宿で決まっていたので、ほかに武器の案はなかったですね。たとえ僕を含めた各スタッフが何かを考えていたとしても、それは次に生かされるものでしょうし。でも、構想通りに作るのもものすごく大変なんですよ(笑)。
今のゲームはプラスプラスにすれば良いみたいな感じを受けます。具体的に言うと強い装備で、このレベルでいけばとか、完璧にすれば勝てるみたいなもの。MHの場合、すべての武器に言えることですけど、決して万能というわけじゃないんです。既存のゲームだと強いものは強くてそれでおしまいみたいなものがありますけど、そういった感じではなく、それぞれの武器にプラスマイナスがある。
たとえば、MH2では大剣じゃなくて太刀を使ってみようという人がいると思います。ただ、太刀だとガードができないから厳しくなる人もいるんです。武器の案はほかになかったのか? という質問ですけど、決して絵だけ見て“格好良いから作ろう”というわけではありません。これはこういう意味があってこうなる、というところまで考えて作っています。もちろんやりたいことや煩悩がまったくないというわけじゃないですけど、それはそれとスタッフのみんなも考えていると思います。
―― 武器に加えて、モンスターも増えています。
田中 発表しているもので言えばクシャルダオラ、テオ・テスカトル、ドドブランゴ、ババコンガ、ダイミョウザザミの5体ですね。ただ、これ以外にも登場しますよ。もちろん何かは言いませんが(笑)。それを探すのも楽しみのひとつというか、ここで何体増やしました、というとユーザーの楽しみが減ってしまいますから。何が変わり、何が変わってないのか? そういったことも含めて狩猟生活を楽しんでください。
―― それは確かにその通りですね。ちょっと質問を変えます。今回、クシャルダオラ、テオ・テスカトルといった「古龍種」に焦点を当てられていますが、こういったテーマのようなものを設けたのはなぜでしょうか?
田中 テーマというよりは、世界観のひとつですね。古龍は天災みたいなもので、“津波がやってきた”、“地震がきた”と同じようなものです。少し分かりづらいかもしれませんが、彼らが現れること自体がイベントと考えてください。“古龍やってきた〜”みたいな(笑)。ちなみにMHで言えば、ラオシャンロンは古龍に属しますよ。
―― 古龍と出会うことがイベントですか。その辺りも含めて、プレイ時間はどれくらいを想定しているのでしょうか?
田中 オフラインとオンラインを全部スルー(素材集めなどをせずに)でプレイしたとして、最低でも500時間ぐらいかかると思います。一日2時間なら250日、5時間でも100日ですね。ですから、ゆっくり楽しみたいという人なら確実に1年は楽しめますよ。
―― なるほど。個人的にもまた眠れない日々が続きそうです。では最後に、シリーズファンに向けてMH2はこう遊べみたいなものがあれば聞かせてください。
田中 プレイを始めての何日間、数時間かは人それぞれだと思いますが、まずは“お〜すげえじゃんMH2。こんなになってんだ”というところを味わってください。プレイしていくうちに“こんなことまでやってるのかよ!”となり、最終的に“まだまだ終わりそうにないし、終わってほしくない”となればうれしいですね。スタッフ一同、死に物狂いで作りましたし、太鼓判を押せるものができたという自信はあります。楽しみ方はお任せしますが、とにかくプレイして、できればオンラインにもつなげてください。
―― 本日はありがとうございました。
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