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より実機の手応えを体感したい人に――大空へのススメ「Over G」インタビュー(3/3 ページ)

タイトーが贈るフライトシミュレーション「Over G」。Xbox 360のパワーを最大限に引き出した「Over G」はどのようにして作られたのか。ディレクターの新地氏、元テストパイロットで本作の機体挙動を監修した田中氏にお話を伺った。

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「Over G」はゲームとしても楽しめるのか?

―― 本作は「シミュレーター」としての側面がまず大前提としてありますが、「ゲーム」としてはどうなのでしょうか。操作感や挙動はものすごくリアルにシミュレートされていますが、「ゲームとしての楽しさ」についてはどういうお考えなのでしょうか。

新地 完全なシミュレーション、となると、計器類を眺めて、視界の外の敵に向かって、レーダーを見ながらミサイルを撃って、20秒、30秒後に「当たったよ」と言われるような……それもいいんですけれど。EAFの前作にあたる「エイムストライク」、あれがそういう感じなんですね。個人的にはあれが好きでしたが。あれとは違う方向性がユーザーから強く望まれていたので……。「実際の戦闘機でやりたい」という声と「リアルなのはうれしいけど、シチュエーションまでリアルに作られると分からない」という声、それから「映画トップガンみたいなプレイがしたい」といったいろいろな要望がありまして。それでは、「シナリオのモードを新設しましょう」ということで、世界とストーリーを作り、キャラクターを立てたシナリオモードを作ったんです。

―― とても乱暴な言い方で恐縮なのですが……。「戦闘機もの」のゲームは、画面に敵位置を知らせるカーソルが出て、「こっちの方向に敵がいます」というのをスロットルを上げたり下げたりして追いかけて、ロックオンして撃てばそれでクリアできる……という部分が必ずあると思うんです。正直なところ、「画面がきれいになっただけでやることは一緒なんじゃないの?」という声も少なからずあると思うのですが。

急激にマイナスGが体にかかり、血液が頭部に集中することによって起きる「レッドアウト」もこのように再現されている

新地 まず、ありとあらゆるものをかなり実機に近くしています。もちろん、兵器や燃料もそうです。「力学を無視してくるくる回って、画面内にカーソルを合わせてミサイルを撃てばOK」かと言えばそういうわけではない。くるくる回ると推力が足りなくなって回らなくなったり、足りてもグレーアウトしていって最後は真っ暗にブラックアウトしてしまったりもします。また、敵に対峙してもポジショニングをしっかりしないといけない。敵にミサイルを撃っても機動が足らなくて外れるだけではなく、いろいろな手段……例えばチャフ、フレアで回避されたり、ミサイルが曲がりきれない方向に機動をとった回避行動もします。そして自分も、ミサイルを撃たれると、いわゆるレーダーミサイルや、IRミサイルといった特徴を捉えながらきますし。近くに来たら近接信管が破裂してダメージを受けたりするので、考えながら避けなければならない。

―― 兵装の量や、弾数というのもリアルに作られているのですか。

ロシア製戦闘機「Su-27」。機体後部にはアフターバーナーの炎が確認できる。実際のゲーム中も、このクオリティでプレイできる

新地 そうです。すごく地味なんですけれども。最初、サイドワインダーミサイルは後方から撃たなければいけないタイプと、全方位型がありますが、詳しい構造とどのような仕組みでそう運用しなければならないのか、自分にはよく分からなかったんです。実際ゲームに入れるにあたって、「これは後ろから撃てない、ロックできない」と単純にやったのだけのものと、そこにしっかりと意味を持たせたものとは少しわけが違ってくると思うんです。今までのゲームは単純にロックができないようになってただけと思うんです。前からだとレーダーも反応せずに、後ろに回りこんだ時にカーソルがきて、ロックが合えば撃つといった感じですね。でも、そうはしたくなかった。「そこは実際どうなんですか」ということをお聞きして監修していただいて。同じIRミサイルや、レーダーミサイルでもそれぞれに違いを持たせて。

初のオンライン戦闘はどのようになっているのか?

