Xbox 360にエンタングル!――放送中のアニメと密接に絡み合うストーリーに興味津々:「ゼーガペイン XOR」レビュー(3/3 ページ)
濃密な世界観と、謎の多いストーリー、個性的な人物描写で話題のテレビアニメ「ゼーガペイン」が、Xbox 360で初ゲーム化。アニメもゲームもHD画質で製作するという試みに加えて、現在放送中のアニメと深く関わり合うゲームのストーリーにも興味がわく。
機体のカスタマイズや同乗させるウィザードの選択で性能が変わる
このゲームでおもしろいのは、各ミッションで好成績を収めると新しいパーツを入手できることがあり、パーツを交換することで機体をカスタマイズできるというところ。パーツは、ヘッド、ボディ、アーム、レッグの4部位に分かれていて、選んだパーツによって見た目が変わるだけでなく、HPや攻撃力などのパラメータも変化する。特に、アームを交換すると、一度に撃てる弾数や、弾が描く光跡、弾の形状まで変わるというのが凝っている。
また、パーツとは別にスキルという要素もあり、これもミッションの成績によって新しいスキルが手に入り、カスタマイズが可能になる。スキルには、大きく分けて、近距離攻撃系、遠距離攻撃系、防御系のカテゴリーがあり、3つを装備することができる。その効果もさまざまで、例えば多数のホーミング弾を一斉発射したり、近距離攻撃の範囲を一定時間広げるものなどがある。スキルはホロニックゲージを消費して発動し、スキルによってその消費量も異なるため、装備するスキルの種類によっても戦術が変わってくる。
もうひとつ特徴的なのは、ミッションごとに同乗させる“ウィザード”を選べることだ。アニメ版もそうだが、ゼーガペインでは“ガンナー”と“ウィザード”の2人が搭乗して操縦するのが基本で、ガンナーは前の座席で機体の操縦や戦闘などを担当し、ウィザードはその補佐的な役割で、後部座席で火器や航法管制などを担う。
ゲーム版のゼーガペイン XORでは、トガ(=プレーヤー)がガンナーとなり、ウィザードにはミオ、サラ、メイヴェルの3人から選ぶことができる。ウィザードはそれぞれ能力が異なり、誰を同乗させるかによって機体の性能も変わってくるし、戦闘中の会話内容やエンディングも変化するのがおもしろい。
また、初めはゼーガペインにしか乗れないが、途中からゼーガタンクも使用できるようになり、1周目をクリアするとダークゼーガという機体にも乗れるようになる。機体、パーツ、スキル、そしてウィザードと、さまざまな組み合わせが可能で、ミッション内容に応じてどんな組み合わせが最適かを模索するのが楽しい。
遊びやすい作りだが、詰めの甘さも感じる……
エンディングを迎えるまでのミッション数はそれほど多くないが、個々のミッションがテンポよく進み、ストーリーも先に進むにつれて盛り上がってくるので、最後まで一気に遊びたくなる作り。エンディングはちょっと中途半端にも思えるが、アニメ本編がまだ完結していない中で発売されたゲームだけに、物語全体の核心に触れるような終わり方にはできなかったのかもしれない。難易度は全般的に低いが、さすがに終盤になると敵の攻撃も激しくなり、機体のカスタマイズなどに工夫が必要になってくる。ただ、2周目からは1周目で獲得したパーツやスキルがそのまま引き継がれる分、かなり楽にプレイできるはずだ。
個人的には、ドルビーデジタル5.1chの効果に期待もあったのだが、それが少々期待はずれだったのが残念だ。包囲感はまずまずだが、爆発音などの迫力にやや欠き、敵機や弾が横をかすめるような移動感を楽しめる場面もあまりない。せっかくの2人乗り機体なので、5.1ch環境ではウィザードの声が後ろから聞こえてくる、なんて演出でもあったらゼーガペインのガンナーになった気分がよりいっそう増幅されたかもしれない。
初めにも述べたように、アニメ本編の世界観やストーリーに特異性が強く、さまざまな謎にあれこれと想像を巡らせるのが楽しい作品なので、アニメをまったく知らずにゲームをプレイすると、意味の分からない部分が多々出てきて混乱する可能性は高い(ローディング画面でゼーガペイン用語の解説が入るという工夫もあるが……)。その意味でも、やはりアニメ本編をよく知るファン向けのアイテムということになるのだろうが、それにしては会話パートなどの詰めが甘いようにも感じられ、惜しまれるところだ。
それでも、広い空間を高速で飛び回り、機体をさまざまにカスタマイズし、比較的簡易な操作で“ロボットアニメごっこ”ができてしまう楽しさには、大いに魅力を覚えた。こういったアニメ関連のゲーム化作品がXbox陣営では少なかっただけに、なおさら貴重に思える。
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