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PS3が可能にする“次世代ゲームの裏側”に迫る――「RESISTANCE〜人類没落の日〜」Insomniac Games現地取材(その1)(4/4 ページ)

PS3のローンチタイトルの中で、特に北米市場におけるキラータイトルとしてユーザーから大きな注目を浴びている「RESISTANCE(レジスタンス)〜人類没落の日〜」。今回はシングルプレイでのストーリーと、マルチプレイモードについて聞いてみた。

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オーバーテクノロジーとの融合で生まれた多彩なウエポン群

画像 Insomniac Games ネイサン・ファウツ氏

 「レジスタンス」の魅力を語るうえでどうしても外せないフィーチャーなのが、プレーヤーが使うことになる豊富な火器類。武器関連のプレゼンテーションでは、武器ユニット担当のネイサン・ファウツ氏がテストレベルでのデモとして武器の使い方をいくつかレクチャーしてくれた(ここに載せた武器デモ解説の写真は開発中のものを使っており、製品レベルでは変更されるとのこと)。

 本作は1950年代が舞台のため、実際に他のミリタリー系FPSでもよく登場する第二次世界大戦の火器類に近いものが登場する。ところが、キメラたちのオーバーテクノロジーが人類側にも伝わっているという設定のため、実際には強力無比な火器類が続々と登場する。武器のデザインに関しても、アーティストが当時の武器考証をしつつ、毎週金曜日にミーティングを行いながら数年間かけて納得するまで作り込んだと言う。

 そして武器ラインアップ最大の特徴は「ひとつの武器に2つ以上の異なる攻撃方法が用意されている」ことで、単なる武器切り替えだけではなく(1種類の武器でも)攻撃方法を使い分けたさまざまな戦略が楽しめることだろう。これは単発・連射を切り替えるといった類のものではなく、メイン武器のR1ボタン、サブ武器のL1ボタンという組み合わせで「まったく違う武器として使う」という発想から生まれた非常に面白いアイデアだ。以下、火器類の中から本作ならではのものをいくつかピックアップして解説してもらった。なお武器の名前については、人類側の武器はミリタリーチックな形式名がふられ、エイリアン側の武器は(人間がその武器の特性を見て名付けた)コードネームとなっている。

画像 ■M5A2カービン銃(M5A2 Folsom Carbin)
人類側の主力戦闘ライフル。アメリカ陸軍レンジャーの正式小銃で、メイン武器には自動連射(R1ボタンをホールド入力)、精密射撃(R1ボタンをタップ入力)の2つの射撃モードが用意されている。サブ武器としてグレネードランチャー(L1ボタン)も標準装備されているが、基本的にアサルトライフルやショットガンといった“人類側が開発した火器類”はミリタリー系FPSのようなオーソドックスな操作系となっている
画像 ■ロスモア236 コンバット・ショットガン(Rossmore 236 Combat Shotgun)
イギリス陸軍で運用されているショットガン。R1ボタンでシングルバレル、L1ボタンでより威力の高いダブルバレルを発射。基本的にキメラはタフ(ヘッドショットしない限り攻撃を当ててもなかなか倒せない)なので、執拗に襲いかかってくる敵を止める場合はこのショットガンが効果的だった。ただしある程度距離が離れると効果は半減するようだ。

画像 ■ブルズアイ(Bullseye)
「レジスタンス」ならではの、キメラ側が使うユニークな主力戦闘小銃。メイン武器はエネルギー弾による自動連射(R1)だが、サブ武器の「ホーミング・タグ」(L1)を敵に当てると「マーキングされたタグに対し通常弾がホーミングする」特性を持つようになる。動きの速い標的はもちろん、障害物に隠れた状態でも照準の必要なく火力を集中させることができる。しかも第3の攻撃方法として、エネルギー弾をため撃ちすればマーキングした相手に大ダメージを与えることも可能。従来の銃撃戦とはまったく異なる戦術やテクニックが考えられる武器のひとつだ
画像 ■オーガー(Auger)
圧縮されたパルス放射能を発射する貫通ライフル。遮蔽物に隠れた敵をも攻撃できるメイン武器の貫通弾は、貫通を繰り返すたびにショットパワーが増大する特殊武器。面白いのはサブ武器であるフォース・バリアーで、使用すると目の前に一定時間物理攻撃を防ぐ「透明の遮蔽物」を展開することができる。「フォース・バリアーで四方を守りながら貫通弾で迎撃」「建物にひそむ相手に奇襲攻撃」といった戦略の使いこなしが鍵となる。「残弾数が少ないので、強力な敵に対して使うといいだろう」(ネイソン氏)とのこと

画像 ■XRー003ザッパー(XRー003 Sapper)
ウィドーメイカーが吐き出す球体「生命体セル」に似た、粘着性を持つチャージ弾を発射する。射程距離は短いが壁や天井に何個もくっつけて連鎖爆発させると絶大なダメージを与えられ、「武器を持っていない敵に有効だ(同氏)」とのこと。L1ボタンで起爆するか敵が触れるまでは爆発しないので、トラップ的な使い方が効果的だった
画像 ■Reaper
「いろいろな武器が用意されているけど、これは他のゲームにはない初めての試み」(同氏)と語ってくれたのこの二丁拳銃も面白い武器。R1が右拳銃、L1が左拳銃に対応している。画面中央でターゲットをホールドするとロック状態になり、うまく使いこなすと左右それぞれに違ったターゲットを狙うことができる