最大4チームで対戦が可能な「アリーナ」モード。白熱の空戦が期待できる

―― Over GはXbox Live対応ということで、最大8人までの対戦が可能になりました。初めてのネットワークゲームをシステムから何から一から作っていかれたことで、どのあたりに苦労がありましたか?

新地 ネットワークは本当にどう作ったら良いのか、まずわからなかったですね。出てきたトラブルに対処していく方がまだ幸せだったんですけれども、そもそも、何が理由でこうなっているのかがわからない、という状態が多くて大変でした。

―― 個人的に一番心配なのが、気がついたらどこかからロックオンされて、気がついたら終わっちゃったっていうようなゲームには……。

新地 大丈夫だと思います。まずレーダーにロックされたら警告装置の作動でわかります。で、近くに味方がいたら、手伝ってもらうこともできますし。例えば「自分が相手をロックしておくから、その隙に逃げて」みたいな。ボイスチャットならではの連携ですね。

―― オンラインプレイ時のアドバイスはありますか?

新地 このゲームはG(重力加速度)の制限をかなりシビアに作っているんです。だから、武器をたくさん積んでればいいというものではない。機体に武器を目一杯積めば、それだけ制限Gも下がってくるので、思うように機体が回れなくなってしまう。さらに、機体の方が回れないように制限を掛けてくれる機体と、そうじゃない機体もあるんです。F-15みたいな戦闘機は、そういう制限をコントロールで掛けてないので、だから、無理をしようとすると突発的なGがかかるんです。これは整備の概念がないゲームだから、なんですけど、壊れる寸前でやめてしまえば、一瞬だけ回ることもできる。ただ、F-18やF-2みたいに、普段意識せずにG制限を掛けてくれる機体のほうがゲームとしては楽なのかもしれないですね。

田中 G警告にはいろいろな推量の仕方があるんです。今かかっているGだけを検知して、それを超えたら危ないよ、というやり方がまず1つ。それから、例えば8Gなら8Gで引っ張っている時に、ちょっと力を加えると、そこにピッチ・レートが増す。そうすると何秒先に掛かるであろうGを予測して、それが制限Gを超えれば警告を出す、という方法もある。それは機体によってぜんぜん違うし、同じ機体でも機体の制御ソフトウェアをバージョンアップすればまた変わってくるんですよ。

―― そこもぜひ、オートアップデートに期待したいですね。もしかしたら、オンラインに田中さんのような戦闘機操縦経験のある方が現れる、なんてこともあるんでしょうか?

田中 オンラインゲームはやったことがないので、一度はトライしてみようかな、と思いますね。

新地 ぜひ登場していただきたいですね。それから、ゲーム中には名声ポイントというものがありまして。強い機体を倒すとアップしたり、称号がついたりします。この名声は単なる撃墜ランキングでは図れないものがありまして、近距離戦闘が得意な人なのか、遠距離で卑怯にやっつけている人なのかというのが、名声と称号でわかるんですよ。ユーザーがXbox Liveに繋げば……その人の性格もわかる、と。

田中 とりあえず勝ちゃいいんですよ。自分がやられたらおしまいです(笑)。

―― それでは、最後に一言ずつお願いします。

田中 F-15の性能を存分に味わってください。

新地 本当に、機体1つ1つをものすごく丁寧に作っています。この性能を測るのは、プレイヤーの皆さんだと思うんですね。オンライン対戦で、どの飛行機が一番強いのかというのをぜひとも決定してもらいたいと思います。

Over G
対応機種Xbox 360
メーカータイトー
ジャンル戦闘機シミュレーション
発売日2006年3月30日
価格7140円(税込)
その他Xbox Live対応、ランキング、ボイスチャット対応、ハイビジョン(D4)対応、ドルビーデジタル対応
(C)TAITO CORP.2005
Produced under license from Boeing Management Company.
Lockheed Martin Trademarks used under license to Taito Corporation.
Produced under a license from Northrop Grumman Systems Corporation.
協力:航空自衛隊


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