PS3だからこそ設計できた“リアリズム”:「RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜」開発者インタビュー(2/2 ページ)
プレイステーション 3のローンチタイトルとなる「RESISTANCE(レジスタンス) 〜人類没落の日〜」。この開発者であるインソムニアックのテッド・プライス氏に話を聞く機会を得た。現実のような現実でない世界を描くこのFPSは、どのような発想から登場したのだろう。
――Xbox 360への移植は可能なのでしょうか。
プライス これだけプロセス集約的なタスクをこなす形でのゲームデザインができたのは、おそらくプレイステーション 3があったからだと思います。
敵の動きを例に挙げると、それぞれがAIを持って行動しています。物理的な部分だけでなく、ナビゲーションについてもそうです。そこに手りゅう弾を投げると、1フレームごとにFPUへ情報が送られます。空間の位置情報や、どこを照準に狙っているのか、ものに当たってはね返った場合も、その情報がすべて送られ、その物理特性がどう変わったのかを演算しています。
手りゅう弾がさく裂して50の武器に変わるんですが、この段階で50個のルーティンがFPUに送られています。1つずつの突起物がどこに当たるのか、どこに行くのか、そしてその突起物が次のルーティンとして何をトリガーにしているのかといった情報が、50個バラバラにFPUへ送られます。
そして敵側は、撃たれたことによってまったく違うルーティンの動きをしなければなりません。それぞれの体の部位ごとの情報がFPUへ送られていて、打たれたことによっての反応でどう倒れ込むか、言うなれば床にどの部位が当たったことによって、どれくらいはね返ってくるのかという演算も全部、FPUへ送られることになります。
――体の部位はどれくらいのパーツに分けて考えているのですか?
プライス 28程度の部位に分けて計算しています。それぞれが違う動きをしますので、爆風で箱が破壊されるのを見るのも楽しいですし。いろいろなことが同時進行で起こっていきます。たとえば車を破壊するにしても、タイヤを撃ったらパンクして車体が地面にあたり、その反動でドアが開いたりと、細かいところまでこだわったゲーム設定をしています。これだけの現実味を帯びたゲーム設定ができたのは、プレイステーション 3があったからだと思っています。
――オンラインではどのように遊べるのでしょう。
プライス オンラインでは5つのモードで遊ぶことができます。「デスマッチ」、「キャッチザフラッグ」、「ブリーチ」、「メルトダウン」の4つのほかもう1つありますが、5つめのモードはまだ明かしていません。最大40人のプレーヤーとオンラインで遊ぶことができます。それぞれのモードごとで参加できる人数が違うのですが、40人から32人、16人、8人といった形で、モードによって変わってきます。
「ブリーチ」モードは、20人の2チーム編成で、相手方の「リアクター」を狙って戦い合うというものです。もちろん相手方の「リアクター」を直接食い止めることもできますが、マップに柱がありまして、その柱を自分のチームが取っていくことで、機能を増強することもできます。これを使って相手に攻め込むこともできます。
「メルトダウン」もチーム編成で対戦するのですが、「ノッド」と言われる柱を狙っていきます。相手方の陣地にある「リアクター」を狙うのではなく、「ノッド」を取っていくことによって、相手のエネルギー源を吸い取っていく、といったゲームになっています。ですので相手方の「ノッド」を全部取れば相手方のパワーがゼロになり、自爆してしまうというゲームです。「ブリーチ」は40人での対戦です。「メルトダウン」は40人、32人、16人で遊べます。
オンラインゲームではカスタマイズが可能ですので、それぞれのプレーヤーが独自の味付けをすることができます。たとえば兵器を選ぶ際に「この武器で戦う」という制限を付けたり、強力な武器に対して時間制限を付けたりして戦う、といったことが可能です。
なおオンラインでは「格付けシステム」が用意されています。自分が参加して勝利を収めればそれだけ自分のレーティングが上がります。またマッチメイキングにより対戦ができますので、初心者が熟練者と当たらないようにシステムが考えられています。
また、オンラインモードを経験すればするほど経験値がたまりますので、ランクを上げることができます。軍隊のランクと同じです。自分のランクが上がるごとに「賞金」をもらえます。また、友達リストが用意されていますので、友達を集めてチーム編成をすることも可能です。その際には「パーティ」と「クラン」の両編成が用意されています。
「レジスタンス」では100以上の統計数値を集積しますので、自分がどれくらいうまくなったのか、ライバルに対してどれくらい戦績を挙げているのか、何人くらい倒したのか、ノッドを何本取ったのか、フラグはどれくらい取ったのかと行った情報を、統計学的に集計できるようになっています。
ここまで話したのはオンラインでのマルチプレーヤーモードですが、このほかにオフラインのマルチプレーヤーモード、協力してプレイするモードもあります。ですので、多様な遊び方ができると思いますよ。
――オンラインモードには特別なマップが用意される、ということですね?
プライス そうです。オンラインのマルチプレーヤー専用マップをいくつか用意しています。ただしまだ最終的には固まっていないのですが、たとえば「デスマッチ」のマップを選んで、そこでどのような対戦場を選ぶのかといったことになるかもしれません。ただし、プレイしたいゲームをすぐに見つけられるということも重要だと思いますので、そこには注意しています。
――オンラインでは海外のプレーヤーとも対戦できるんでしょうか。
プライス 今のところは、日本のサーバは日本で、欧州は欧州、米国は米国といったように、それぞれの地域ごとでの対戦となります。ただし東京ゲームショウ2006のブースでも試しましたが、日本対米国といったこともできますので、技術的には可能です。
しかし全世界的にユーザーがプレイするとなると、ラグが生じます。ただしラグは、今のところはそれほど大きな問題にはなっていないんですが、問題は言語でしょう。ヘッドセットのチャットをするときに、コミュニケーションには壁がありますよね。
――ただ、Xbox 360では海外のプレーヤーとも対戦できますし、チャット中に海外のプレーヤーの話が聞こえるのも、それはそれで楽しいと思います。
プライス 確かに今後は十分に検討すべき項目だとは思います。プレイステーション 3のいいところはアップデートをダウンロードできることです。将来的にそう言ったオプションを付け加えるのであれば、ダウンロードで対応できます。
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