画像 ■L23ファーアイ(L23 Fareye)
イギリス軍海兵隊コマンドのスナイパー・チームが使用するライフル。十字ボタンでズーム切り替えができるほか、L1ボタンで「フォーカスコンセントレーション」と呼ばれる特殊なモードに一定時間入ることができる。このモード中は集中力が極限まで高められ、敵の弾が向かってくるところを目視できるほどまわりの時間の進み具合が遅くなる(いわゆるバレットタイム)
画像 ■XR-005 へールストーム(XR-005 Hailstorm)
固い表面に覆われた弾丸を亜音速で撃ち出し、壁や床に当たると跳弾となって何度もバウンスする特殊武器。道幅が狭い場所で連射すると無数の跳弾が雨あられのように通路を埋め尽くし、点ではなく面による攻撃が可能。サブ武器として、マガジンに入っている全残弾(最大50発)を前方で破裂させるオートタレット攻撃も用意されている
画像 ■L209 LAアーク(L209 LAARK)
メイン武器はいわゆるRPG=ロケットランチャーだが、サブ武器に30発の小型ホーミングミサイルに分裂する広範囲攻撃も用意されている。ユニークなのはL1ボタンをホールドすると発射したロケットの動きを止めることができ(ホールドを外すと照準方向にロケットが向かう)、手動によるホーミング操作が可能な点

 このように、本作は一見ミリタリー系FPSのテイストでありながらバラエティあふれる武器がたっぷり用意されている。もともと武器ラインアップの豊富さ、多彩な武器を切り替えながら戦う楽しさの提案はインソムニアック・ゲームズの“十八番”でもあるのだが、今作は「プレーヤーの選択肢を広げるため、ひとつの武器に複数の使い方ができるようにした」(ファウツ氏)ことで、ゲームプレイの戦略性・自由度が格段に高められている。

 「今まではアイデアレベルで考えても技術的に再現できなかった武器もあったが、PS3にパワーがあることが判明してからどんどん可能性が広がった。強力な武器が多くゲームバランスには気を遣ったが、どの武器でもクリアはできるし、そのぶん強敵もいるからいろいろと試してもらいたい。一度クリアすればさらに使える武器も増えるし、使えば使うほど武器自体も変わってくるからね。敵のAIを逆に利用した戦い方を理解すると面白みも出てくると思う」(同氏)とのこと。ちなみにライアン氏は、リーパーやロケットランチャーがお気に入りだとのことだ。

画像 武器の変更は、武器切り替えのメニューボタンを押して行う。弾のリロードは通常のFPSと同じく若干のタイムラグが発生するが、メニュー画面が表示されている間はゲームの進行がポーズ状態になるため、「一瞬で武器切り替えが行える」ところがリアル路線のミリタリー系FPSとは考え方が決定的に違う。武器切り替えのラグをほとんど無くしたことで、よりゲーム性の高いテクニカルなゲームプレイを楽しめるわけだ。この武器切り替えのシステムは「ラチェット&クランク」シリーズから受け継がれたもののひとつで、「ゲームプレイはFan=楽しくあるべきで、プレーヤーにはできる限りストレスを与えないようゲームデザインする」というインソムニアックの“哲学”を感じさせる
画像 プレイしてもらうと分かるのだが、「レジスタンス」は他のFPSより武器のショットスピードが全体的に“やや遅め”に設定されている。これは確信犯としてそうしているらしく、シューティングならではの弾避けの面白さ=Fanなゲームプレイに直結するよう、「緊張感を保つためにある程度のスピードはあるが弾道を見切ってギリギリ避けられるようにしている」ためだ。このあたりも“リアリズム”と“楽しさ”の微妙なチューニングによるもの

画像画像 本作ならではの新しいエフェクトが、この窓ガラスの割れる演出だ。従来のように描き割りのアニメーションパターンをあらかじめ用意するのではなく、各武器の特性やヒットの仕方によってガラスの割れ方が物理演算で細かく処理されている

 ストーリー、アート、アニメーション、武器と言った設定パートの解説で感じたのは、「レジスタンス」が掲げている“没入感”、“真実味”、“恐怖感”、“楽しさ”、これら4つのキーポイントが制作チーム全体に浸透している点だ。設定的にはSF的なゲームではあるが、画面から受ける印象は非常にリアル。本作はリアリズムを追求しつつゲーム的な“フィクション”を入れ込むことで、今までにないFPSの世界観をうまく作り出すことに成功している。そしてこうした新しいゲームの方向性も、PS3だからこそできるチャレンジと言えるのではないだろうか。次回は、ゲームの核心となるゲームモードの解説に入る。お楽しみに。

※一部の画像は開発段階のコンセプトイラスト(映像)です。製品版のゲーム内容とは異なります。
※Weapon DemoおよびAnimation Zooは、本作充実のために使われる開発時専用デモです。製品版のゲーム内容とは異なります。


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