そして伝説へ――「ファミリークラシックコンサート〜ドラゴンクエストの世界〜」第20回を迎えて
夏休み真っ只中、恒例の「ファミリークラシックコンサート〜ドラゴンクエストの世界〜」が開催された。20回目を迎えた本公演の模様をお伝えする。
8月11日、池袋・東京芸術劇場にて「第20回ファミリークラシックコンサート〜ドラゴンクエストの世界〜」が行われた。夏休みとあって親子で鑑賞する姿も見られた。「ドラゴンクエスト」誕生から20周年、そしてコンサートも今回で20回目を数える。こんなにも愛され続ける秘訣は一体何なのだろうか。公演前に指揮者であるすぎやまこういち氏にお話を聞くことができた。
20回振り返って思うところは?という質問にすぎやま氏は、「ここまで続けられたということをとてもありがたいと思う。作曲も演奏も熱を入れて頑張っている。そして何よりもドラゴンクエストというゲームががっちりと地盤を築いて、いいゲームを出していく。この両輪がとってもうまく機能してきた。ぼくは、毎回新しい曲を書くのに知恵を絞るけど、(開発者の)堀井さんも次々にアイディアを出していてすばらしい。ボクもいちゲーマーとして、堀井さんが今度どんなゲームをデザインするのかが楽しみです」と答えてくれた。「ドラゴンクエストの楽曲はゲームとしっかり結びついていると同時に、音楽としても認知されつつある」(同氏)。
節目となる今回の演目は、前公演時に「次回聞きたい曲」というテーマで聴衆からとったアンケートを元に構成されている。言わばドラゴンクエストの曲の中で人気のある曲を集めたプログラムだ。
「プログラムを組むのはパズルでした」と同氏。票数通りに全部組むとオープニング、エンディングの曲ばかりになってしまう。そこで同氏はお城の曲、街の曲、フィールドの曲、それぞれ中で上位のものを選び、プログラムを作ったことを明かした。「なかなか楽しい作業でしたよ」(同氏)。
しかし一回のコンサートでは収まりきらないため、今回のコンサートと、8月19日の名古屋でのコンサートに分けたとのこと。一番票数の高かった曲は、コンサートマスター山本友重氏も1位に押しているというドラゴンクエストIIIのエンディング「そして伝説へ・・・」。同氏は「この曲だけは東京、名古屋ともに演目に入れました」と話す。また「これが良いとか悪いとか差別をしないように努力していますが……、公式にはね。でもみなさんが好きというものと、ぼく自身が納得する曲はそんなに違わない。だから気合いも入ります」と意気込みを語った。
すぎやま氏が組んだプログラムは、さすがにバランスよく構成されていた。それぞれの楽器が目立つように、そして持ち味が発揮されるように作られている。また休憩に入る前に宿屋の曲、2部の開始時にはレベルアップの曲というように、ミュージックエフェクト(ME)が効果的に使って見せ、会場を沸かした。同氏が「このほか仲間になった時、戦闘に勝った時、呪いの曲などのMEを集め、ドラゴンクエストIのCDのカップリングとして発売します」と宣伝すると、客席から「マジで?」という声も飛び出し笑いが起こる場面もあった。
同氏はMCで、人気コミック「のだめカンタービレ」が連ドラ化されることを挙げた。このドラマに東京都交響楽団が全面協力をし、また常任指揮者のデプリースト氏も出演することについて「ぼくも楽しみにしている」と言って、自分のことのように喜んでいた。
ラストの曲はやはり、投票で人気ナンバー1に輝いた そして伝説へ・・・。ブラボーという声と鳴り止まぬ拍手。観客が演奏を満喫した様子を見て、すぎやま氏は最後にコンサートマスターの山本氏とがっちりと握手を交わす。同氏は最後に会場に向かって深々とお辞儀をし、ステージを後にした。
今後の公演としては、名古屋に続き、11月12日に福岡で行われる「九響スペシャル」が予定されている。ドラゴンクエストVIIIのプログラムを担当したレベルファイブの拠点が福岡のため、同社特別協賛での開催が決定したという。もちろん曲はすべてドラゴンクエストVIIIで組まれている。さらに広がりを見せるファミリークラシックコンサート。21回目以降にも期待したい。
第1部
序曲(VIII)
ラダトーム城(I)
パストラール〜カタストロフ(II)
街の人々(I)
木洩れ日の中で〜ハッピーハミング〜ぬくもりの里に〜フォークダンス〜木洩れ日の中で(VI)
勇者の仲間たち(IV)
広い世界へ〜大平原のマーチ(VIII)
戦闘のテーマ〜アレフガルドにて〜勇者の挑戦(III)
第2部
哀愁物語(V)
神秘なる塔(VIII)
憩いの街角〜パラダイス〜時の眠る園〜うたげの広場〜憩いの街角(VII)
高貴なるレクイエム〜聖(ひじり)(V)
エーゲ海に船出して(VI)
おおぞらをとぶ(III)
ドルマゲス〜おおぞらに戦う(VIII)
そして伝説へ・・・(III)
アンコール
トゥーラの舞〜復活のいのり(VII)
この道わが旅(II)
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