声優のなんたるかを知りたくばこのアニメを見よ――「ラブゲッCHU 〜ミラクル声優白書〜」(2/3 ページ)
4月4日より放映中のテレビアニメ「ラブゲッCHU 〜ミラクル声優白書〜」。この作品は、アニメ業界や声優業界の裏事情を赤裸々に描いた作品だ。その内容はどのようなものなのか……? 実情を探るべく、出演者の方々に直撃した。
高橋 アタリは新人アニメーターなんですが、ひょんなことから桃子ちゃんと下宿やバイトがいっしょになったりと彼女に巻き込まれていきます。毎回「次はどうなるんだろう」と台本をいただくのが待ち遠しいような内容で、楽しく演じさせていただいています。
三石 エリはラムダエイトという声優事務所の社長です。本作は声優の仕事を描いたお話ということでちょっとくすぐったいような恥ずかしいような気持ちもありつつ、自分の昔のことを思いだしながら演じています。
緑川 水斗は、桃子があこがれている声優です。まさかアニメの中でアニメにアテレコするとは思っていなかったので、演技も楽しいですね。声優の裏事情だけではなく、僕も知らないアニメーターさんの裏事情なんかもわかって面白い作品です。
今井 留奈さんは桃子ちゃんたちの下宿の管理人なので、彼女たちが厳しい現実の中で頑張っているとき、“ほわっ”となれる場所をつくっていけたらと思います。養成所でトレーニングに励む桃子たちを見ていて、自分のいいところ悪いところを再確認したり、初心に戻れたり、本作からいろいろと影響を受けています
野沢 武宮先生と同じく、私自身も声優養成所の講師をしていますので、とても現実と重なって感じられる作品です。今回のキャストには私の教え子もいまして、彼女たちと一緒に仕事をするということでとてもうれしく思います。
そんな本作の魅力についてうかがってみると、武宮先生を演じる野沢雅子さんは、「現在進行形の話」ということを一番に上げた。それはつまり、アニメの中の物語が、それを演じる声優陣の生活にもリンクしているということらしい。
たとえば、現在も現役の声優として活躍されている野沢さんは、その一方で実際に声優養成所の講師として、後進の育成にも力を入れている。そんな野沢さんが声優養成所の講師・武宮先生を演じているほか、桃子が憧れる人気声優・一ノ瀬水斗役には、男女問わず多大な人気を得ている緑川光さんを起用。さらに、声優の卵の苺原桃子と小野寺翼には、本作が声優初挑戦となる高本めぐみさんと坂本梓馬さんを起用している。それによって「それぞれの演技が、よりリアリティを帯びているはず(野沢)」だと言うのだ。
公開オーディションで1200人の中から選ばれた高本さんと、フレッシュさをかわれて翼役に起用された坂本さん。その演技力はすでに、「初めての出演とは思えない」、「失敗もほとんどなく、自分の初出演のときとは大違い」と先輩声優陣も舌を巻くほど。それでも、「経験を重ねることで、今よりもっと上手になっていくはず。キャラクターと一緒に、彼女たちの成長も感じられるかもしれませんね」と野沢さんは語る。高本さん自身も、「周りの方に迷惑をかけながら、毎回現場で学ばせていただいています。今はまだ元気の良い桃子のキャラクターに助けられている部分も多いので、彼女に負けないように私も頑張って演じていきたいと思います」という。
また、「リアリティを帯びている」との話を裏付けるように、大門エリ役の三石琴乃さんと成田留奈役の今井由香さんがうなずいていたのも印象深い。というのもこのお2人は、養成所時代に実際に野沢さんに教わっていたという。
「野沢さんのセリフは、本当に講師として教わっていたときの雰囲気そのまま。野沢さんのセリフを聞きながら、当時もこんなことを注意されたなあ、なんて思い出したりしますよ」とは三石さんの弁。役者が役作りのために、自らの演じる役柄の職業を体験するという話を聞いたりもするが、やはり声優も同様に、経験があるのとないのとでは演技に微妙な差が出てくるのだろう。実際に教わっていた三石さんや今井さんのお墨付きなのだから、その演技はよほどリアルなはずだ。「ただ……」と野沢さんは続けた。「武宮先生は相当厳しいですが、私はこんなに厳しくないですよ。いつも三石さんや今井さんに『私はこんなに厳しくなかったよね?』と確認しながら演じています(笑)」。
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