10回も続いてよかったね記念――くねくねハニィのつれづれなるくねくね話:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その10)(2/3 ページ)
記念すべき第10回記念! 暖かくなったので少々浮かれポンチのくねくねハニィが語る「最近どうよ?」。今回はテーマを決めずに、日ごろ語れない海外ゲーム市場の小ネタを集めてつれづれにを語ってみたんでよろしこ。
新しい時代のハードのお話
北米、欧州で発売されてすでに1年以上経つXbox 360。昨年末参入したWiiとPS3だけど、日本市場だけ見ている日本人からするとWiiとPS3の対決のように見えるかも(ごめんなさい、マイクロソフトさん)、だけど、ハニィからすると、海外市場ではXbox 360 VS. PS3の構造はあってもWiiと全面的に比べるのはちと違うのかなぁってことらしいの。Wiiは今のところ明らかに別物と思われるているの。文化的に家族やカップルなどで行動することが多い欧米人が、団体で遊ぶのにはぴったりのWiiと、伝統的なゲームの仕方……つまり1人で自分の部屋で遊ぶためのXbox 360やPS3では使い方やシチュエーションが違うのですよ。
したがって、Xbox 360やPS3を持っていたとしてもWiiを買うこともあるわけで、単純に家庭用ゲーム機のシェア争いとも言い切れないことがあるのですな。実際、Xbox 360とPS3両方のプラットフォームに供給することはあっても、Wiiに向けてほぼ同様の移植をすることは技術的にもマーケティング的にも意義がある状況ではないじゃない? そういう意味でもがっつり競合しているとは言えないと思う。つまり、使っているユーザー層が違っていたり、かぶっていることがあっても用途が違うってこと。
ただし、任天堂の今後のネット展開次第では、別の意味で競合になるものと思われますの。たとえばWiiチャンネルはXbox 360のXbox LIVEやPS3のHomeとも競合してくるし、ゲームのみならず、ニュースやドラマ、映画、その他のコンテンツ配信、ということになると、ゲーム機としてではなく、家庭でのセットトップボックスとしてのシェア争いってことにもなるのね。
今までハードだけに依存してきたものも、ネットを通じた「アップデート」という技によって飛躍的な革新を得ていることを忘れてはいけないと思うの。ハードメーカーとしては、新技術や新しいビジネスを最初に一気に構築しなくても、ハードの全面的な設計のしなおしをしなくても途中でサービスを立ち上げたり、変更したりできるし、ユーザーからしても大きなハードを何度も買い換えなくても、新しいサービスを受けることができる、ってメリットを感じていると思うの。
だから、今までのハードのスペックだけを比較した議論はとてもナンセンスにも思えるわけで、どちらかというと、ユーザーが楽しめるであろうエンターテインメントをどういうビジネスモデルで、どういうサービスで提供できるかが鍵であると考えられるの。ハニィも含めて、北米ではXbox 360がすでにこのセットトップボックス化を相当加速させている中で、パッケージによるゲーム販売ビジネスに慣れてしまった日本のゲーム関係者はどうやってこの流れに乗っていけるかというところも、日本コンテンツの今後を左右するものと考えられるわ。
ふぅ。新技術についていけなくなりつつあるお年頃のハニィの挑戦でもあるわけで、がんばってリポートもするぞと。
それから、しつこいかもしれないけどPS2は「あり」なんです! これからも生き残るハードになるんじゃないでしょうか。3月も30万台近く北米で売ってしまったんですよ? さらにソフト販売No.1の「God of War 2」はPS2向けではないですか! 世界に1億台以上出回ったハードは、さらに売上げを更新しているではないですか! SCEにお願い。従来のゲーム機として安くて良質のコンテンツをパッケージで供給し続けることができるPS2と、どんどん新しいものを取り込んでエンターテインメント性を高めた新ハードPS3は,
ぜひ差別化してください。まずは、デベロッパーやパブリッシャーが、ますますチャレンジできるように、ロイヤリティを下げることからひとつ!
PSPソフトは売れないのか?
北米での3月のTOP10にPSPのソフトが入っていなかったってのはリポートしたとおり。だからといって、ニンテンドーDS圧勝かと言い切るのはちょっと違うんじゃないかな。過去の「最近どうよ?」でもお話した、それぞれの発売から現在までの北米におけるソフト装着率(ハード1台に対するソフト購入本数)を比べてみると、なんとなんとニンテンドーDSもPSPも4本前後と出ているのですね。つまり、どっちのハードを買ったユーザーも、ゲームソフトは約4本くらい買ってるってことで、PSPでゲームを遊んでいないってことではないってことですわ。見方を変えればなんとやら。
じゃ、何でこんなにニンテンドーDSのソフトは売れてるって思われるのかしら? それは、簡単なことで、ニンテンドーDSにはミリオンも含めた大きなヒット作品があるからにほかならない。だけど、さっぱり売れないソフトもあるってこと。つまり、装着率から考えると、PSPはミリオンヒットこそないけど、そこそこ売れているソフトがゴロゴロあるってことでしょうね。そういう意味では、PSPのマーケティングアプローチは「多種多様なユーザーへ向けたハードである」といえるから、SCEのPS時代からの規定路線なんでしょうね。
ニンテンドーDSのソフトは最初の部分にも書いたけど、ファーストパーティパブリッシャー(ハードメーカーであり、そのハードにソフトを供給するパブリッシャー)である任天堂のタイトルしか売れないという印象があったり、ROMカートリッジという制限があるため製造費が高いわりに高い値付けができない、という難点があって、サードパーティパブリッシャー(ハードメーカーではない独立系パブリッシャー)からするとリスクが高く利益率が低い商売になっているから、本音としてはPSPにも頑張ってもらいたいと思うわけ。日本での「モンスターハンター」のような、爆発的にヒットをもたらすものが出てきていないのが残念だよね。300〜400万本を稼ぐソフトがニンテンドーDSのハード販売を牽引しているから、PSPもそろそろ起爆剤がないと、ニンテンドーDSの普及によってますます水を開けられてしまうかもしれない。
PSPソフトは売れていないわけではないけど、PSPは北米で700万台を超えたのに対して、ニンテンドーDSは1千万台超え。さらにニンテンドーDSだけ普及が加速してしまった場合、状況はますます悪くなっていく。さまざまなニーズがあり、ハードもいくつかが競り合わないと市場は縮小するじゃないですか。ここでSCEにはキラータイトルをひとつお願いしたいものですな。スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」の海外発売や、SCEAの「God of War:Chains of Olympus」に期待ですかね〜。
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